がんばれゴエモン 宇宙海賊アコギング


対応機種プレイステーション
発売日1996/03/22
価格5800円
発売元コナミ

(c)1996 KONAMI
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横スクロールアクション「がんばれゴエモン」のプレイステーション第一弾。
ゲームシステムは「がんばれゴエモン3」を踏襲しており、インパクトステージではポリゴンを使うなど画期的な試みも見られる。

絵のタッチがいつもと違う。台詞やギャグのセンスにも違和感を感じる。スタッフロールを見ると、ゴエモン制作をしてきたスタッフとは異なる人間が作ったようだ。
僅か3ヶ月前に、スーパーファミコンでもシリーズ作品が発売されていた。本流スタッフはそちらで開発していたのだろう。

だが、違和感がありつつも、独特のシュールなノリでコミカルなゲーム展開を演出している。
ストーリーは、かなり行き当たりばったりでめちゃくちゃだが、なんとなくやりたいことはわかる(ゲームとしては最悪のレベルとも言えるが)。

トップビューのフィールドマップとサイドビューのアクションステージを交互に攻略していく。
しかし、トップビューのフィールドマップは正直言っていらなかった。変に立体感を出そうとドット絵を斜めにして、建物をポリゴンの張りぼてで表現しているが、どこが歩けてどこから歩けないのか記号的にわかりづらいのだ。
また、マップ密度も悪く、視界が狭いので、窮屈な印象を与える。

敵が出現する街道は、一本道があみだくじのように枝分かれしているだけで、行き止まりには何もなく、目印になるものもなく同じ構造のマップを歩かされるため、無意味に迷う。
はっきりいって街道ステージはいらなかった。テンポを悪くしている。

マップ上には、銀の招き猫が隠されており、これを4つ集めるとライフ上限がアップする(ゼルダの伝説のハートのかけらと同じシステムである)。
こんな探索要素を付けているのに対し、ゲームを進めてしまうと前のマップに戻れない。行動範囲がかなり限定されている。それならば探索要素なんて付けなければいい。

いっぽう、サイドビューのアクション面は、従来通りドット絵で作られており、違和感無く遊ぶことが出来る。
少々動きがかくつく感じがするが、完成度としては及第点を与えられる。特にボス戦にやけに力が入っている感じが?
一部のギミックに強制的にダメージを受ける所があり、開発期間の足りなさからか見落としなのでは?と感じる箇所があった。

キャラクタを切り替えてギミックを解いていく仕掛けがあるが、相変わらずプレイヤーキャラの変更はセレクトボタンで順送りのままである。不便なので何とかして欲しい物だ。

巨大メカ同士が戦い合うインパクト戦は、これまでスプライトの拡大縮小で処理していたが、プレイステーション向けに制作されたことで、ポリゴンを使用出来るようになった。
ポリゴンとの親和性は高く、無理なく臨場感を出せている。
しかし、ゲームバランスと操作性に関しては、まだなれてないのか大雑把で、内容自体は稚拙な出来である。ポリゴンを使ったゲームはまだまだこれからという印象だ。

武器レベルにRPGのような経験値制を導入しているが、はっきりいって不要である。一定の所までゲームを進めたら自動でレベルアップで良いだろう。

画面の切り替えごとに発生するロード時間も長い。CD-ROMだから仕方ないのだが、やはりアクションゲームはテンポ良く遊びたい物だ。
これから!って時にロード画面に入る。これほど興ざめするものは無い。アクセス時間を短縮させる工夫はもっとも必要だが、せめてロード画面に入るタイミングは考えて欲しい。

町は入れる家屋があるのに、入ってみると誰もいない家が多かったり、やたら無意味なフラグ立てをやらされたり、本来何か入れる予定だったようなところや、ギミックの見落としのような未完成のところが多く見受けられた。
思うに、「がんばれゴエモン3」をお手本にした、次世代機プレイステーションでのゲーム制作の練習的な位置づけの作品だったのではないだろうか?

その証拠の一つとして、従来の技法がそのまま使えるサイドビューのアクションパートのステージ構成やキャラクタのアニメパターンの異様な豊富さなど、割としっかり出来ていた。

ところどころ、3DのCGムービーが入ったりするが、なんだか無理矢理感がねぇ…?

安定して遊べるシリーズであった「がんばれゴエモン」だが、本作は荒っぽい部分がやたらと目に付き、素直に楽しめなかった。
ただし、音楽は無駄に豪華で良い。CD-ROM媒体ならではの生音で、シリーズおなじみのサウンドがコナミ矩形派倶楽部によって豪華にアレンジされている。
シリーズのファンならこれだけで遊ぶ価値ありと断言しても言い過ぎでないほどだ。

色々苦言を呈してきたが、アクションゲームとしての完成度は悪くない。中身のないストーリーや、くどいお使い、全体的に漂う地味な雰囲気など、それ以外の部分が目に付くだけに惜しいゲームと言いたいだけだ。そこで結論。

ハードは進化しても、作り手の進化には時間が必要。





[2010/05/09]
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