ポケモンピクロス


対応機種ニンテンドー3DS(ダウンロードソフト)
発売日2015/12/02
価格0円
発売元ポケモン

(c)1995-2015 Pokemon / Nintendo / Creatures / GAME FREAK / Jupiter
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ポケモンが遂に、人気パズル「ピクロス」化。
ポケモンならではの要素がぎっしり追加され、基本プレイ無料の販売モデルで、誰でも気軽に遊べる!!

大筋のゲーム内容は、大雑把に書くと、ジュピターが出している「ピクロスe」シリーズに、独自要素を加えて、更に、アイテム課金のシステムを付け加えたものだ。
言葉尻だけの印象だと、様々な追加要素が組み込まれて、リッチなゲームのように感じられるかもしれないが、どちらかと言うと、それらは後付で強引に組み込まれたといった印象が強い。

事情通の人にはご存知のことかもしれないが、同名タイトルで、2000年頃に、ゲームボーイカラーで、「ポケモンピクロス」の発売予定があった。
ただ、結構早くに発売中止になったので、知らない人も多いかと思う(本作品はそれとは直接的な関係はさすがにないと思う)。

他のピクロスシリーズと大幅に異なるのが、問題がポケモンをテーマにしたもの以外に、答えのポケモンが自分の仲間となって、問題を解く際に手助けしてくれるという点だ。
つまり、問題を解くたびに、新しいポケモンが仲間になってポケモンが増えていく。それだけでなく、仲間になったポケモンは、それぞれの特殊能力を使ってゲームクリアの役に立ってくれるのだ。

ただ淡々と問題を解くだけだった従来作と比べると、この一点では「ポケモンピクロス」は、かなり画期的に映る。

特殊能力の種類は一種類だけではなく、単純に答えのマスを開けてくれる「ボム系」の他に、塗ったマスがあっているかチェックしてくれるものなど、複数種に及ぶ。
力を使ったポケモンは、次に使えるようになるまでにチャージ時間が必要となる。
強力な効果を持ったポケモンはより長いチャージ時間が設定されている。大体一番短いもので、ごく一部にチャージ時間不要のものもあるが、30分から3時間程度、
伝説級のポケモンになると、24時間以上の時間が設定されている。

もちろん、ポケモンの力を借りずに、全部を自分の力で攻略していくことも可能となっている。

ゲームのボリュームとしては、通常問が約300問。更にそれをメガピクロス化したもので、合計600問。それとミクロスが2問。
ミクロスは、ステージごとに設定されたミッションのクリア報酬にミクロスのかけらとして散りばめられており、いきなり全部を解くことは出来ないところが中々面白い作りとなっている。

単純にボリュームだけを見ると、通常の「ピクロスe」2本分で、期待できる内容に思えるかもしれないが、無視できない問題点も多い。

このゲームは、基本プレイ無料として発売された。
そのため、ゲームを先に進めるためには、ことあるごとにピクロイト(いわゆる課金石)が要求される。

例えば、ステージはエリアごとに区切られており、1つのエリアを解放するたびに、このピクロイトが必要になる。エリア数は全部で30。
それから、マスを1つ塗りつぶすごとに消費するPゲージというものがあり、1分で1ポイント回復するが、このPゲージがなければ、問題を解くことが出来ない。
このゲージを拡張する際にも全快するにもピクロイトを要求される(最大まで拡張すると、無限となる)

ピクロイトはお金を払って買う以外にも、ゲーム上でも手に入れることができる。
ステージごとに3〜4つ設定されたミッション(課題)をクリアする、メダル(いわゆるアチーブメント)を手に入れる、そして1日1回だけ出来るデイリートレーニングをクリアするなどで手に入る。

デイリートレーニングを毎日コツコツ続けてピクロイトを溜めることも出来るので、日にちはかかるが無課金でも全て遊び尽くすことは出来る。
目安として、全エリアを開放しながらエンディングまでが8ヶ月間。完全クリアまでは10ヶ月半必要になる。

アイテム課金制といっても、ガチャはないし、買えるものはピクロイトのみである。さらに、課金上限が設定されており、ピクロイトを5000個購入すると、それ以降は無料で補充できるようになる。
5000個までに必要な料金は、最大で3750円で、まとめ買いやセールを駆使すれば、3000円程度まで抑えることが出来る。

