メタルギアライジング リベンジェンス


対応機種プレイステーション3
発売日2013/02/21
価格6980円(BD)/6480円(PlayStation Store)
発売元KONAMI

(c)2013 KONAMI / Konami Digital Entertainment / PlatinumGames
戻る

メタルギアシリーズの登場人物「雷電」が主人公の斬撃アクションゲーム。
メタルギアといえば潜入アクションだが、今作ではシリーズ作品の味として若干の名残は残されているものの、基本的にオーソドックスな爽快感を重視した3Dアクションゲームとなっている。

2009年春のE3で制作発表されたものの、その後目立った進展がなく、どうしたものかと思っていた。
2011年12月の小島プロダクションの公式ポットキャスティングラジオにて、制作が頓挫したとの経過報告が小島監督から直々に告げられた。

これは、衝撃的であった。
普通、こういった都合の悪いことは公にしないものである。ブランド力、開発力の低下や、信用の失墜を招くからである。
勿論、ラジオ内では、本当に都合の悪い部分は隠しながらも、かなり現状を正直に告白していた。

ゲーム内容の大幅な路線転換をした上で、プラチナゲームズ(ベヨネッタ)に実制作を依頼する形で、仕切り直しが図られた。

なるべく色眼鏡をかけないようにプレイしたかったのだが、カプコン出身のスタッフが中心のプラチナゲームズが作っているせいで、
どうしても、「デビルメイクライ」の影がちらついて終始頭から離れなかった。

スタイリッシュアクションというお題目の、腕がつりそうになるほどせわしく忙しいストイックなアクションゲームな点が共通している。
シナリオ、ムービーパート、コンセプトなどは小島プロダクションが企画しているのはわかるのだが、
全体的に漂うクレイジーなノリは、どうしても「デビルメイクライ」とダブって見えてしまう。

このゲーム独自のシステムとして、「自由切断」は、中々他ではお目にかかれない目新しさだ。
剣で切った部分が、きちんと反映される(切る角度、方向をプレイヤーでコントロールできるし、切ったとおりに敵や物が切断される)。
ただそれだけではなく、「モンスターハンター」の部位破壊的なシステムとして、ゲーム的なアプローチもしっかり行われている。

正直、かなりクオリティの高い作品であることは間違いない。
グラフィックは60フレームでなめらかに動き、コンボ攻撃やゲーム展開、イベント演出のカットシーンなども非常に洗練されていて、迫力や臨場感がある。

ストーリーも、いつものコジプロの悪い癖である、語りすぎ凝りすぎなところが無く、脚本としては少々物足りなさはあるかも知れないが、アクションゲームとしては綺麗にまとまっている。
(それでもまだ喋り過ぎな部分があったのは残念)

制作の経緯から、仕方のないことではあるのだが、突貫工事(今作においては褒め言葉である)で作ったせいか、不出来な部分が目立ってしまっているのが気になってしまった。

アクションゲームとしては、敷居が高い方で、楽しむには一定のプレイヤースキルが要求される。
しかし、ゲームシステムの説明が不十分である。
そのくせ難易度の上がり方が急勾配で、操作のコツをつかむ暇がない。

個々のステージは、バリエーションが豊富で中身が詰まっているが、最近のゲームにしてはややボリュームに乏しいところがある。
この辺りは、質をとるか量をとるかで好みの分かれそうな部分だ。

個人的には、ゲーム後半の対人戦タイプのボス戦が、極端に難しく、また、難しさにも面白味が感じられなかった。

ゲームシステムやコツ(やり方)を完全に理解したと自信を持っていえるのが、ラスボスを倒した瞬間だった。
それまでは、よくわからない部分が少なからずあり、苦労した場所でも、途中からやけくそになってガチャプレイをしてたら運良く突破できてしまったり、
よくわからないまま、偶然に上手いプレイが出来て、あっさり強めの敵を倒せてしまったり、全体を通して上達の喜びを感じにくかった。

なんでもスパっと切れる部分ばかりクローズアップされているが、実際は部位にダメージを蓄積させて条件を整えないと切れないようになっている。

ゲームとして成立させるために仕方なかったのだろうが、思っていたほど独自性はなく、巷に良くある3Dアクションゲームに成り下がっていて、残念ながら期待通りのゲーム内容ではなかった。

随所で豪華なエフェクトと派手なカメラ演出でかなりハッタリをかましており、プレイヤー受けはいいかもしれないが、個人的には首を傾げるようなシーンが目立ち、素直に楽しめなかった。
(誤解を招くので断っておくが、見た目でごまかす手法は決してナンセンスだという意味で指摘しているわけではない)

レバガチャを要求される部分が多いのも好きになれなかった(メタルギアオンラインでも、気絶した時にレバガチャをさせられるため、それが理由でプレイをやめたほどだ)。
理由としては、スティックの負担が大きく壊れやすい、手が異様に疲れる等。

突然クイックタイマーイベント的なカットシーンが入ったり、アクションゲームの中でもカプコン色が強い(当然っちゃ当然なのだが)。
構成など練り込む時間が十分取れなかったのか、全体的にちと独りよがりな部分が残っており、1回目のプレイで意図を汲み取るのがやや困難な点が見受けられた。
ボタンのタイミング自体は辛くないので、それほどストレスにはならない。しかし、イベントの発生条件がわかりづらく、ボス戦では唐突にQTE発生で大ダメージを与えたりとどめを刺してしまったり納得出来ない箇所が気になった。

細かい部分での不満点は結構あるのだが、ここまで書いた内容でも、だいぶ重箱の隅つつきをしているという自覚があり、また、敢えて指摘するほどのものでもないと感じているので、これ以上は書かない。

一度暗礁に乗り上げたゲームを、このクオリティまで持ち直させただけでも評価に値するのだが、やはり“カプコン製のアクションゲーム”といった色合いが抜けきれず、期待に沿うものではなかった。
小島プロダクションの内製で、今まで見たことがないような斬新で新鮮な手触り感をもったものを待っていただけに、良く出来たアクションゲームではあるが、それ以上のものがないことが最大の不満だった。

これは期待が大きすぎた反動でしか無いわがままなのはわかっている。最初の提案で「できなかった」と宣言しているのだから、しょうがないのだが、残念な限りだ。そこで結論。

とても乱暴なまとめ方だが、メタルギア版デビルメイクライ。





[2013/02/24]
戻る

inserted by FC2 system