ピクミン3


対応機種Wii U
発売日2013/07/13
価格5700円
発売元任天堂

(c)2013 Nintendo
戻る

ゲームキューブ初期を牽引した「ピクミン」。ゲームキューブの性能を最大限に活かし、大量のキャラクターを画面上に表示させた豪快なグラフィックスが話題となった作品だ。
愛くるしいキャラクター、ピクミンを引き連れ、未知の惑星を開拓するリアルタイムシミュレーションゲーム。このたび9年ぶりに最新作が発売された。

前作からかなり時間が経っているので、改めてゲームルールを簡単に説明する。
それぞれ異なる長所を持った5種類のピクミンを最大100匹引き連れて、フィールドマップを開拓していく。
障害物を取り除いて道を作ったり、巨大な原生生物を倒すなどギミックが散りばめられており、それらをピクミンを使って効率よくクリアしながら、目的のアイテム(今作では食料)を拠点に運ばせてゲームを進めていく。
開拓活動ができるのは昼間の間だけで、夕方には一旦拠点である宇宙船に戻らなければならない。
ピクミンは敵に食べられたり、日没時にはぐれたままだったりなどで、事故によって簡単に死んでしまうので、開拓作業の傍ら生産活動を行い数を増やす必要もある。

また、リアルタイムシミュレーションであるが、コマンド選択して指示するのではなく、リーダーキャラクターを実際に操作してピクミンを誘導したり、指示出しをするときはオブジェ(対象物)に直接ピクミンを投げて指示を出す等
アクションゲームの色が強いのも特徴的だ。

1では、30日以内(30ターン以内)にどれだけ攻略できるか?という趣旨のゲームとなっていた。そのため、見た目とは裏腹に非常にストイックなゲーム内容になっていて、敷居の高いシステムや独自性の強さも手伝ってどちらかと言うとマニア向けのゲームだった(ある意味“ゲームキューブ”ユーザー向けの尖ったゲームであった)。
一転して2では、ターン制限をなくしたことで「効率よくゲーム攻略する」必然性がなくなり、間口は広くなったものの、時間制限の緊張感が無くなり、代わりに物量作戦で大量のステージマップとやりこみ要素を攻略していくゲームへと変貌した。
だからといって2は決してつまらなくなったわけではないが、どこにでもあるような平凡なアクションゲーム路線に傾倒したことが逆に「ピクミン」ならではの魅力を奪ってしまったのだった。

とはいえ3を出すにあたって、今更1のようなシビアなシステムを乗せる訳にはいかない。
このへんをどう解決しようとしたのかというと、1日(1ターン)経過ごとに1つ食料が必要となる作りになっている。
食料は、フィールドマップにあるキーアイテム(食料物資)を拠点に運ぶことで補給される。これによって適度な緊張感を与えることが出来ている。が、ゲーム後半になると余るぐらいになるので、緊張感をあおる目的としてはやや甘い作りといえる。
仮に食料がなくなってゲームを続けられなくなってしまっても、過去に戻ってやり直せる機能があり、どん詰まりになることは無い。但し、戻った日付以降のデータは消去されてしまう。

インターフェイスは前作から9年の時間が経っていることもあり、細かい部分での改良点が多く見受けられ、遊びやすくなっている印象だ。難易度的にもアクションゲームの比重は落とされ、反射神経を要求されるようなせわしさは減っている。

ゲーム画面は、テレビ画面とGamePadの両方を使うか、GamePadのみのどちらかだが、テレビ画面のみでプレイすることは出来ない。
GamePadの画面は、メニューウィンドウ的な立ち位置になっていて、周辺マップが常に表示されていたり、メニューアイコンをタッチすることで各種ステータス画面に切り替わったりする。
指定したリーダーキャラを指定した位置まで自動で移動させる「ここまで移動」機能が備わっていたり、画面を切り替えること無く周辺マップを確認できるのは便利ではある。

しかし、2画面使っているとは言っても、2画面を同時に表示させているメリットはこのゲームの場合においては乏しく、それほど恩恵を感じることはなかった。
GamePad側の画面を見たり操作するときに、いちいち手元のスクリーンに意識を向けなければならない。DS等のように2画面一体型ではないため、無理して2画面使ってもどうにも煩雑になってしまうのだ。
任天堂としては、なんとかWii UのGamePadを活用したい意図があるのだろうが、今作においては押し付けがましさのほうが強くて、好きになれなかった。

ゲーム自体は、ある種シリーズ物の宿命と言えるだろうが、やっていることが同じで新鮮味に欠けている節が目立った。
新種のピクミンが2種類追加され、それに伴った新ギミックはあるのだが、テコ入れ的なものはそれぐらいで、2が物量的な作りだったことも手伝って、ストーリーモードのボリューム不足感は否めない。

任天堂のゲームということもあり、非常に丁寧な作りで、ゲームバランスなども優等生とも言える申し分ない出来映えだが、マンネリによる退屈さは拭えなかった。

単純につまらないと言いたいわけではなく、1では時間制限によるストイックなゲームシステム、2では沢山の地下世界を探検して膨大なお宝を集める楽しさといった、作品それぞれに独自の方向性があった。
9年ぶりに発売された3では、HD画質で画面が綺麗になったぐらいで、内容的にこれといった要素がないことが物足りない原因だと言う指摘をしたかったまでだ。

長年の沈黙を破って作られた待望の最新作!!という触れ込みの割には、実におとなしい作りで、がっかりさせられた。そこで結論。

新規プレイヤーにはうってつけの配慮がきいた作りだが、作品単体の魅力に乏しくシリーズファンには物足りない作品。





[2013/07/18]
戻る

inserted by FC2 system