ワイルドアームズ2nd IGNITION


対応機種プレイステーション
発売日1999/09/02
価格6800円
発売元ソニーコンピュータエンタテインメント

(c)1999 Sony Computer Entertainment / contrail / MEDIA.VISION
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音楽とストーリーに高い評価を得た人気ソフト「ワイルドアームズ」の2作目。
CD-ROM2枚組の大ボリュームである。

前作は、RPGとしての必然性に今ひとつ疑問を持ったが、どういう対処を施しているかも
気になるところだ。

この作品は、任天堂の「ゼルダの伝説」シリーズに作りが似ていて、
グッズ(アクション)を駆使して解くパズルダンジョンのギミックが
ゲームとして楽しめる部分であった。

今回は戦闘シーンだけでなく、全てのフィールドを3D化して、
立体的な構造がなかなか面白味を深めている。

いわゆる既存の物だと「グランディア」や「ゼノギアス」と同じタイプのフィールドだが、
これらとは違って、画面のデザインは随分とこざっぱりとしていて地味である。
どうやら敢えて、マス目式のマップチップを配置しているような造形から来る物だと思うのだが、
ポリゴンの利点を生かしておおらかに作られていたものと違って、構造が分かりやすく
非常に遊びやすい。
マップの構成もかなり気を使っているのか全体像が把握しやすいようにわざと作られており、
迷うことも少ない。
例えば、概ね一本道の構造だったり、広いマップでも左右対称にして迷いづらくするなど
この辺りはかなり気を使って作られている。
また、画面全体の雰囲気は地味だが、イベントなどでカメラが寄った際に分かるのだが、
テクスチャーが結構細かく丁寧に描かれていて、荒っぽさが無い。
ただ残念なのは、もうちょっと歩行速度を上げて欲しかった。
角度と動く方向によっては、体感的な速度が非常に遅く感じられる時もあり
割と広いマップエリアの時にはストレスが溜まる。
それと、ドットのキャラクターが主要キャラ以外だとバリエーションに乏しい上に地味過ぎて
町の住民が似たり寄ったりである。もう少し描き分けをして欲しかった。
キャラサイズも細かな仕草などかなり寄らないと分からないぐらい小さくて、
地味さに拍車をかけてしまっている。

コンパスの表示が凄くいい。
北の方角の真ん中にコンパスの針の部分だけが置いてあるのだが、
画面を無駄に邪魔することなく、しかしプレイヤーに見やすい位置にある。
大体のゲームは、丸いコンパスを画面端に置いているのだが、
物によってはレイアウトが下手くそで分かり辛かったり、画面端に
ある程度のスペースを取られてしまいうざったい面もあった。
また、この手のフィールドマップのゲームの割に、エリア切り替えのローディングが早めで
テンポが寸断されないのもいい。
種を明かせばマップ一つ一つが小さくデータ量を抑えているからなのだけど、
当然その分切り替えの回数も多いが、快適さという面ではいい物と思う。

戦闘のつまらなさは相変わらずだが、今回はエンカウントキャンセルが出来るようになっている。
エンカウント前にキャラ頭上にビックリマークの表示が出て、このときに×ボタンを押すと
それをキャンセル出来る。
レベルが足りない場合はキャンセル出来ないのだが、これによってかなりの戦闘をカット出来る。
エンカウント自体も前作以上に低く設定されていて、一つのダンジョンで戦う回数が
数える程度だったりするほどの頻度まで下げられている。
仕掛けを解こうと試行錯誤している際に、戦闘でそれを寸断されなくなったのは良いが
RPGというジャンルではどうかとも思う。
ただ、これによってイライラすることなく没頭出来るのも事実。
今回も他のパートは非常に優秀なので、上手に誤魔化したとも取れる。

戦闘バランスは一部のパーソナルスキルが強烈すぎるせいでかなりぬるく、
ボス戦でラッキーカード(経験値&お金が2倍貰える)を使っておけば、
不自由なく経験値とお金が手にはいるので、留まって経験値稼ぎをする必要もない。
ボスなんか、あまりに弱すぎてかわいそうになってくるぐらいである。
終盤ちょっと嫌らしい敵が出るが、難しいってほどではない。
戦闘の軽快さが前作の評価された中の一つだが、
本作ではグラフィックの水準をある程度引き上げたために、もったりとしてしまっている。
攻撃エフェクト一つ一つを行動前に読み込むので、妙な間が入ってだれるのだ。
ただ戦闘がぬるすぎて1〜2ターンで終わってしまうため、時間的にはさほど変わらない。
このテンポの悪さを分かっていて敵を弱くしたんかな〜とも思う。

戦闘システムそのものは、MPを無くしFPに一本化したことでだいぶ独自性が出たように思う。
各キャラのアビリティも洗練されてきて、まぁまぁ遊べるようにはなった。
本筋のボスは弱いが、隠しボスはかなり強いので、そこで腕試しってのもアリ。
仲間になる人数が戦闘参加人数を超えていて、戦闘中でもターン始めに自由に何度でも入れ替え出来るが、
キャラモデルをその都度3人分、総入れ替えしなくても読みに行くので、かなり待たされる。
召喚魔法のエフェクトも一々キャラクタを消したりするのにやたら処理に時間がかかっていて
ファイナルファンタジー8なんかやっていると、もう少しハードを上手に扱えないものかと思ってしまう。

