デュープリズム


対応機種プレイステーション
発売日1999/10/14
価格5800円
発売元スクウェア

(c)1999 SQUARE
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スクウェアが送る、ライトファンタジーな3DアクションRPG。
ルウとミント、2人の主人公から選択し、シリアス(ルウ編)&コメディ(ミント編)の展開が待ってる、基本は忠実ながらも色々目新しさが見られるゲーム。

スクウェアだけあって、グラフィックは鮮やかの一言。3Dアクションということでフルポリゴンだが、上質な出来で、特にテクスチャーの完成度が素晴らしい。
アニメのような明るいタッチで、滑らかにグラフィックは描画されており、キャラクタのモデリングやモーションも完成度高い。
また、ムービーの類に一切頼っておらず、全てリアルタイム処理しているのも良い。アドバルーンデモぐらいなら使ってそうなもんだが、それも含めて一切使っていない。

カメラワークは基本的に良い位置をとってくれるが、ジャンプアクションのシーンなどで苦心の跡が見られ、一部操作しづらい箇所もある。が、ほとんど気にならない。
なお、拠点の街の建物の中では、一部カメラワークをL1,R1ボタンで操作できる場面があるが、不要と言っても良い機能で、バッサリなくしても良かったような気がする。

アクションRPGということで、成長要素があり、攻撃力防御力は店屋でそれぞれ武器防具を買い替えていくことで強化を図り、HPはダメージを受ければ受けるほど最大HPが上昇し、MPは使えば使うほど最大MPが上昇していく。
つまり、ゲームが上手な人は、あまりダメージを受けずに低いHPでクリアし、逆にゲームが苦手な人は、自然と最大HPが成長しているという、実にうまいバランスコントロールをシステム側で行っている。
また、冒険途中で力尽き倒れたときのコンティニューには特定のコインが必要で、これがまた緊張感を高める役割を果たしている。ゲームオーバー時にはコンティニューの他に街に戻るコマンドがあり、
その際、倒した敵(お金になる)や、最大HPや最大MPが成長した状態で戻れるので、装備品を整えたりすれば、いつかは突破可能となるバランスになるようにうまく作られてる。

ただ、シンプルにしたかったのはわかるのだが、救済策の一つとして回復アイテムを持ち込めるような要素も欲しかったといえば欲しかった。
ミント編では回復魔法を唱えることが出来るのだが、ルウ編ではそれがない。最大HPを増加させたり、装備品を整えるだけの強化にもそれなりに限界はある。

アクション自体の作りは、悪くもないが良くもないといった程度の出来で、何というか実に大雑把な作りである。
敵をボコボコにしようと攻撃したら、逆にボコボコにされてたり、アクション自体の作りは、なんというか大味な印象が強く、その大味さを装備品の強化などでこちら側が強い状態で補うことで成立させている感じだ。
ザコ戦はそんな感じであるが、ボス戦はどれもそこそこに手強く、倒し方を探したりなどで、手応えのあるバトルが楽しめるようになっている。
難易度は高いというほどではないが、何度も挑戦すれば着実に攻略できる程度のものではある。

そしてこのゲーム、ストーリーが凄く良い。
特に、コメディタッチで展開されるミント編の出来が素晴らしく、「ちゃちゃっと世界征服」なノリがかなり面白い。
もちろん、シナリオの核心に迫るルウ編も見逃せない内容となっていて、両方プレイすることで物語の全容がわかるという作りとなっている。
どちらのキャラクタも、ほぼ同じダンジョンを巡ることになるが、まずストーリーが変わっているし、その上キャラごとに一部別ダンジョンを行かせたり、同じダンジョンでもボス戦が変わっていたりして、
2周目も飽きずに楽しめるようになっている。
プレイ時間も1周、10時間弱程度(私は7時間程度だった)と、そこまで長過ぎないボリュームになっているのも良い。

システム的にも違いがあって、ルウは倒したモンスターに変身出来るのと、ミントは魔法を手に入れて戦うというシステム上の違いがあるので、プレイ感覚はかなり変わっていて、そういう面でも楽しめる。
ちなみに、ルウのモンスター変化のシステムは、同社「ブレイブフェンサー武蔵伝」のゲットインシステムを思い起こさせるが、本作と特に関係があるわけではないようだ。

ストーリーを中心になかなか小粒ながら良くまとまった作品で、肝心のアクションRPG部分は難が見受けられる部分はあるものの、さほど気にならず、サクッと楽しめる作品に仕上がっている。
(この頃の)スクウェアは、変に力を入れてシリーズ物にするものよりも、こういう小規模なプロジェクトのほうが良い仕事をする傾向にあるように思う。

ミント編で抱腹絶倒し、ルウ編で泣け!ストーリーを中心によくできた名作。





[2020/03/18]
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