ファイナルファンタジー7


対応機種プレイステーション
発売日1997/01/31
価格6800円
発売元スクウェア

(c)1997 SQUARE
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プレイステーションにプラットフォームを移し、CD-ROM3枚組という大容量でリリースされた大作RPG。

このゲームが発表された時、あのFFがニンテンドウ64ではなく、プレイステーションで発売されることに業界は騒然となった。
個人的には、FFシリーズの求める方向性は、ROMカートリッジの64よりも、CD-ROMを採用したプレイステーションのほうに近いものがあったので、「やっぱりな」という印象だった。
もちろん、それを差っ引いても、このニュースに驚いたことに変わりはない。

ゲームのプログラミング技術が他のゲームと比べ数段というか、桁違いに高い。
キラータイトルということもあってか、ソニーからの技術協力や支援もあったのだろうと思われる。
ハードウェアを底から叩いて、性能を限界まで引き出している。技術レベルだけみれば、最高クラスといっても過言ではないクオリティである。

CD-ROMのゲームでありながら、画面の切り替わりのディスクアクセスによるストレスを、全く感じさせないように作られている。
メニュー画面、バトル、マップの切り替え。全てが、適切なタイミングで、待ち時間を感じさせないように読み出しを行なっていて、非常に快適に作られている。
読み込みのタイミングも、かなり強引というか、従来の常識を覆すような無茶苦茶なやり方でやっていて、かなり凄い。

このように、技術的な部分での凄さを挙げていくとキリがないのだが、いくつか代表的なものを述べる。

通常マップから画面の暗転なしに、シームレスにCGムービーに移行する。
さらに、ムービー再生中も画面上のポリゴンモデルの座標をムービーとシンクロさせて映像に合わせて違和感なく動いたり、さらには操作することが出来る場面まである。

戦闘シーンは、背景、敵、味方、全てポリゴンで描かれているが、異様に処理が軽い。というか、どんな状態でも処理落ちすることが全くない。

町やダンジョンといったマップは全て、プリレンダCGの一枚絵で構成されており、従来の見下ろし型ドットマップから脱却し、新しい手法に挑戦している。
この辺はあとで詳しく触れるが、こういう表現方法を取ったことで、人海戦術で、立体感や構図に凝ったり、バリエーションに富んだマップを沢山作ることができる。そして実際作っている。
欠点やデメリットも多くあるのだが、この規模のゲームを、一発目からよくここまでまとめ上げたものだと思う。そのチャレンジ精神は高く評価したい。

いっぽう、ワールドマップはフルポリゴンで、結構でかいマップだが、裏読みを駆使して、1枚のマップに収めている。
CD-ROMのゲームでよく使われているのが、舞台となるマップを(メモリに収めきれないので)エリアで分けて分割して管理しているテクニックだ。
ハドソン「天外魔境2」のように、はじめから区切ったエリアをプレイヤーに隠さず見せているものもあれば、大概のRPGは、プレイヤーに気づかせないように大陸ごとにマップを分けてたりしてごまかしている。
それを、このゲームではさも簡単に1枚のマップで表現している。

それではゲームとしてはどうかというと、結構気になるところの多いものになっている。

バトルシステムの核となる、マテリアシステムは、実にFF的で、それ自体はかなり面白い。
装備品によって、マテリアが付けられる数が異なったり、成長率が違ってたりする。
マテリア自体に経験値が入って成長し、より強力になる。特定のマテリア(アビリティ)を2つ組み合わせることで、互いの効果が合体して高い性能を発揮するようになるなど、カスタマイズの楽しさを最大限まで引き出している。
マテリア(アビリティ)の種類も当然のように豊富であるなど。

しかし、肝心のゲームバランスが非常にヌルくて、工夫する楽しさが無い。

おそらく、細かいゲームバランスの調整まで手が回らなかったのではないだろうか?

もう一つ戦闘シーンで感じたことがある。
それは、召喚術の演出の長さである。

敵を手っ取り早く倒したくて、強力な全体攻撃の召喚術を使うのだが、この演出がべらぼうに長く、普通に攻撃したほうが早く倒せてしまう。これでは本末転倒だ。
召喚術だけでなく全般的に攻撃時の演出が長いので、終わるのをただ待っているだけで退屈になる。そうなると、本を読みながら、テレビを見ながらのながら作業になる。これではゲームとしてはかなりつまらない。

先ほど述べたとおり、マップはプリレンダCGの一枚絵で、かなり綺麗に描かれている。
マップごとに構図や絵柄も全く異なっていて、見た目の綺麗さにかんしてはずば抜けているのだが、欠点もかなり多いものとなっている。

まず全体的に統一感がなくバラバラなマップ構成で、どこでマップが切り替わるのか、出入り口もわかりづらく、どこが歩けてどこが歩けないのかといった記号的なわかりづらさ、
方向キーのどのボタンを押せば、どの方向に動くのかといった、ゲーム全般を通しての、決まりごとが定まってないので、とにかく混乱する。
ドットチップだったころとは異なり、規格が決まっていない弊害で、見た目だけは良くなっているのだが、実際やってみるとイライラしてしまう部分が目立っている。

悪いことではないのだが、ミニゲームが非常に多い。
それだけ、力の入っているゲームという解釈が出来るのだが、たびたびRPGとしてこれはどうなのだろう?と疑問になるミニゲームもいくつか見られた。

また、巨大過ぎるゲームのせいなのか、台詞の誤字脱字が非常に目立つ。数的にはそんなに多くないのだが、有名RPGにしては、ちょっと多い気がする。

最後になるが、これまでFFシリーズは天野喜孝がイメージイラストを描いていたが、今回はグラフィックをポリゴン化したこともあるのか、社内のデザイナーの絵を使っている。
これがまた、微妙。スクウェアのRPGは、鳥山明や結城信輝など比較的名の通ったイラストレーターに依頼しているだけに、発売前の雑誌で公開されたとき、技量の差にかなりがっかりしてしまった。

技術的には前例のない前衛的な挑戦が目立つ作品なせいか、ゲームとしてのこまかい作りこみがきちんと出来ていない節があり、イマイチ退屈で無難な作りに感じた。そこで結論。

技術レベルでは革新的。しかしゲームとしてはそれなり。





[2012/03/17]
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