他に新しいシステムとして、フィールド上で使うサーチシステムという物がある。
普通マップ上に町やら洞窟はちゃんと見えていて出入りが出来るが、
このゲームでは、町でその場所の情報をきいて、自分でフィールドでサーチしないと
見えないし出入りも出来ないという、なんだか取って付けたようなシステムだ。
正直言って、行動制限をかけるのが面倒くさくてこういうものを入れたように思えてならない。
というのも、情報の出し方と目的地の配置が実に雑で、
こんなところにこんな奇っ怪な建物があったのか!という今更なところにゲーム後半で行くことになったり、
どーにも、いい加減な感じがする。場所が分かり辛く無駄に歩かされることもあり面倒な時もある。
オブジェクトを見つける以外に、落ちているアイテムを見つけるという効果もあり、
システム自体は面白いのだが、上手に使いこなせていない感じだ。
隠しダンジョンなんかも豊富に用意されているのに、ゲーム終盤で
マップレーダーの性能が上がってこないと発見しづらいというのもなんとも勿体ない。
(後半になるとレーダー上で場所が特定出来るようになるため)

定評のあるストーリーだが、凄く丹念に描かれている。
ポリゴンマップの利点である、カメラワークを駆使した演出は
相変わらず目を見張る物があるし、さらにテキストの出来が良く素晴らしい。
なんだか見ているだけの時間も多くなってしまった気もするが、
ストーリーのクオリティが高いので飽きずについて行くことが出来る。
ただ終盤はあまりに長すぎて怠すぎる気もするが。
シナリオは良い意味ではっちゃけ振りを発揮していて、
前作のような素朴な感覚は無くなってしまったが、これもこれで面白い。
というか、ライターの趣味丸出しで、特撮臭さ全開で無駄に熱い。
主人公がヒーローに変身したり、ボス前にはウルトラマン辺りで見られそうな
シルエットシーンも入れている。
PCエンジン「天使の詩」の脚本を書いた人と同じとは思えないギャップというか、
なんだか時代は変わったなという涙すら出てくる感じだが、
独りよがりに好きに作ったからこそ出てくるパワーある中身は、それはそれでなかなか心地良い。
また、前作の設定の使い方が絶妙で、話そのものに関連性は全く無いが
1を知っているとニヤリとする箇所がふんだんに盛り込まれている。
取って入れたようなものではなくて、自然と取り込んでいるのが上手い。

ただ、ごく一部で複数の目的地を提示され、それを全部クリアしないと話が進展しない
部分があるのが凄く残念。
ストーリー一本気のゲームでこれは辛い。
中でも、ダンジョンを使い回してそれを連続で解かせるという場所もあり
ゲームとしても退屈になってしまうという救えないところもかなり気になった。
なんだか、露骨なプレイ時間引き延ばし工作につきあわされているようで嫌な感じ。

CD2枚組ということで、ムービーの量も多く入っているのだが、
いわゆるオープニングアニメの使い方が凄く上手。
多くはゲーム前のアドバタイズデモに再生されるのが殆どだが、
本作では、ゲームをロードした後に流れる(勿論スキップ可)。
(バックに流れる主題歌と合わせて)まるでテレビアニメのオープニングを見ているような感覚が
プレイ前の気持ちを凄く盛り立ててくれる。
ディスク1とディスク2で映像も歌も切り替わるというのも粋な演出だ。
因みに、ゲーム終了時にもエンディングムービーが流れるようになっているのだが、
辞める前にわざわざムービーを見る人はいないし、必要ないんではないかとは思う。
(拘りとして入れたんだろうけど)
主題歌とゲームシナリオとの統一感も高く、凄くいい。
音楽も前作より自己主張が強くパンチの効いた楽曲ばかりで聴いていて飽きない。
前作と比べ派手過ぎるきらいもあるが、ファンタジーRPGっぽさも残したいい位置にあると思う。
全体的に良いのだが特にフィールドマップの音楽は凄く良い。

少し褒めすぎた気もするが、やはりRPGとしてみるとどうか?というゲームでもある。
とはいえ、シナリオが面白いのに戦闘が邪魔くさいと感じたRPGも少なくはないので、
これはこれできっと一つの答えとして少なくとも間違ってはいないのだろうとも思う。
ストーリーも文章も量があまりに肥大しすぎている気もしないでもない。
ただ、ゲームとしてはボリュームを求められる傾向があるので、この程度が良いのかもしれない。
ゲーム中盤以降に、難しい漢字を多用する箇所が見受けられたので、ルビを振るなり、
ひらがなで表記するなりの配慮は欲しかった。

上手く誤魔化しの出来たシナリオ主導型RPG。サクサク遊べます。





[2004/03/24-2005/02/25]
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