メイドインワリオ


対応機種ゲームボーイアドバンス
発売日2003/03/21
価格4800円
発売元任天堂

(c)2003 Nintendo
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簡単、お手軽なプチゲームが200種類以上収録され、膨大なプチゲームを次々こなしていくユニークな企画が話題となったメイドインワリオである。

このゲームは実は、かつて制作された64DD用ソフト「マリオアーティスト ポリゴンスタジオ」に入っていたミニゲーム「サウンドボンバー」が元となっている。
これを当時送られてきてプレイした時、もっと作り込めばゲームとして売り出せるのになぁ…と思っていたのだが、やはり任天堂は見のがさなかったようだ。
岩田聡が社長になってからは、特に無駄のない経営方針が打ち出されていると感じる(64DD用に制作され長年お蔵入りとなっていた突然の裏ゼルダの配布など大胆である)。

ミニゲームの内容はきわめてシンプルに作られており、突き詰めていくと、タイミング良くボタンを押す、素早く正しい選択肢を選ぶ、指示されたボタンを押す、といった画一化されたものになって底の浅さが目立つのだが、どのミニゲームもほぼ使い回しが存在しない(一部重複しているものはある)。
すなわち、やっていることは同じであっても、見た目やシチュエーションが全て違うので、おそらくそこらの大作RPGなんかよりも手間暇のかかった作品だと思う。中々こういうのをやりたがる会社はいないだろう。手間ばかりかかって、評価されにくいからである。
200以上もの全く異なったミニゲームを作るのである。プログラムは多少流用がきくとはいえ、基本的には別物なので、一から作ることになる。なにより、アイディア出しが大変だろう。没になった物も含めると相当な物になったはずである。

ゲーム内容は、まず本編に当たる「ゲーム」モードと、好きなプチゲームを選んで延々と遊べる「ずかん」モードの2つ存在する。
「ゲーム」モードは、キャラクタを選択し、それぞれのキャラクターイメージをモチーフとしたプチゲームのなかから、ランダムで選ばれたものを次々クリアしていく物である(それ以外の、特定の条件を満たすと出現するボーナスモードもある)。

クリアするたびに、ゲームのスピードが徐々に上がっていき、ゲーム自体の難易度(ランク)も上がるため、クリアが難しくなる。
4回ミスするとゲームオーバーとなるが、一定周期で入るボスゲームをクリアすることで残機アップがねらえる。

このゲームモードで出現したプチゲームは、図鑑モードに記録され、選んで遊ぶことが出来るようになる。全てのミニゲームを選べるようにするためには、何度か同じステージを選択してプレイする必要がある。

図鑑モードも基本ルールは同じだが、プレイするゲームは選んだミニゲームが延々と続く。どこまで達成出来たかがハイスコアとして記録され、各ミニゲームには合格点が設定されており、これをクリアすることで印が付く。
全てのミニゲームで合格点を取ると、出現するゲームモードも存在する。

全体的に「ワリオ」シリーズらしい、ぶっ飛んだシュールなセンスが存分に生かされたゲームデザインとなっており、好印象である。このノリは、マリオではちょっと出来ない。
また、パッと始めてパッとやめれる、フットワークの軽い作りは、携帯ゲーム機との相性が非常に良い。重厚壮大なゲームがもてはやされる時代に、敢えてこの路線は素晴らしいと言える。
一見するとカジュアルなミニゲーム集かと思いきや、全てのゲームモードを出現させるには、それなりのやり込みが必要だったりと、抜け目のない所も任天堂らしいと言える。
しっかり遊び込んでいくと、このゲームが見た目と反して、実はボリュームのあるソフトだと言うことを思い知らされる。「ドクターマリオ」や「マリオペイント」のハエたたきが収録されているなど、サービス精神旺盛なのも感心した。
壮大なストーリーや、奥深いゲーム要素などは一切存在しないが、誰でも、すぐに理解出来て、気軽に楽しめる、時代とは逆を行くコンセプトは高く評価出来る。

唯一の欠点と言ったら、「ゲーム」モードで、遊べるプチゲームを増やしていくが、初めてプレイするミニゲームは、早すぎて大体何をすればよいかわからずワンミスになることが目立ったことが気になった。
しかし、一瞬で何をすればよいか理解出来るよう配慮している所は見受けられるので、ゲーム・システムの問題だと思う。逆に考えると、初見のわずか1〜2秒で、内容を把握してクリア出来てしまうミニゲームも多いことは凄いとも思える。

話が逸れるが、相変わらず任天堂製のゲームボーイアドバンスソフトは、他社製と比べ、クオリティが段違いだ。ちょっと違うというよりも、本当に同じハードで動いているのか?と首をかしげたくなるほどのクオリティを誇る。
たとえば、このゲームだと、ミニゲームの処理速度がどんどん上がっていくが、プログラム処理が破綻することが一切無い。このゲームはどうだ!?とあらを探すほどプレイしたのだが、言いがかりを付けられるようなところが全く見つけられなかった。
拡大縮小回転処理も積極的に活用しており、臨場感も抜群だ。音質も非常に良く出来ており、ボーカル付きの歌までBGMにしてしまうほどの技術力を見せる。この辺は本当に他社も見習って欲しい。

ミニゲームは作り込めば一本のソフトとして売れるのではないか?と思わせるものもあり、どちらかというとゲーム開発者に触らせて、アイディアの結晶である本作を参考にゲーム作りに励んで欲しいと思ったほどだ。
こういうゲームは、あまり話題にならないで消えるんじゃないか?と心配になったが、そのあまりの奇抜さに、割と口コミで情報が広がっているようで、安心した。
そこで結論。

底の浅さは否めないが、シンプルイズベストの真骨頂を見た。遊べ。





[2010/05/20]
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