クロノクロス


対応機種プレイステーション
発売日1999/11/18
価格6800円
発売元スクウェア

(c)1999 SQUARE
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鳥山明、堀井雄二、坂口博信の3人を集めて「ドリームプロジェクト」と銘打ち開発された超大作RPG、「クロノトリガー」の続編が堂々登場。
冒頭に挙げた3人は今回の続編には関わっていないが、彼らのもとで「クロノトリガー」の開発を行ってきたスタッフの手によって作られている。
新たにキャラクターデザインに結城信輝を迎え、パラレルワールド(平行世界)をテーマに送るファンタジーRPG。

グラフィックは、プリレンダCGの一枚絵+ポリゴンキャラクター、戦闘シーンはフルポリゴンの3DCGという同社「ファイナルファンタジー」シリーズで確立した手法を使っている。
特に気になる点として挙げたいのが、ポリゴンのモデリングやテクスチャーのクオリティがプレイステーションとは思えぬほど高質なものに仕上がっている。
特にバトル画面に顕著にその凄さが現れていて、「このクオリティをプレイステーションで本当に動かしているのか?」と疑問を呈してしまうほどクオリティが高い。
背景の作り込みもすごけりゃ、味方、敵キャラそれぞれのモデリングにも一切の妥協がない。
流石、グラフィックのスクウェアというだけあって、ビジュアルに関しては他社に一歩抜きん出るパフォーマンスを発揮してくる。
戦闘シーンはきつそうな処理をしていながら、快適に操作が出来て、破綻した部分などもない。それにしても、すごい技術力だ。
ただ、さすがにロード時間までを削っている余裕はなかったみたいで、戦闘シーンの切り替えにかかるロード時間はちょっと長め。
それも、シンボルエンカウント制を採用していて、頻繁に戦闘を繰り返す作りではないのであまり気にならないように作ってある。

ストーリーはパラレルワールドをテーマにしていることもあって、だいぶ複雑で、加えて前作の「クロノトリガー」をクリアしていることを前提に作られている部分がある。
重要な情報が、これと言った伏線がなく後半まで溜めに溜めた上で一気にだーっと明かされてしまったり、ゲームを進める上で必要な情報も一度しか言わなかったり、ちょっと練り込みが不足しているところが目立つ。
ゲーム前半の部分では結構細かくシナリオが分岐して、2周3周と遊べる作りを目指しているようなのだが、ゲーム後半はほぼ一本道になってしまっているのは、惜しい。意味ありげな選択肢も実は意味がなかったりともったいない。
パラレルワールドがテーマということで、2つの似ているけどちょっとずつ違う世界を舞台にしているが、ゲーム的にはあまり活用しきれていなかったようなのが残念。ストーリー的には大きな意味合いを持っているというのだけが救い。
前作の「クロノトリガー」でハッピーエンドの大団円で気持ちよく終わっているのに対し、それを否定する世界観というのも、ちょっと厳しい。気持ちの持っていきどころに困る。
同一の世界を舞台にしているのに、キャラクターデザインは違うし、作風も全然異なっている。何をやりたかったのかわからんというのが正直なところだ。

やたら仲間になるキャラが多く、パッケージには総勢40名以上のキャラが仲間になるということが売りの一つとして書かれている。
「クロノトリガー」の続編で、そんなことを売りにされてもなあって感じがする。
たくさんキャラが仲間になるのはすごいことだけど、その分一人一人のキャラの掘り下げが薄くなりがちで、あまりにも色んなキャラがどんどん仲間になるので、仲間になったことさえ忘れてしまったキャラがいるほどに。
うーん、こんなところでの作り込み、必要だったのか?と思わせる。

一方で、バトルシステムは新規のものを持ってきているが、よく考えられており、非常に面白い。
属性のついたエレメントをキャラごとに装備させ、通常攻撃を当てるごとに貯まるパワーレベルを消費して、このエレメントを繰り出す。一回の戦闘で同じエレメントは一度しか使えない。
使ったエレメントの属性がフィールドの場に3つまで残り、エレメントの威力に影響を及ぼす。敵味方の属性以外に場の属性も考えた戦い方を要求される。
エレメントの配置はカードゲームのデッキ編成に似た面白さがある。
ただ、ゲームとしてはガッチガチの作りではなく、強いエレメント攻撃を高いレベルに配置して、適当に繰り出しているだけでもなんとかなってしまうゲームバランスになっており、そのバランスのとり方は「絶妙」といえる。

気になった点としては、こちらの行動はスタミナが1以上(最大7で時間経過とともに回復する)ある限り、好きなタイミングで行動できるのだが、敵の行動がなんの法則性もなくいきなり割り込んでくるような形になっていて、そのへんが理不尽に感じてしまった。
行動パターンは(特にボスキャラは)明確に決まっているようなのだが、ザコキャラはある程度ランダムに行動するようだ。
あと、キャラクタにエレメントを装備させなければならない関係上、気軽に色んなキャラを使う事ができないというのも困りもの。
一応、自動で配置してくれる機能もついているのだが、「おすすめ」と書いている割に、ちっとも使えない。困ったものだ。

メニュー画面はハイレゾで描かれているのだが、文字が小さくおまけにちらついて見づらいし、エレメントの文字なんか完全に埋もれてしまっていて、まともに見れたものではない。
インターフェイス自体は悪くないのだが、視認性が壊滅的で、なぜこうしたのか?理解に苦しむレベル。

単体のゲームとしてはスクウェアのRPGらしく、技術力が高くバトルパートを中心に完成度が高く出来上がっているが、これを「クロノトリガー」の続編として開発して正しかったのか?という点においては疑問が残る。
開発期間もあまり満足に持てなかったのか、練り込みが不足している印象が強い。
特に、最初からこういうゲームにするという完成形が明確に決まってなくて、二転三転した末に出来上がったものという感じがするのだ。

「クロノトリガー」の続編としては荷が重すぎたが、一本のRPGとしてはそれなり。





[2020/02/16]
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