ファンタシースターZERO


対応機種ニンテンドーDS
発売日2008/12/25
価格4800円
発売元セガ

(c)2008 SEGA
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「ファンタシースターオンライン」のシステムをベースにした、新作ゲーム。
世界観やゲームシステムは、さらなる変更が加えられ、リニューアルがはかられている。

これまではキャラクターイラストレーションは結城信輝(だったはずなのだが、調べても記録が出て来ない)だったのものが、窪岡俊之を起用してデザインを一新させている。
窪岡俊之といえば、今やすっかり「アイドルマスター」である。なんというか、セガ狙いすぎ!!

セガは未だに、携帯ゲーム機を低年齢層向けのハードと考えているのか、前述のキャラクタデザインも、小中学生を意識した柔らかいタッチで、ゲーム中の記述でも、なるべく英語を使わず、読みやすい日本語を駆使するなど、さまざまな配慮が見受けられる。
もうちょっと以前のシリーズのように、渋い雰囲気があっていいとも思うのだが…。
(上の年代は、PSPやPS2及びXbox360で展開している「ファンタシースターユニバース」に任せたいのだろうか)

ゲーム内容は、最初にも書いたが、「ファンタシースターオンライン」のシステムを継承したものとなっている。
ここで問題になってくるのが、入力デバイスの違いによる操作性である。
このゲームは、三人称視点で3Dのフルポリゴンフィールドを舞台に、敵を倒していく、アクション性の強いゲームとなっている。
3Dゲームでは、アナログスティックでの操作が今や当たり前であるが、今作はDSで作られているので、移動は十字キーを使うことになる。

カメラワークやカメラ操作などで、不便さを感じさせないように頑張ってはいるが、やはり今時3Dアクションゲームをアナログスティックなしで遊ぶのはかなり辛い。
逆を言えば、この環境下で良くここまでのものを作り上げたとも言える。

フルポリゴンのビジュアル再現性については、DSということを考えると、かなり高い次元に位置している。
フィールドマップをエリアごとに分割させたり、フィールドのポリゴン数を削るなどの工夫を重ねることで、4人パーティ+敵キャラを処理落ちなしで軽快に動かしている。これは驚異的とも言える。
ただ、造形にはあまり凝れなかったせいで、ダンジョンごとの風景の違いなどには、絵柄が違うだけで似たり寄ったりという感覚で、惜しいと言わざるを得ない(重箱の隅つつきのレベルではあるのだが)。

インターフェイスは、上画面にメイン画面、下画面は、キャラのステータスやマップなどのメニューインターフェイスが表示されている。
最初は取っつきにくい印象はあるが、慣れてくると実に使い勝手が良く、2画面の使い方に関しては非常にわかっていると言える。
しかし、デザインや操作性に関しては今ひとつこなれていない感じがした。
だいぶグラフィックに、マシンパワーを取られているせいなのか、ユーザインターフェイスに労力を割けなかったと見える。
なにせ、基本的にネットワーク対応を意識した作りなので、メニューを開いている間、メイン画面の処理を止めることが出来ない。

また、従来の「ファンタシースターオンライン」と同じことをDS版でも、なるべくやろうとしているせいもあってか、支障を来している面も見られる。
たとえば、装備品のパラメータの多さである。
攻撃力などの基本性能から、属性、特殊能力、アイテムの説明文など、表示させる項目がDSでやるにしては、ちょっと多すぎて、ページの切り替えなど煩雑になってしまっている。
いっそのこと、属性と特殊能力の項目は思い切って削除して、すっきりとさせても良かったのではないか。
あまりにシンプルすぎると淡泊になってしまうが、特殊能力は、レア装備品のみに付けておけば、見た目だけでなく、よりレアさが際だつ。

Wi-Fi通信を活用した協力プレイは当然ながら、一人用のシングルプレイも充実しているのがこのシリーズの特徴である。
このゲームでは、ストーリーモードによるシナリオも充実しており、一人でもそれなりに遊べる作りになっている。
「ファンタシースターオンライン」で指摘されていた、クエストなどでの物語性の弱さについて、反省しているらしく、キャラクタ性や世界観をかなりふくらませており、アニメーションムービーの挿入や種族別のマルチストーリーの導入など、なかなか力が入っている。

「ファンタシースターオンライン」からさらに、職業を大幅に増加させているのだが、その割にセーブデータが3つだけというのが惜しい。足りない。
ROMカートリッジという媒体を考えると、この辺り贅沢は言えないのだが、最低でも4つ、欲を言えば6つは欲しかった。

レベルアップのタイミングも小気味よく、キャラクタを成長させたり、レアアイテムを集めたりする楽しさは相変わらずで、入手したアイテムをリストアップさせたりと言った、機能の充実など、飽きさせない作りなのも、ポイントが高い。

「ファンタシースターオンライン」の長所だと思っていた点で、アクション性がありつつも、あまり敷居は高くないバランス調整が、間口を変に狭めず、誰でも遊べる作りになっていて好感が持てたのだが、本作では、「モンスターハンター」にでも影響されたのか、変にアクション性が強くなってしまっている。
コンボ攻撃のタイミングがシビアになってしまったり、敵の攻撃が複雑化し、避けるのが難しくなるなど、基本的にレベルアップをしていけば、誰でも先へと進める易しいゲームではあるが、下手な人はつまってしまうという作りは、なんとも不公平感が強い。

タッチペンを使った「ビジュアルチャット」を搭載していて、DSに内蔵されている「ピクトチャット」同様のチャットが出来る。但し、フレンドコードを交換した人のみ。任天堂のWi-Fiコネクションの規約に引っかかるからなのだろうが、これにはがっかり。売りの一つだろうに。
しかし、「ビジュアルチャット」はあっても、「ビジュアルロビー」が無いのは悲しい。これだけで、オンラインプレイの魅力が半減したと言ってもいいほどだ。さすがに無料でそこまで作り込みは出来ないのだろう。

なんちゅーか、この「ビジュアルチャット」と、Wi-Fiの無料ネットワークプレイだけをやりたいがために、DSを選んだだけに見える。
「モンスターハンターポータブル」大ヒットに、セガが勢いであわてて作ったようなゲームに感じた。

「ファンタシースターオンライン」を参考に作られた「モンスターハンター」なのに、「モンスターハンター」ほど流行らないのは、残念な限りだ。流行らない理由も、なんとなく遊んでみるとわかるのだが…。

中途半端なアクション要素の強化、ロックオン性能やカメラワーク、そして操作性の悪さグラフィック周りの粗悪さ(DSと見て考えれば決して低レベルではない)などが重なって、今回のはあまりやり込みたいとは思えなかった。そこで結論。

「ファンタシースターオンライン」はもっと面白かったはずだ。駄作。





[2009/01/15]
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