メタルギアソリッド PORTABLE OPS


対応機種プレイステーションポータブル
発売日2006/12/21
価格4980円
発売元KONAMI

(c)1987 2006 KONAMI / Konami Digital Entertainment
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これまでメタルギアシリーズは、メタルギアアシッドとして、PSPではカードゲームが発売されていたが、とうとう純正アクションゲームの発売が実現。
単独潜入が基本だったものが、敵兵士を捕獲して仲間に引き入れるという新しい発想を組み入れた意欲作。

ストーリーは、メタルギアソリッド3と初代メタルギア(MSX版)との間をつなぐ、ファン感涙のものとなっている。
キャンベル大佐は出るわ、おなじみのあのキャラも出るわ、サービス満点である。
逆に、それほどメタルギアシリーズを知らないプレイヤーには、特にメタルギアソリッド3を遊んでいない人にとっては、ついて行けない内容に感じた。
これまでだと、ストーリーに対して、入念な解説が入っていたのが、このゲームでは、バッサリ端折られている。
この辺は、シリーズ追っかけてきた人間じゃないと楽しめない、苦しい内容だろう。

操作性に関しても、PSPでここまで出来ることを評価すべきなのか、やはり遊びづらいことを正直に批判するのと、どちらが正しいかわからない。
ボタンの数が減ってしまったことで、一部の操作を変えざるを得ないところがあり、慣れるまでは遊びづらさの方を強く感じられると思う。
それをわかっているのか、あまりシビアなアクション操作を要求させるところは無く、全編ごり押しでどーにかなる。

歩行速度が遅く、カメラが異様にプレイヤーに寄っている。PSPの性能的にこの辺が限界だったのだろう。
カメラは、プレイヤーの背後に回り込むタイプで、一応視点操作もできる。が、あまり使わないだろう。
非常に視点が寄っているので、視界が悪く、現在位置を見失いやすい。
マップ構成も人一人分の大きさのタイルを敷き詰めたようなタイプで、サイズ的には小さめで、狭い印象を与える。

敵兵士を仲間に入れて、部隊を編成し、ゲームを攻略していくシステムは、なかなか面白い。
偵察ユニットを送り込む(ゲーム上ではリストに編成するだけ)ことで、そのマップの情報を得られたり、
同じ服装の敵に対しては、敵と見なされないなど、メタルギアソリッド3のカモフラージュシステムをいい位置に落とし込んでいると思う。

大所帯になるわりに、管理機能が整っておらず、装備アイテムの脱着を個別でおこなわなければならなかったり、特殊技能を持つ兵士を探したいのに、検索機能のようなものが無いのも面倒。
いざ出撃させてみたら、格闘能力の低い兵士だった!というケースも珍しくなく、ちょっとごちゃごちゃしすぎている印象も抜けてない。

スネークも勿論操作キャラクターの一人だが、身体能力が高いかわりに、敵に発見されやすいためにあまり使われない。
逆に、カモフラージュを生かすために、同じ服装の兵士を紛れ込ませて、動き回るという立ち回りが圧倒的に有利。
システムを使いこなせば使いこなすほど、有利になっていくという構成は理にかなっていると言える。

今回は、MGS3ほど敵は有能ではないようだ。序盤慎重にやりすぎて肩すかしを食らってしまった。
位置的には、MGS2とMGS3の中間程度か。
相変わらず万能レーダーはないが、色で危険度を表すレーダーが付いているのと、マップ画面を開いた時に周辺の敵兵の位置と向きがわかるので、それほど理不尽さはない。

ステージ構成が良くない。序盤のステージに入り組んだ遮蔽物の多いところが固まっているのは視点の悪さと相まって最悪の印象を与える。
カモフラージュを無効化する、一般人が徘徊するステージを序盤に遊ばせるのも、ゲームに不慣れな段階ではきついバランスとしか思えない。

携帯機ということもあり、短時間でこなせる与えられた任務を連続的にこなしていくという構成のゲームとなっている。
だいたいが、マップ構造がわかってしまえば、ごり押しでクリア出来てしまうほどの簡単さである。

グラフィックは、まああまり綺麗とは言えない。PSPということを考慮しても、である。
テクスチャマッピングのクオリティが高いため、よほど近間って見なければギザギザのテクスチャ表示にはならず、見栄えは良いが、ポリゴン数が厳しいのか、ごまかしている箇所が目立つ。ポリゴン欠けも多い。
ただ、それでも敵兵士の顔グラフィックはしっかり描かれている(目以外を隠した忍者スタイルだが)のは、頑張った方と思う。そのほかのエフェクト関係も、雰囲気的なものは出せているし、十分と思う。

イベントムービーは、リアルタイムポリゴンでなく、アシュレイ・ウッド画による、動くコミック的な技法を使って見せている。
これには賛否両論ともなっただろうが、無理をしていまさらレベルの低いポリゴン人形劇をやらされてムードを崩されるよりかはスマートなやり方といえる。
ちゃんと、3D処理されていて、臨場感も演出している点はポイントが高い。
ただ、こっちのパートじゃ、スネーク一人舞台になっちゃってるんで、名も無き兵士でクリアしてるのに、イベントじゃいなかったことになっているのは「なんだかなー」と思わせる。

それと関連して、多くのボス戦では、挿入が突然で、戦闘になってしまうとキャラの切り替えが出来ない強制さも頂けない部分だ。

本編ではまず使わないような武器、アイテムも多く存在している。これは、対戦モードを意図したものだろう。
そもそも本作は、元々対戦を重視したゲームなのだろうと思う。一人用のストーリーモードは客寄せパンダ的な意味合いで付けただけであって、すれ違い通信のトレード機能やネット対戦に重点を置いたゲームシステムなのは明らかだ。

巷での評判は良いらしく、しかし自分のように従来の一人用アクションゲームとして遊んでみた人間としては、飛び抜けて出来の良いゲームとは思えなかった。
この状況を見て、以前にも似たようなゲームがあったことをすぐに思い出した。任天堂「ポケットモンスター 赤/緑」である。
ファミ通の既存の価値観に凝り固まったクロスレビューではイマイチな評価をくだされたものの、実際発売されてみると、小学生を中心に大ブレイクを引き起こした。これと全く同じ状況なのである。要するに、このゲームはポケモン風メタルギアだ!

ただし、それでも今作の一人用モードのイマイチさは払拭出来なかった。
一度倒されてしまった兵士は復活しないが、そもそも兵士のコレクション要素は無く、同じ場所から捕獲した敵兵士でも能力も名前もランダムで決定される。
ポケモンでは、「モンスター図鑑を完成させる」という目標を与えられるぶん、こつこつ一人で進めるモチベーションも保てるのだが、そういう目的が一切提示されないので、淡泊な印象を受ける。

それでも、全般に挑戦的な雰囲気が漂うゲーム内容は、評価に値すべきだろう。

既にメタルギアは一人で遊ぶものではない、みんなで遊ぶものになった!





[2006/12/27]
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