メタルギアソリッド2 SONS OF LIBERTY


対応機種プレイステーション2
発売日2001/11/29
価格6800円
発売元コナミ

(c)1987 2001 KONAMI / Konami Computer Entertainment Japan
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プレイステーション2になってよりリアルさを増した「メタルギアソリッド2」である。

まず目を見張るのが、グラフィックスの綺麗さである。
フェイシャルモーションは「ファイナルファンタジー10」のような不自然さは無く、出来ないことはバッサリと切り捨てて違和感の出ないクオリティを出している。
カメラは見下ろし型とは言え、主観視点にして見て回れるので、裏データをごまかすことが出来ない。
それでいて、60フレームのなめらかさを維持しつつ、高い描画画質をはき出している。凄いという他無い(2001当時としては)。

エフェクトなんかも派手派手で、かなり頑張っている。雨の滴が画面に付く(まるでテレビカメラのように)演出は、これから他のゲームでも使われ出すだろう。

実際のゲームシステムについては、グラフィックが綺麗になったことでだいぶ臨場感やリアルな演出が増えたが、なかでも主観モードで敵をねらい打つファースト・パーソンの要素が入ったことが大きいだろう。
前作の時点で入れたかったのだろうが、プレイステーションでは3Dをやるだけでいっぱいいっぱいになっていたので、とてもそこまでは手が回らなかったと思う。
ゲームとしての自由度が高まり、同時にグッとアクションの深みが増したと言える。
と同時に、操作が複雑化した印象も持たれるかもしれないが、主観視点にしなくても(前作のような)打ち倒すことも出来るし、自動で敵に照準を向けてくれる機能が付いていたり、
ポインターでどこを狙っているかわかりやすいので、それほど敷居は高くない。難易度も前作同様それほど高くない。今回は難易度選択機能が付いたので、歯ごたえを求める人にも満足出来るモードが付いている。

前作ではやり込み要素が足りず、スペシャルアイテムを取ってしまうと物足りなくなったものだが、今回はドッグタグ集めという要素があり、長く遊べるようになっている。
これは敵兵士一人一人が持っており、拳銃で脅すことで手に入れることが出来る。「ポケットモンスター」のモンスター収集に若干近い。
難易度別に持っているタグが違うので、全部集めようと思うと、必然的に全ての難易度を遊ばなくてはならなくなる。小島監督もニクイことしてくれる物だ。

敵兵士の挙動もリアルになり、見つかった時の動きなど人間くさいものになった。頭を撃てば一撃で死に、腰に付けている無線を破壊すれば増援が呼ばれないなど、駆け引きの幅が非常に広がっている。

イベントムービーは圧縮ムービーに頼らず、リアルタイム演算にこだわっている。これは前作からそうであった。
元々のグラフィックの水準が高い物なので、ムービーでも十分視聴に耐えうるもので、通常時とのギャップも出ない利点がある。

体験版を同梱したゲームソフトを発売するなど、期待作であった本作だが、発売直前になり、本来の主人公となる「雷電」が発表された。
「メタルギア」シリーズは、当然のように「ソリッド・スネーク」が主役であったから、これには衝撃を受けた物だ。そして、このシリーズ人気を支えているのが、スネークであるのも否定出来ない。

スネークが操作出来るタンカー編と雷電を操作するプラント編の二部構成であるが、実際の本編と言えるものがプラント編である。タンカー編:プラント編で対比すれば9:1ぐらいの割合と言っても言い過ぎではない。
発売前の情報や体験版では、このスネーク編で巧みにごまかし隠し続けていた。

個人的には、スネークが主役かどうかをそこまでこだわる必要はないと思う。ただスケープゴート的にごまかそうという姿勢が好きになれなかった。
ゲーム構成もなんだかいびつになってしまっているし、スネークはとりあえずモデリングも作ったし、せっかくだから少し操作出来るパートを作ろうぐらいにしか感じなかった。

小島監督のゲームは、ストーリーやイベント演出にも定評があるが、相変わらず長い。くどい。
映像的なクオリティは非常に高いのだが、ゲームとしては、特にアクションゲームとしては、許されない長さである。
くわえて、シナリオも複雑になり、なんか気持ち良く無い。
また、あまりに饒舌すぎる膨大な台本に、ムービー制作が追いつかなかったのか、無線シーン(文字と声だけの会話モード)で露骨にごまかしているのも好きになれない。

ネタバレになってしまうので、詳しくは伏せるが、9・11事件の影響で、あるムービーシーンを削除したことで、とあるシーンのつなぎ目が説明の付かない不自然さを残してしまっている。
当初テロ事件を受けて、発売延期を発表したが、結局それほど待たされずに発売日が設定されてしまった。直し作業をしっかりやってから出して欲しかった。

プレイしててなんとなく想像は出来ていたのだが、ゲームのステージ(いける所)自体が少なく、序盤は行ったり来たりが多く、後半は一本道が多い。
制作期間が足りなくて明らかに削ったな…とおぼしき感があり、冷めてしまった物だ。

苦言を呈する部分も多いのだが、基本的なアクションゲームとしては良く出来ているので、横道に逸れて色々遊びを探すのが面白い。
そういった面に小ネタが良く込められているし。だからといって、全体的なゲームの出来がおざなりでも許される理由にはならない。そこで結論。

良くできてるけど、良くできてないゲーム。時期柄こんなものだろう。





[2009/07/23]
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