ポポロクロイス 月の掟の冒険


対応機種プレイステーション2
発売日2004/03/18
価格5800円
発売元ソニーコンピュータエンタテインメント

(c)2004 Sony Computer Entertainment / G-Artists / Yohsuke Tamori
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「ポポロクロイス はじまりの冒険」の続きが描かれた、シリーズの続編が堂々登場!!
セルシェーディングされたアニメタッチのポリゴンキャラクタたち、弱冠8歳のピノン王子を主人公に繰り広げられる小さな小さな大きな冒険。
テレビ東京系列でテレビアニメのタイアップも行われた、SCE看板RPGタイトルの一つ!

ストーリーが、最初にも書いたとおり、前作「ポポロクロイス はじまりの冒険」から時系列が続いている。
それなりに独立した物語になっているものの、前作を遊んでいることがほぼ前提の作りになっている。

また、ゲームエンジンも前作をベースとしたものを改良したような作りになっていて、前作のレビューでも指摘した、「続編ありきの企画」で動いていたのは、間違いではなさそうだ。

とにかく、ロードが凄い。一体何をそんなに読み込んでいるのだろう?って言いたくなるほど、ディスクアクセスが激しい(下手すると本体壊れるんじゃないか?って位)。
ロード時間も結構長くて、戦闘への切り替わりや画面の切り替えが来ると非常につらい。

思うに、ゲーム自体がハードディスク装着を前提とした作りだからではないだろうか?
前作の時点で、そのような傾向があった。HDDインストールでは快適だが、HDDを使わずプレイすると、結構ロードがひどかったようだ。

(ゲームエンジンは引き継いでいるっぽいのに)前作ではHDD対応だったが、何故か今回はHDD非対応となっている。このあたりが、そもそも理解に苦しむ所だ(デバッグに時間取られるのを嫌がったか?)。

というわけで、今作ではHDD持っている人でも等しく(文字通り)ロード地獄を味わう羽目になり、快適度は一気にダウン。
HDDが一般普及しなかったからと、HDD非対応にしてしまったのは、かなりまずかったように思う。

前作を踏まえてゲームシステムも大きく変えてきているのだが、結局のところ「上辺だけ」で、根本的な部分が変わっていない、というのが全体的な印象。

まず、フリックというシステム。
これは前作にあった、フィールドにあるブロックを押し引きして仕掛けを作動させるアクションを発展させたもの、と考えて良い。
簡単に言うと、押し引きしていたブロックを蹴っ飛ばして動かすとか、炎、水、風の3種の精霊石を取り出して蹴っ飛ばして仕掛けを作動させる、
爆弾を使ってヒビの入った壁が壊せる、ちょっと毛色が異なるが、フルーツを取り出して動物に食べさせることが出来る、といった多彩なアクションを用意している。

だが、結局のところ、ブロックを押し引きしてたのを、蹴っ飛ばすゴルフゲームみたいなことをやらされるようになりただただ面倒になっただけという印象しか無い。
仕掛けの解き方も、回りくどくわかりづらくなっており、「一体何をどうすれば先へ進めるのか!!」と言った状態に陥ることも珍しくなかった。

フィールドでの遊びを増やしたつもりなのだろうが、とんでもない、大失敗である。
そもそも、余計な面倒事を増やしたといった感じで、それ自体が面白くないのだから、困ったものである。

次に、戦闘について。
こちらも色々変わっているのだが、どうにも作りが甘くて面白さにつながっておらず、特にゲームバランスがひどい。

まず、キャラごとにゲージを表示していた前作から、ゲームアーツ「グランディア」のように、ゲージを一本化して右端にアイコンが到達したキャラが動けるというインターフェイスに一新した点は良い。凄く見やすい。
ただ、相変わらず気合いゲージがあり、それ自体は別に良いのだが、溜めているキャラがいるときの操作性がイマイチで、わざわざ溜めるぐらいなら攻撃しちゃえ!としたくなるほど、操作がやり辛い。

また、新しい要素として、早く戦闘を終わらせると早さに応じて最大5つのボーナスが貰える(お金、アイテム、HP,MP回復、EXPボーナス等)というシステムは、適度に緊張感を与えることに成功している。
が、ボーナスが消えるのが早すぎるように感じる。手早く倒して丁度よいって感じで、敵が何体出現しようが、出て来る敵が弱かろうが強かろうが、最大5つのボーナスが消えていく速度が一定である。

