マザー2


コピーライターの糸井重里が手掛ける
現代アメリカを舞台にした従来のRPGとは異なる方向性から作り上げた珠玉の作品。

一作目に比べ、漫画的な路線になり、低年齢層にも入り込みやすい内容になった。
前作も前作で良かったが、全体的に無愛想でホラー映画的な構成は
やや人を選ぶ傾向があった。

本作は、バランスの取り方や構成にかなり気を使っていて、
RPG初心者でも楽しめる非常に親切な内容になっている。

最近のRPGのようにチュートリアルを充実させただけの取って付けたような物とは違い、
覚えやすい町の名前だとか、ヒント屋によって行き詰まった際の救済策を充実させた。
戦闘に関しても、ただ易しくしたという物ではなく、
任天堂のアクションゲームよろしく、最初にダンジョンに入った時点では苦戦した敵も
そのダンジョンを踏破した頃には楽勝に倒せるようになっているバランスは職人的。
経験値とレベルアップの数値の調整も上手く、
ちまちまとレベル上げをするよりかは、しっかり先にいる敵と向き合って
ある程度苦労しつつ進める方が報われるような作りになっている。

音楽のクオリティが異常に高く、フィールド時のBGMはとにかく独特で幻想的。
洞窟では、音楽というより環境音楽なのだが、思わず聞き惚れてしまうような楽曲は凄いし、
戦闘時に流れるテクノ系楽曲群はバックに流れるビデオドラッグのような独特な背景と合わせて炸裂している。

前作の台詞は全体的に簡潔でぶっきらぼうな印象が強かったのだが、
本作では、その点コピーライター糸井重里の名に恥じない面白いものばかり。
町の人一人の台詞を抜き出してみても、とても印象に残る台詞群はマザーの世界観を
より一層魅力的な物に押し上げている。

ゲーム中盤以降は、追い立てられるように進み、ちょっと窮屈な印象は受けたし、
砂漠だ、ピラミッドだ、と、現代アメリカが舞台の割に、普通のRPG的でちょっと飛躍しすぎの感も
後半感じられた。
だが、前作以上に暖かみを感じる雰囲気や物語は、他では味わえない感慨深さを感じさせてくれる。

ラストバトルの演出が非常に巧く、ホロリと来る。マザー2屈指の名シーンの一つ。
その前に流れるバトル音楽も、ファミコン風な音楽から突如としてパンクな音楽へ変貌していく様も素晴らしい。

GBAで1とセットで移植されたのだが、音楽面でGBAの音源の弱さが露呈してしまい、
ちょっと再現しきれていない感がある。残念。




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