MURDERED 魂の呼ぶ声


対応機種プレイステーション3/プレイステーション4
発売日2014/07/17
価格7800円(パッケージ)/6800円(ダウンロード)
発売元スクウェアエニックス

(c)2014 SQUARE ENIX / Airtight Games
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殉職した刑事が、幽霊となって、自分を殺した犯人と不可解な連続殺人の真相を捜査していくバイオハザードタイプのミステリーアドベンチャー。

Unreal Engineを使っているため、全体的に動作不安定である。
ただ、気になるところはそれほどない。
ロード時間は、ゲームオーバーのリトライ時の長さが気になるぐらいで、それ以外で極端に長いところはなかった。
それと、キーオブジェクトの表示がガタついていて、視点を動かしたりすると良くブレるのが不自然。

三人称視点だが、カプコン「バイオハザード4」のように、操作キャラクターにカメラが密着したタイプ。
銃撃戦はないのに、なぜこのタイプを採用したのかというと、プレイヤーが幽霊で、壁をすり抜けて移動できるようにしたため、カメラワークが破綻しないようにした結果だと思われる。
この状態で距離をとってしまうと、壁や遮蔽物がカメラとプレイヤーの間に入ってしまうたびに、プレイヤーが見えない状態を解消するために頻繁にカメラを寄せる必要が出てしまって、具合が良くない。

また、この視点を採用したことで、殺人現場を捜査(探索)して手がかりを探していくという作業に、一体感が出ていて良い。
カメラの視界があまりに広いと、カメラを回してるだけで証拠を見つけて行ってしまって、探索しているという感覚がなくなってしまう。

ゲームで主人公を幽霊にするのは、扱いが非常に難しい。
なぜなら、「幽霊なのになぜこれができないの?」というゲームシステム上の都合を合理的に説明できないためだ。

例えばこのゲームなら、通り抜けられる壁と通り抜けられない壁があるのだが、通り抜けられない壁に対する理由付けが乏しい。
また、家屋の中に入る場合も、“魔除けが施されているから”という理由で、出入口の扉が開いている時以外は入れない。ただし、入ってしまえば建物内に限っては壁の通り抜けを基本的には自由にできると定められている。
これらの決まり事は、端的に言ってしまえば、ゲームの都合上である。しかし、プレイヤーから見れば、納得のできないものとなっている。
これが、“幽霊”を主人公にするのが難しい理由だ。

また、マップ機能が一切ついてないのがつらい。レーダーマップどころかマップを見る機能すら無い。
コンパスすらないため、どの方角を向いているかもわからない。とにかく迷う!迷って困る!

推理ADVとなっているが、頭を捻るような部分は全くない。
要所要所で「推理する」ことを求められるが、ただ正解の選択肢を選ぶだけで、質問の仕方も遠回しで意図がわかりにくいことも多い。
勘が鋭い人は買う前から察してしまうかもしれないが、殺人事件を論理的に立証するシナリオではなく、推理も先へ進めるために仕方なく強制されている感じで面白くない。

取ってつけたようなステルスアクションの要素が、場にそぐわず、面倒くさいだけである。
悪霊が徘徊している場面があり、見つからないように移動するか、倒しながら進むことを要求される。
これがもう、壊滅的につまらない。
敵の数は多くて4匹、たいてい2,3匹で、数が少ない。見つかったら追いかけてくるが追跡がしつこくてまくのに時間が掛かる。
後ろから近づいて退治できてしまうことや、悪霊の出てくる場面が少なすぎる点など、これならバッサリなくてしてしまっても良かったのではないかと思うほどだ。

他にも、触ってしまうと即死してしまうギミックが存在しているが、死んでしまうとゲームオーバーになってチェックポイントまで戻されてしまう。
これについても、わざわざゲームオーバーという概念を付ける必要性があっただろうか。

そして致命的なのは、ゲームとしてのボリュームの無さ、物足りなさである。
本編は短いし、ストーリーは肩透かし、推理パートも薄っぺらい。
サイドクエストがあるが、片手で数える程度しかない。マップの大きさの割に、何もない空間が多い。
「本当はここになにか入れる予定だったんじゃ…?」と感じさせる部分が多数、見受けられた。
やりこみ要素は、隠しオブジェクトを探すだけだが、これも初プレイでほとんど見つけられてしまって、拍子抜け。

全体的に練り込み不足というか、まだ作りこむ予定だったものを諸事情で発売することになったという印象を持った。
あるいは、作り始めたはいいものの、どうにもゲームとして面白くならず、迷走していたまま、なんとかマシな水準まで持ち直した状態での完成といった感じだ。

セーブが一つだけで、任意にセーブできない。最後まで進めてしまうと後戻りできないが、オートセーブされてしまうためせっかくの警告も意味がなく、保険データも一切作れない。
戻ってコレクション集めをやりたくても、後戻りできなくなったり、配慮不足である。

いずれにせよ、見た目だけが仰々しくて派手なだけで、あまりの中身の無さにがっかりさせられるゲームであることは間違いない。そこで結論。

楽しめる要素が見いだせないゲーム。





[2014/07/19]
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