つまり、弱い敵が1体しか出てこなかった時は余裕で5つのボーナスが得られるが、敵の数が多かったり強い敵が混ざっていた時は、ボーナスを得るのがかなり難しくなる。

せめて、敵1体倒すとボーナスが消える時間が延長されるとか復活するとか、後ろの方のボーナスが確定するとかぐらいやってくれないと、ちょっとやってられない。
それと、ボーナス報酬の中にお金が入っていて、これを取り逃すと、戦闘で得られるのが経験値のみというのはひどい。倒した敵に応じてお金も手に入るようにすべきだった。

そして、全体的にゲームバランスがマゾい。
そもそもLV1から2にするところが、ゲーム最大の難所といってもいいぐらいバランスが取れていなくて、ゲーム開始直後に「これはやばい香りがする」と思ったら、本当にやばかった。

とにかく、やたらめったら経験値稼ぎを要求される所が多くて、終盤なんて絶対狙ってやってるだろ!!と開発者を逆恨みしたくなるぐらい、
パーティキャラのレベルを上げてやらないと、やってられない作りになっており、これがかなり辛い(サクサク上がっていた前作とは異なり、レベル自体もかなり戦わないと上がらない)。
おそらくプレイ時間の殆どは、レベル上げに費やしていたんじゃないだろうか?

かといって、戦闘自体に戦略性が加わったかと思えば、それもなく、武器防具の種類は少ないし、特技も1人3つだけ。基本的にはレベルを上げて全体攻撃の特技と、攻撃連打で押し切るぐらいしか出来ることがない。

後、相変わらず、同じ場所の行ったり来たりをくどいぐらいに繰り返させられるというのも、ゲームのテンポが悪くなるだけだし、なんとかして欲しかった。
(フィールドが狭いのをごまかしたかったのだろう)

一方、ストーリーについて。

これは、肩透かしだった前作と比べると、見違えるほど良くなっている。ちゃんと“ポポロクロイス”していると言っても言い過ぎではない位。

ただ、序盤から中盤あたりまでは、前作のようなのんびりとしたノリで「今回もストーリーはショボいんだろう」と見切りをつけられるような展開になってしまっているのは惜しい。
フィールドマップは、相変わらず狭いし、そのくせ、一度行ったら行けなくなる場所も凄く多くて、RPGとしては非常に勿体無い。
船をもたせるのなら、今まで行った場所に行けるようにしておけば、だいぶ気分的に開放感が出て、プレイ感覚も違ってくるだろうに。

今回、ピノン、ルナ、マルコの3人の他に、さらに3人仲間が増えて最大6人パーティになるのだが、どうせ戦闘に出せるのは3人までだし、3人の固定パーティで通して欲しかった。
それか、仲間になると言っても、ピノンと同世代の子供にして欲しかった。メンバーの年齢層に統一性がなくなってしまったため、中盤以降は独特の空気感、雰囲気がすごく崩れてしまったように思う。

ゲームとしては、正直言ってかなり雑な部分が多くて、「これはひどい」と言わずにはいられない。戦闘バランスの悪さ、インターフェイスの悪さ。そしてロード地獄と揶揄されても仕方のないほどのディスクアクセスの多さ。
ここまで書いてこなかったがジャギーがひどくて、ウィンドウ文字が読めたものではないこと、オプションの設定が記録されないというのも、PS2のゲームとしてはありえない酷さだ。
起動するたびにメニューのオプションを開いて、メッセージ速度を「はやい」にするとか、ファミコン時代のRPGを思い出してしまうノリだ。

謎解きの答えが分かりづらかったり、ムービーの後、何をしたらいいかわからなくなることが多いなど、書ききれないほど不満点が多い。

仲間になるメンバーが6人に増えたり、フリックという謎システムといい、それと、戦闘バランスが異様にマゾくなっているというのは、おそらく理由があって、
前作の感想をアンケートでも取って調べた上で、不満点を取り除こうとした結果が、今作の内容に反映されているのではないだろうか?

不満点をなくそうと改善しようとしたのに、さらに悪くなったという、なんとも言えない結果に陥ってしまっているのが、また悲しい。そこで結論。

ストーリーは悪くないが、それ以外がかなり厳しい。





[2018/02/11]
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