対応機種 | ニンテンドーDS(DSi Ware) |
発売日 | 2009/09/09 |
価格 | 500円 |
発売元 | スクウェアエニックス |
ホラーアドベンチャー「ナナシノゲエム目」に収録されていたレトロタイプの横スクロールアクションにクローズアップし、単品化したものである。
グロテスクな雰囲気の名残は、元のゲームがその手のジャンルのものから引用したからだ。
また阿漕な商売を考えた物だと斜に構えて見ていたのだが、ステージは全て新規に作られた物であり、本編との内容の差別化をしっかり図っている。
パッと見た感じだと、本編のステージを使い回した体験版商法だと思っていたのだが、全く異なる。
制約が多いだろうDSi Wareを非常に上手に使いこなしている作品と言える。
ファミコン時代のクラシカルなドット絵グラフィックに合わせたように、十字キーで移動、Aボタンでジャンプというシンプルな操作性である。
ステージギミックも限りなく少なく、乗ると落ちる床、動く床、触れると一発死するギロチンと、これだけである。
ゲームルールもわかりやすく、スタート地点から、ジャンプアクションを駆使して、ゴール地点にたどり着くという至極わかりやすい物だ。
タイトルの通り、最凶の名にふさわしく、高い難易度設定のゲームとなっている。
難しいというよりは、死んで攻略法をつかんでいくガチガチのパターンゲーといった感じで、最近のゲームにはなかなか無いスタイルである。
反射神経を求められるのは勿論だが、何度も挑戦して攻略法を探していくパズル的要素が強い。
知らないとまずやられてしまうような理不尽な仕掛けが多い。これはわざとやっていることである。
このゲームは、見た目通り、ファミコン時代のゲームソフトを遊んでいるような、今のゲームではなかなか味わえない独特のプレイ感覚が楽しめる。
昔は理不尽で破天荒なゲームバランスのゲームソフトが横行していた物だ。あの理不尽さを適度に盛り込み、「それは無いだろう」と思わせながらも、ついつい何度も挑戦してしまう魅力を放っている。
このゲームは、当然全てが昔のゲームと一緒ではない。いたずらに厳しいゲームバランスにしているわけではなく、この程度ならなんとか頑張ってみようと思わせる絶妙なバランス調整が褒められる点である。
長丁場になることをわかっているのか、プレイ中のBGMを変更出来るサウンドセレクトモードまでご丁寧に付けてくれている。
ステージをクリアすると新しいBGMが増えていくが、似たり寄ったりで残念。魅力的な曲が少ない。
全30ステージ。容量のせいもあるのか、風景のバリエーションに乏しかったり色々寂しいが、ゲームは見た目ばかりではない。中身がしっかり面白いので、あまり気にならない。
歯ごたえのある面が多いので、30ステージでも十分ボリュームは感じられる。
タイトルにはVol.1と付けられている。お手軽に制作出来る内容なのもあるのだろう、これをシリーズ化するつもりでいるようだ。既に同日Vol.2も配信されている。
何本まで出していく予定でいるかわからないが、ネタ切れを起こして、ステージ構成がマンネリ化してしまうことが心配である。
また、内容的にアクションというよりパズルゲームに近いので、何度も遊びたいと思わないのも問題である。つまりは一回解いたら飽きてしまうので、飽きが早いのだ。
幸いVol.1の時点では、まだネタの引き出しが沢山あるという印象で、ただ不快感を感じるだけのステージなどは無かったが、今後質が落ちないかどうか気になるところだ。
個人的には天井ジャンプ(足場スレスレでジャンプしてすぐ上にある足場に飛び移るテクニック)を多用させるところがVol.1の時点で既に気になった。あまりこういうマニアックな仕様を突く攻略法は嫌いである。
何度も失敗して解法を模索していくゲームなので、人を選ぶゲームでもある。古いアクションゲームなど楽しめる人なら十分満足出来る。
このゲームの成功の要因は、横スクロールアクションという、誰もが知ってる普遍的なジャンルを取り上げたのがやはり大きい。そこで結論。
安い作りのゲームだが、しっかり面白い。だまされたと思っておためしあれ。