がんばれゴエモン 大江戸大回転


対応機種プレイステーション
発売日2001/03/29
価格オープン価格
発売元コナミ

(c)1986 2001 KONAMI / KONAMI COMPUTER ENTERTAINMENT TOKYO / KONAMI COMPUTER ENTERTAINMENT KOBE
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がんばれゴエモンシリーズのプレイステーション版3作目。
PSで出るゴエモンは、本家スタッフが携わっていない作品ばかりで
内容自体全然別物だったりするが、
本作はその点で、SFCの「がんばれゴエモン2」のスタイルをまんま借りてきており、
変な冒険もしていないため、安心出来る。

だが、困ったことにこれが、そもそもゲームとして、2Dアクションとしての出来自体が
非常に悪く、つまらない。がっかり。心底がっかり。

今回のテーマは「リサイクル」ということで、
過去作品の仕掛けやネタがふんだんに取り入れられている。
ステージ最後に待ち受けるボスは、SFC版以降のゴエモンで登場した
最後のボスに相当するキャラが出てきたり、
ステージ構成も、主にSFC版の2辺りで見られたものが再構成されていて、
懐かしい雰囲気に浸れる。
音楽に関しては、ゴエモンシリーズ後期では最も高質な楽曲揃いの64版「でろでろ道中」の
音楽を若干CD-ROM用に音質を良くしてそのまま使われており、非常に豪華。

但し、これらはゲーム全体としてのクオリティが高ければ面白い物として
成立するが、その点でこのゲームの出来はひどいもので、
これらが、逆に使い回しの手抜きに見えてしまう。

とにかく全ての面で、作りがひどく出来が悪く、まともに遊べた物では無い。

本作のキモであるアクションは、
そもそもこのシリーズは、ゲームとして目新しく光る特別な何かはいつも無いが、
逆に内容や、基本のアクション部分をしっかり出来ているから、
ストレスなど一切感じることなく楽しく遊べたシリーズである。
だが、本作はこの基本部分の作りがとにかくひどい。

アクションの操作性が悪く、動きの融通が利かない。
ジャンプボタンの押し加減でジャンプ量を変えることすら出来ない。
どうにも動かし辛いのである。
そのくせ、アクションステージのバランスの取り方もいい加減で
たまに訪れるやけに難しい面で突っかかることが多く、そのたびに腹が立ってくる。
(ちなみに、難易度は全体的に高めである)

また、ステージのオブジェクトは全て「でろでろ道中」と同じく
ポリゴンで描かれているのだが、「でろでろ道中」とは違い
ただポリゴンで描いただけで、奥行きのある構成であったり立体感を感じさせる構造を
作ったような気の利いた場所が一切無く、わざわざポリゴンにした意図自体疑う。

ポリゴンにしたせいで、PSの性能ではテクスチャーも汚いし、
フレームレートも落ちたせいで、非常に見栄えが悪くなってしまっている。
当たり判定もそのせいで大雑把な上に、スクロールも大味、
壁かダメージトラップかといったオブジェクトのルール付けも今ひとつ分かり辛く
突然ダメージを受けたりする。本当にいいとこなしである。

ボス戦では過去作品のキャラと戦うのだが、
戦う前に彼らには台詞もなく、いきなり戦闘へ。なんとも寂しい。
そのボスキャラ自体も、元ネタを知っている人がニヤリとするような攻撃をしてくることもなく
非常につまらない。
どうして、こういう美味しい設定をもっと上手くいかせないのか!?

ディスクアクセス周りの仕様にも全く工夫が見られず、萎えるばかり。
画面が切り替わるたびに決して短くはない(画面が暗転して)ロード時間が入り、待たされる。
ひどいのは町ステージで、家に出入りするだけで長いロードで待たされる。
これでは、情報収集するのが億劫になるばかり。
しかも、ゲーム自体のつまらなさに比例するように、町の住人の台詞もつまらない。困った物だ。
100歩譲ってロードが長いのは許すにしても、もう少しゲームを途切れさせない工夫ぐらい
したらどうか?
CDに読みにいく度に、音楽が途切れ、読み終わるとまたイントロから流れ始める。
画面が切り替わった先の音楽も同じならば、いちいち途切れさせずに
ロード中もそのまま流すぐらいの工夫はして欲しい。
こうやってロードしにいくたびに音楽をぶちぶち切られると、興醒めしてしまう。
せっかく盛り上がってきた気持ちも一緒にぶっつりしぼんでいく。
一番ひどいのは、SFC版「ゴエモン3」のように、プレイ中にキャラチェンジが出来るのだが
キャラを変えるたびに一々画面が暗転してちょっとロードが入る。
これには参った。一応2人同時プレイもできるが、これでは到底やる気にならない。

ただ、シリーズお馴染みの巨大メカ同士が戦うゴエモンインパクトステージは
全体の出来に反して、結構良く出来ている。
操作周りやシステムでの妙なクセが無く、気持ちよく遊べた。
ささきいさおが歌う「戦え!インパクト」がフルコーラスで流れるのもコアなファンには嬉しい。

非常に手厳しい内容になってしまったが、
ゴエモンが好きな人が作っているな、という印象はクリアしてみてあった。
ただ、出来が悪いのは技術力に乏しかったりスタッフに恵まれなかったりというような
良い条件で開発することが出来なかったからではないかという事情を感じる。
これまでのようにただキャラを借りてきただけで本質的な中身が全然違う
アクションゲームを出されるよりかは、グッとゴエモンらしいゲームが戻ってきた。
しかし、救えないほど出来が悪いのも事実。
(合間に入るデモシーンのチープさもやけに気になった)

ゴエモンらしさがようやく戻ってきたが、残念ながら駄作。





[2004/03/20-2005/01/28]
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