機動戦艦ナデシコ やっぱり最後は『愛が勝つ』?


対応機種セガサターン
発売日1997/05/02
価格5800円
発売元セガ

(c)1997 SEGA / ジーベック / ナデシコ製作委員会 / テレビ東京
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テレビ東京系列で夕方に放映されていたアニメで、放送開始されるやいなや、アニメオタク層を中心に一大ブームを巻き起こした、戦艦物でありながらラブコメ要素が強いという異色な作品。
セガがスポンサーに参加していたこともあり、ゲーム化もスムースに行われ、オープニングムービーが収録されたり、アニメスタッフに協力を取り付けるなど、版権モノとしては力の入った作品となっている。
(この辺の流れは、「新世紀エヴァンゲリオン」に通ずるものがある)

ゲーム内容(ジャンル)は、アニメ版のラブコメ路線を上手にゲーム化しており、具体的には、主人公(テンカワ・アキト)のパラメータ育成のなくなった「ときめきメモリアル」と言った所。

ゲームの流れとしては、章立て方式で、前半は、自由時間を使って艦内の搭乗者に会ったり、デートに誘ったりして各キャラの好感度を高めていくことが目的。
ただし、特定のキャラとばかり仲良くして、他のキャラを放ったらかしにしていると、機嫌を悪くしてしまうといった、「ときメモ」で言う爆弾処理に近いシステムがある。

章の後半には、バトルパートが待ち構えている。表示されたコマンドを素早く入力して敵を倒していくという内容なのだが、これがイマイチである。
このゲームの核となるキャラごとの好感度に影響することがほぼ無いので、作業的だし、蛇足感が否めなかった。
サイズが小さいものの、セルアニメムービーや演出などで、「ナデシコ」らしさを演出できているのは素晴らしいが、残念なことに「つまらないミニゲームをやらされている感」を脱することはできなかった。

難易度がかなりぬるく、意中の女の子目当てにひたすらデートに誘っていれば良く、「ときメモ」で言う爆弾処理(かまってもらえないキャラが不機嫌になって他のキャラに悪影響を起こしてしまう)も、
ペナルティがかなりゆるいので、あってないような代物である。

ただ、これは元々、原作モノゲームなので、ゲームとしてはこれぐらい単純でぬるいぐらいで丁度よいとも思う。

しかし、各キャラクターに独自エピソードが無いと言って良いほどで、はっきりいってこれを何人も攻略したいと思わない。
デートに誘うことが出来るが、デートのバリエーションも少なめ。

「ときメモ」と同じように、三択で正解を選ばせる形式だが、同社「サクラ大戦」で使われていたLIPS(選択肢の選択に制限時間が課せられている)は、このゲームで唯一評価できる点だ。

プログラムレベルは悪くないが、唯一融通がきかないと思ったこととして、セリフ飛ばしが出来ないのは不便だった。
スタートボタンで、ボイス有りなしが切り替えられるのだが、ボイス無しに切り替えるとセリフが一括表示されるかわりに、ボイスがなくなってしまう。
また、ボイス自体も、全セリフがフルボイスというわけではなく、主人公の「テンカワ・アキト」は一切ボイスがなく、他のキャラは喋るが、喋らないシーンも多い。
テキストの量的にはそれほどの分量がなかったので、できればフルボイスでやって欲しかった。

アニメの雰囲気は、かなり良く再現されているものの、ゲームとしての面白さは「皆無」と言っても言い過ぎではないぐらいで、アニメに思い入れのあるファンがプレイしても正直厳しい部類だろう。

ウリの一つとして、「ゲーム版オリジナルストーリー」が挙げられるが、これがオマケの領域を出ない代物で、期待できるレベルのものではない。
途中、セルアニメムービーが挿入されるが、TVアニメ版のシーンを継ぎ接ぎして別の声を当てているようなものばかりで、(スケジュール的に厳しかったのだろうが)辛いものがある。

だいぶ苦言を呈してしまったが、原作モノゲームで、発売時期などメディアミックス展開の目線で考えると、それでも健闘している方だと思う。そこで結論。

原作モノゲームを面白く仕上げるのはとても難しい。





[2017/11/22]
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