がんばれゴエモン 来るなら恋!綾繁一家の黒い影


対応機種プレイステーション
発売日1998/12/23
価格5800円
発売元コナミ

(c)1986 1998 KONAMI / Konami Computer Entertainment Nagoya
戻る

コナミの掃き溜め所、短期間で駄作製造工場として悪い意味ですっかり有名になってしまったKCE名古屋。
主に移植や、ゲームボーイのソフトを作っているところだが、プレイステーション向けにオリジナル作品を初めて開発する(確か)。
ゲームは「がんばれゴエモン」の新作。既にサブタイトルからして滑っている感もあり、あまり期待はできないが、出来栄えはどうか!?

一言で言うなら、中身のないゲームである。

ジャンルとしては、フルポリゴンの3Dアクションだ。3Dといっても、N64「がんばれゴエモン ネオ桃山幕府のおどり」みたいに箱庭タイプではない。見下ろし型で、L1,R1ボタンで視点を回転させながらプレイする。

まず、グラフィック。ハイレゾ(高解像度)だが、ジャギーが目立つ。また、あまり見ない可変型フレームを採用している。
可変型フレームは、その名の通り、画面上のポリゴン数に応じてフレームレートが変動する。オブジェクトが少ないときは60フレームでなめらかに動くが、負荷が高くなるとガクガクになり、ひどいとゲームにならないほどになる。
つまり、扱いが難しい。PSは3Dグラフィックを扱うには貧弱なマシンなので、たいがいが30フレーム以下で製作される。ポリゴン数を削ってまでフレーム数を優先するメリットに乏しいためだ。

このゲームでも、ほとんどの場面は30フレームだ。負荷がダイレクトに反映されるので、ポリゴン数を限界まで削っている(プログラマの腕の善し悪しにも左右されるが、PSなんでこの程度だ)。
ハイレゾなので、テクスチャーはそれなりに綺麗。キャラクタのモデリングも及第点(ひどいのもあるがむしろデザインの問題)。ただしオブジェクト周りは極限までポリゴンを削っているので、見栄えは良くない。足場だけ描画して後は見えない壁でごまかしたり、そんなことを平気でやっている。
あと、ポリゴンの継ぎ目とテクスチャーの歪みが目立つのも、PSというハードが出て4年も経っているゲームの割にお粗末と言わざるを得ない。

マップは、町パートとアスレチックパートの2つあり、町パートは店や民家に入ったりして情報収集をする。アスレチックパートはいわゆるアクションステージだ。
町は外を歩いている人がほとんどいないし、四角張った建物が最低限置いてあるだけで、かなり寂しい。アスレチックステージは、敵も少なく、これといった仕掛けもない。最初から最後までずっと、足場と動くリフトの間をジャンプで飛び移っていくだけの一本道に終止する(ただしラストステージのみ同じマップチップをつなげただけのつまらない悪質な迷路ステージになってる)。
招き猫を集めると体力がアップし、巻物を集めるとコマンド入力で必殺攻撃を使えるようになるという、探索要素をつけているが、マップ自体が一本道なので、探す余地が無い。また、探索するにしては視点(角度)が悪く、ストレスが溜まってしょうがない。
それに、遠近感や距離感が掴みづらく、こちら側でうまく視点を調節してやらないとジャンプの飛び移りに失敗することが目立つ。

リフトや足場の配置を、プレイヤーのジャンプ力を全く考えずに置いている。はっきりいってつまらない。これは素人のゲームかと勘ぐってしまうほどひどい。
そして、敵。数は少ないが、体力がアクションゲームらしからぬ高さで、時間をかけてわざわざ倒す必要もないので、無視されることになる。仮に体力が減っても、回復アイテムが沢山落ちているので緊張感も全くない。
このように3Dアクションとしても、低レベル極まりなくゲームとして成立していない。

シリーズおなじみの巨大ロボ同士が戦うインパクトステージも健在だ。これまでは固定画面で敵の動きに対応する形のゲームだった。今回は、プレイヤーも動いて戦うことができるようになった。
だが、小判という飛び道具を無限に使える上に威力も悪くないので、わざわざ危険をおかして近接攻撃を仕掛ける意味が全くない。結局、敵と距離を取りながら遠くから小判をちまちま投げるだけ、必殺技ゲージが溜まったらんが砲(強力ビーム)を当てるだけという単純作業になる。
爽快感や迫力は全然なく、効果音やエフェクトは貧弱で、とにかくレベルが低い。

マップの少なさをごまかすためか、同じ場所を何度も往復させたりしてなんとかボリュームを水増ししようとしているが、露骨すぎて失敗している。プレイ時間引き伸ばし工作を使ってもなお、3時間もかからず終わってしまう薄い内容。これはひどいと言わざるを得ない。

陳腐でありきたりでご都合主義なシナリオもつまらないの一言に尽きる。作家性とかそういうものと無縁だったファミコン時代のゲームを思わせるいい加減な展開は時代錯誤を感じさせる。魅力がまるで無い。

音楽が無駄に豪華である。さすが音楽のコナミと言いたいところだが、ゴエモンなのにテクノだったり統一感がない。ゴエモンと言ったら和風サウンドだろう。このわかってなさはフリーのコンポーザーにでも委託したのだと思う。

他にも、アクションゲームとしても、全然ゴエモンっぽくなくて、ただゴエモンというキャラクタを借りてきただけの別ゲームである。もう少し、摺り合わせは出来なかったものか?

このように、ゲームとしては全てにおいてどうしようもない出来損ないなのだが、有名所の声優を起用していたり、プログラムも平凡で致命的なバグもなく、下手に上辺だけはしっかりしているので、ネタになるようなクソゲーでもない。ゆえに、クソゲーとしても全く楽しみどころのないゲームとなっている。そこで結論。

箸にも棒にもかからない駄作。





[2011/08/29]
戻る

inserted by FC2 system