なので、性質的には一般的な基本無料のアイテム課金制のゲームとは違って、どちらかと言えば、売り切り型のゲームに制限をつけて販売しているといった形が近い。
ゲーム自体がオフラインのスタンドアロンで、ネットワークにつながっていてオンライン要素があるわけではなく、パッチを当てたり、期間限定のイベントが発生したりもない。

課金してピクロイトを買うことで、日数をかけずに先へ進むことが出来るが、こんなことを書くと本末転倒かもしれないが、このゲームは無課金で遊ぶことを想定した作りだと思う。

まず、パスワードを入力すると遊べる問題が4つあり、これが発売日から1ヶ月以上かけて、メディアで公開していく形を取っていた(現在は公式サイトですべて公開されている)。
次に、幻のポケモンという問題があり、これも、特定の時間にランダムで出現するようになっている。この幻のポケモンは一気に進めてしまうと、なかなか出会うことが出来ない。

また、安易に課金してしまうと、ゲーム上の報酬で設定されたピクロイトの魅力が薄れてしまう。わざわざやりこんで手に入れてやろうという気持ちがなくなってしまうのだ。

しかし、逆に、無課金で遊んでいれば必ずしも楽しい状態かというと、そうでもないというのが微妙なところだ。

ゲームを進めるために必要なピクロイトが、ゲーム上で手に入るピクロイトより当たり前だが多い。そのため、たいてい1週間から2週間位は、デイリートレーニングでひたすら溜めるだけしかやることがない。
ゲーム後半以降は、膨大なピクロイトを要求されるために、かなりの日数を足止めされる。この辺のバランスがどうにも悪い。

ミッションクリアやメダル取得でもらえるピクロイトが一律で3ポイントとなっているが、クリアの難易度が高いものでも3ポイントしかもらえないのは、どうにも調整不足といった印象がある。

他にも、冒頭で指摘したが、「ポケモンピクロス」で追加されたシステムが、後付っぽい印象を持ったのは、操作性の統一感のなさである。

ボタン操作に対応しているのが、問題を解く場面だけで、それ以外のステージ選択、ポケモンをセットする操作はすべてタッチ操作しか対応していない。
それも困ったことに、タッチ操作では出来ない操作があり、ウィンドウの情報切り替えをボタン操作に割り振っていたりする。
これらの操作性やインターフェイスが良ければ気にもならないのだが、なんだか突貫工事で付け加えたような荒っぽさがあり、非常に作りが悪い。

特に所持ポケモンのリストは、かなり見づらく、ソート機能や絞り込み機能がついているものの、なぜこんなに使いづらいのか!?というほどのもので、かなりがっかりさせられた。
もっというと、ポケモンのスペックだけでなく図鑑風の解説文の項目も付けてほしかったのは贅沢な欲求だろうか。

ステージごとに設定されているミッション(課題)や、メダルの獲得条件、ラインナップも、時間がなかったのかなんだか適当に設定されたような節がある。
特にミッションクリアするために、ポケモンの能力使用を強制されるのは、自力で解くスタイルの人には辛い作りだ。
また、基本的にミッションクリアは、クリアに必要なポケモンさえ持ってれば、簡単にクリアできるものばかりだが、一部では、解法を丸暗記して挑まないと厳しいものもある。いくらなんでも難易度にムラがありすぎ。

思うに、ポケモンを題材にしたピクロスを作ることだけはかなり先に決まっていたのだろうが、それ以外の部分、基本無料であったり、このゲームの独自仕様が開発後半かそれ以降に決まったのか、
あるいは、数々の仕様変更を経て今の状態が出来上がったのか、いずれにせよ、どうにも迷走したまま作られていってしまったように思える。

従来の売り切り型でいいのに...という声が多いが、個人的には、基本無料と決めた割には、そこら辺が練り込み不足で、なんだか色々もったいないゲームになってしまっているように感じる。
いわゆる良くある基本プレイ無料のスタミナゲーとは異なり、1日2分弱のミニゲームを1回やるだけで課金石が貯められる、それ以外にやることのない負担の少なさは良心的であるものの、全クリアまでにかかる日数があまりにも長過ぎるように思う。
そこで結論。

もっといいやり方はいくらでもあったはずだ!と思わせる作品。





[2016/10/17]
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