対応機種 | ファミリーコンピュータ |
発売日 | 1987/10/26 |
価格 | 5800円 |
発売元 | ハドソン |
すっかりハドソンの看板作品となった桃太郎シリーズの原点と呼べる作品。
原作・さくまあきら、キャラクターデザイン・土居孝幸、音楽・関口和之(サザンオールスターズ)で送る大作RPG。
「桃太郎の鬼退治」をベースに、日本のおとぎ話をモチーフにしたRPGとなっており、感心するほど綺麗にまとまっている。
地形、イベント、登場人物、戦闘システム、仙人との修行など、後のシリーズのお決まり事となる要素が、一作目の時点で驚くほど出来上がっている。
特に、素晴らしいといえるのが、テキストメッセージの質の高さである。
ドラゴンクエストを手本としていながら、「桃太郎伝説」の作風にあった、独自のセンスで書き換えられており、ドラクエとはまた違った魅力を放っている。
バトルシステム、バトルバランスの作りが少々大雑把で気になるところかもしれない。
ドラクエ1を手本としたため、必ず1対1の戦闘で、その割にバランス取りが雑で、後半になるにつれてかなり敵が強くなってしまう。宿屋の値段が高くてお金を貯めにくい所など、渋いバランス設定が気になった。
いっぽう、メニュー周りのインターフェイスは見やすく、操作も軽くて非常に快適に仕上がっている。
テキスト、イベント関係は一貫して質が高く、ヒントの与え方やイベント内容は、かなり出来が良い。
易者からゲームのヒントが聞けるが、目安となるレベルをアドバイスしてくれるのは、当時としては親切で目新しかった。
他にも、ゲームのプレイ時間を表す“年齢”というパラメータがあり、これも画期的だった(6歳から始まり、2時間で1つ上がる)。
スタートボタンを押すと、ポーズ画面になり、ステータスが全画面に渡って表示されるなど、ドラクエを手本にしていながら、割と新しいこともやっている。
1987のゲームとしては、RPG黎明期のゲームとしては、という但し書きはつくが、中々クオリティの高いRPGだ。
個人的な印象だが、「桃太郎の鬼退治」というシチュエーションが最も良い雰囲気で描かれているのは、このファミコン版だと思う。
勿論、続編以降のほうがこなれてきて出来がよく面白くなるのだが、独自設計のフィクション要素が強まっていくにつれ、一作目にあった魅力が薄れていっているように感じる。そこで結論。
荒削りだが光る要素の多い力作。