黄金の太陽 開かれし封印


対応機種ゲームボーイアドバンス
発売日2001/08/01
価格4800円
発売元任天堂

(c)2001 Nintendo / CAMELOT
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かつてメガドライブとセガサターンで根強い人気を得た「シャイニングフォース」シリーズを制作してきた
キャメロットが任天堂ハードで初めて大作RPGを作る。
ゲームボーイアドバンス初期を支える唯一のオリジナルロールプレイングゲームだけに期待も大きいところだ。

キャメロットは任天堂の傘下に入ってからというもの、スポーツゲームしか作っていなかったが
じつはRPG畑のメーカーである。
同時に、正統RPGといえば、このメーカーの場合、「ビヨンドザビヨンド」の悪夢も思い出されるのだが、
この辺りの出来映えも気になるところである。

狙ってやっているのかこれしかできないのか分からないのだが(多分後者であろう)、
剣と魔法のファンタジーという、あの一昔前の雰囲気をここまで恥ずかしげもなくやってのけていると
逆に新鮮にすら映る。
問題はそこではない。シャイニングフォースシリーズと似たテイストを醸し出している点である。
本作は全く新しいタイトルとして売り出されたのだから、もう少し一捻りしても良かったのではないかと思う。

見た目がそうであるように、中身も良くも悪くもキャメロットで、作り込みの足らない部分がやたら目に付く。
PS「ビヨンドザビヨンド」にかなり内容が似ているのだが、さすがにあれよりかは安心して遊べるようになっている。

とにかく文章の出来が悪い。シャイニングフォース2でも感じたのだが、
どうしてまともな日本語すら書けないのか?
下手な翻訳ソフトにかけたかのような、遠回しな単語の台詞や適切でない文法など
素人ですら違和感を覚える文章が、突出して足を引っ張っている。
物語自体もあってないような酷い強引な物で、とにかくつまらない。

戦闘もオーソドックスゆえに単調であり、それに輪をかけて難易度も低い。
立体感を出そうとした演出や桜庭充作曲のバトルサウンド、派手な絵と音のエフェクトで
爽快感や派手さはある。戦闘時のグラフィックはたまらん綺麗さで、バトルに力を入れていたのが伺える。
ただし、倒してしまった敵に同じターンで他のキャラがその敵に攻撃対象を合わせていた場合、
昔のRPGのように、別の敵に自動的にターゲットをうつしてくれず、防御してしまう処理は昔風で
なぜ敢えてこのようにしてしまったのか理解に苦しむ。

また、アイテム周りもアイコン表示が仇となっており、かえってなんであるのかが分かり辛く
管理形式も一昔前といった風で、煩雑さが漂う。

ジンという召喚獣みたいなものを集め、沢山装備させることでクラスがあがりパラメータアップするという要素があり、
装備しているジンに付いている属性によって、能力が変化するカスタマイズの自由度も見せる。
しかし、劇的な違いや属性による変化の方向性が分かり辛く、結局キャラごとに予め定められた
属性のジンを集中して付ける方が強化の方向として直感的なので、それに甘んじてしまう。
他にもジンを用いた戦闘での立ち回りで工夫が見られるのだが、ほとんど使う機会は無い。
練り込めば面白くなる要素であるはずなのに勿体ない。

ただ、ゲーム自体はカートリッジということもあって、小気味よくサクサク進み、
最近のもったりしたRPGとは違い、気持ちよく遊ぶことは出来る。

ダンジョンでは「ゼルダの伝説」風な謎かけがあり、
エナジー(魔法)を駆使してそれを解いていくスタイルを取っていて、
これがただ探索をするだけに終わらずに、いいアクセントになっている。
しかし、仕掛けの数が少なく似たり寄ったりになってしまっているのが残念。

最大の不満点として、どうやら二部作に分けて制作しているらしく、
これ単体ではキリの悪いところで終了してしまう。
舞台となる世界も、どうも一部の大陸を抜き出してきただけのようでかなり狭く、
ゲームのボリュームとしても15時間弱で終わってしまう短さである。
二部作にする構想があるのなら、最初に明言しておいて欲しかったし、
最近はこういうゲームが増えてきているが、やはりこの手法は制作者としては禁じ手だと思う。
壮大感を出したいというのもあると思うが、なるべく一本のゲーム内で完結するようにして欲しい。

ゲームはそこそこ面白いが、それ以外が弱い凡作。





[2005/04/12]
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