NewスーパーマリオブラザーズWii


対応機種Wii
発売日2009/12/03
価格5800円
発売元任天堂

(c)2009 Nintendo
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2006年にDSで発売され、空前の大ヒットを引き起こした「Newスーパーマリオブラザーズ」の新作がWii専用タイトルで発売。
Wiiを選んだテーマとしては最大4人同時プレイが出来る「みんなで出来るWiiのマリオ」である。

複数人同時プレイで、コースを回らせるという構想は宮本茂の中で長年のテーマだったそうだ。
「星のカービィ」では、1996発売「スーパーデラックス」で実現しているが、マリオシリーズでは中々取り入れるのが難しかったようだ。
技術的に取り入れるのは簡単だろうが、そこは「マリオ」である。システム的に必要性や独自の面白さを追求してこそなのだろう。

結果的に一人でも遊べるが、多人数だとさらに遊びの幅が広がる素晴らしいコース設計が出来上がっていると思う。
難易度的には、やはり前作DS版と同様、誰でもクリア出来る簡単さで、ゲームおたくには物足りなさを感じさせると思うが、難しければ良いという発想はどうだろう。

このゲームでは、デバッグチームがプレイしたスーパープレイが収録され、スターコインを消費することで閲覧することが出来る。
ただ単にうまいだけのプレイではなく魅せるプレイも心得ており、見ていて非常に面白い(腕前も勿論凄い)。

無限1UPのやり方も収録されているが、かなり沢山の場所で出来るように仕込んでいるらしく、面白い。
すっかり最近のゲームでは見なくなってしまったが、今も遊び手は裏技を求めている。開発スタッフの想定外や規格外と思わせる仕掛け(裏技)は、ゲーム自体が簡単で存在意義が薄くとも、あるだけで楽しい物である。
それを考えると、あの、空中で連続して敵を踏みつけていくと点数アップから1UPに変わる発想は、マリオシリーズの発明と言えると思う。

アクションゲームのステージは、遊び場だと思う。緊張感があり、ストイックに攻略性を追求するのも勿論重要だが、今作のコンセプトはみんなで楽しくである。
一人用でガチガチに厳しく設計されたステージをやらされるのは、相反する要素だろう。

ただ単にクリアするだけなのが、簡単で物足りなくとも、その遊び場でカッコイイプレイを極めるなど、クリア以外にも楽しめる目的はあるはずだ。その一つが、スターコイン集めだと思うのだが、どうだろう。

何よりマリオはいろんな人が、みんなが遊ぶような大きな看板タイトルになった。
あまりゲームを遊ばない人もついて行けるような近年の優しいゲームデザインは高く評価している。
意外とこの配慮に欠けているゲームが多いのが現状である。

その中の一つに、何度も同じ場所でやられていると「おてほんプレイ」のブロックが出現したり、それでも進めない場合はコンピューターがクリアしてくれる機能が搭載されることがネット上では物議を醸した。
ゲームは自分で障害を乗り越えてこそのものだという価値観である。
個人的には、“あっても気に入らなければ使わなければ良い”派だ。
ちなみに、「おてほんブロック」を出現させなければ、ゲームクリア後のセーブデータに勲章が付くようだ。

この辺りのシステムに関して、任天堂公式サイトの「社長が聞く」の宮本茂インタビューを見る限り、まだまだゲームという物をわかっているなという印象を受けた。
やっぱりゲーマーであればあるほど、「おてほんブロックを出さなかった勲章」をゲットしたい物だ。

Wiiにしたことで、多人数プレイが可能となった以外にも、画面が広く使える、CPU性能が上がったことで大がかりなギミックを組み込むことが出来るようになったなど、ゲームの完成度としても一段上がっている。

基本的なゲームシステムはDS版を踏襲していて、システム的に疑問符を浮かべていた部分も洗練されて、かなり良くなっている。
操縦性も良くなり、遊びやすくなった。
全体的にFC「スーパーマリオブラザーズ3」に内容が近づいた。

難易度は、なれている人だと意識しないで遊んでも「おてほんブロック」を出さずにクリア出来る程度だと思う。少なくとも自分は出さずにクリアした。
スターコイン探しも、デカマリオ(今作ではそもそも存在しない)や豆マリオじゃないととれないという制限がほとんど無く、ストレス無く集められるし、おたからムービーのメニューで取り方を閲覧出来たりするので、かなりヌルい。

ヘビーゲーマー向けのワールド9も、中間ゲートが無いだけで、言うほど難しく無い。
特に新アイテムの「プロペラマリオ」の性能が良すぎるせいで、難所もプロペラを使えば、とりあえずクリア出来る。この懐の広さは「マリオ」と言える。

ステージギミックに関しては、多人数プレイを重視したせいか、イマイチ無難なものが多く、面白味に欠ける印象を受けた。
強制スクロールや、暗闇で周りを見えなくしたり、同じく雲でステージの一部を隠すなど、芸のない仕掛けが目立った。
ボスも「マリオ3」のクッパファミリーのせいで、バリエーションに乏しくなってしまった気がする。
DS版同様、ワールドの中間と最後で対決するが、結局2戦目は、地形を複雑にして難しくしているだけである。

色々苦言も呈したが、かなり完成度は高い。
強いて言えば、Wi-Fiのネットワークプレイに対応して欲しかったぐらいだろうか。
ラグなどの問題もあり技術的に難しかったり、スリムなゲーム内容にしたかったからだろうが、中々4人集まって遊ぶのは難しい。

何より、ゲームが2Dから3Dに移り変わった際、このようなオーソドックスな2Dアクションがあっという間に消えて無くなり、寂しく感じていたところで、据え置き機であの古き良き2Dアクションをリリースしてくれたこと自体が嬉しい。
昔は毎年選べるほど、この手のゲームが蔓延していた物だ。「スーパードンキーコング」や「ロックマンX」など、花形ジャンルの一角を担っていた。

このゲームも、今時のゲームと比べると、ストーリー性に乏しく、ゲーム自体のボリュームも少なく、受け入れづらい内容なのだが、良い物はいつの時代も良い物である。
この手のゲームが減ってきた今こそ、積極的に開発して欲しいと感じる。そこで結論。

古き良き、それでいて新しいマリオ。迷わず遊べ。





[2009/12/07]
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