クイズマジックアカデミーDS


対応機種ニンテンドーDS
発売日2008/09/12
価格5000円
発売元KONAMI

(c)2003 2008 KONAMI / Konami Digital Entertainment
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「クイズマジックアカデミー」はアーケードで5年続いている人気クイズゲームである。
DS版は、2007年に稼働していた4のバージョンをベースにして作られている。

個人的にこのゲームは、近年のゲームに対して特に手厳しい自分にとっては珍しく、高評価を与えているゲームである。理由は沢山ある。
死に体であった、「クイズゲーム」というジャンルを、オンライン対戦という機能を加えたことで、よみがえらせた点。これは発明と言ってもいい快挙である。
それ以外にも、洗練されたゲームシステムや出題ルール、幅広いジャンル(「アニメ&ゲーム」というオタク優遇なところも小ずるい作りだ)、世界観、グラフィック、BGM、インターフェイス、アバターシステムの導入など、とてもここでは言い切れないぐらい山ほどある。
特に、ニンテンドーDSが世に出る前から、タッチパネルに着目していた点も先見の明があったと言える。

ただ、そこまで褒められるのは4ぐらいだと思う。2008現在、5が稼働しているが、(4に比べて)グラデーションバリバリの塗りとやたら派手に着飾ったグラフィックデザインの割に、本質的には4と変わっていないという内容のせいで、それほどやらないでやる気が失せ、辞めてしまった。
4は、シリーズ全作比べても、やっぱり自分が思っているとおり評判が良く、中でもアドバルーンデモで説明される世界観と導入部(ゲームの説明、設定)が秀逸だと思う。システムデザイン、インターフェイスやグラフィック周りが固まったのも4であった。

ちなみに、オンライン対戦を用いたクイズゲームでは最近、セガも「アンサー×アンサー」で対抗しているが、このゲームの牙城を崩せてない模様。もっと頑張るんだ!!

最初に自分が使用するキャラクタを選択するが、どのキャラも異様に濃い。見た目でどんなキャラなのかわかってしまうぐらいだし、期待に違わぬ個性の強いキャラばかり、おまけに巨乳、高飛車、ショタ、天然、優等生、中国人、ロリ、とんでもない設定でやおい系キャラまで投入してる始末。
男女から選択するが、この多種多様なキャラ付けによって、どれか一人ぐらい好みのキャラに引っかかるだろうという魂胆だろう。
はっきりいって、家庭用ゲームのノリから見れば、やりすぎなぐらいなのだが、競争の激しいアーケード業界では、時としてこのように強引な手法を用いてまで、客を引きつけようとする。何もこのシリーズに限ったことではない。
コンシューマゲームに比べ予算も出ない、そのくせ瞬間的に面白さを提供しなければならないという環境下、厳しいビジネスの中で、まれに傑作とも言えるゲームが生まれることがある。
そのせいか、DS版では新キャラが2名追加されているが、この2人は、あまり自己主張の無いキャラである。

タッチパネルとクイズゲームとの相性は抜群に良く、ボタン操作による煩わしさが無い。
これまでクイズゲームは、コンピュータと遊ぶことが多かった(格闘アクションのように対人戦もあったが)。
特定の客層に、収録された問題を解きつくされてしまい、製品寿命としては短命かつ成功例の少ない(ほぼ無い?)ジャンルであった。
これを、オンラインを使った対戦で競わせることと、定期的に問題を追加していくことで、永続的に遊び続けられるようにしている。

最初は○×や四択という基本的な出題スタイルだが、難しくなってくると、一問多答や線結び、順番当てといった暗記では対応しづらいものが出題されていく。
頭に知識として入っていないと答えることがきわめて難しい形式が入り込んでくるのである。

問題の難易度も、誰もが知っているようなものから、クイズ研究家でも耐えうるようなマイナーなレベルのものまで、幅広くカバーしている。

このゲームのうまいところは、勿論物知りな人間が有利であることに変わりはないのだが、わからないジャンルでも、○×や四択といった答えるだけなら、それほど知識を要求されない易しいところからやり込んでいって、
しっかり覚えていけば、理論上はこのゲームだけやり込んでいても、なんとか上位の問題にも対応出来るようになってくる点だ(効率的にはあまり良くは無いが)。

オンライン対戦は、トーナメント形式を取っていて、毎回下位4名が脱落していき、最後に残った4人で決勝戦がおこなわれる。ここでは自分の好きなジャンルと出題形式を選ぶことが出来る。
クイズは、早押しなどではなく、全て早答えの形式で全てのプレイヤーに等しく回答権があり、早く解答すればそれだけ高い点数が得られる。

また、マッチングの組み分けシステムもニクイ。最終的に自分にあった組に振り分けられるのであるが、上に上がることで、問題も難しくなるが、出題形式も増えていく。ゲームの幅が広がっていくのである。

さて、本題のDS版ではあるが、厳しいスペックの中で、再現度はかなり高い。
大きな違いとしては、アーケードの16人対戦が8人対戦になり、その影響で、予選3回戦まであったトーナメントが2回戦に減っている。
また、タイピングやエフェクトなどの文字を入力して答える問題で、アーケード版ではどんな文字も相手に表示されるため、ふざけた回答をして楽しめたものだが、DS版では特定の単語にしか反応しなくなっている。
個人的にはこれが無くなったせいで、魅力が激減してしまった。

対戦に入る前に読み込み時間が挟まってしまったり、特にWi-Fi対戦では、同期を取るためか妙にもたついたりするが、それをのぞけば十分及第点。ゲームセンターの緊迫感をしっかり持ってくることが出来ていると思う(回戦落ちが目立つのだけが残念だが)。
学校名(アーケードでは店名)も入力することが出来て、同じ学校名を入れると、学校名ランキングで同じ学校名を入力したプレイヤーと所属が同じと判別されて、集めた魔法石(勝利した対戦者から得られる)が反映されるようになっている。ちなみにアーケードでも店ごとに魔法石ランキングをおこなっている。あれと同じ要素をDS版にも持ってきているのである。
このシステムのせいもあって、インターネット上では派閥を作り上位争いで盛り上がっているようだ。

収録問題数は70000問以上で、定期的に新しい問題を配信もしている。家庭用ではこの収録数はダントツで驚異的な問題数である。
これまでクイズゲームでの問題は容量よりも、問題作成の手間だったと予測。アーケードでもあった動画を使った問題も結構入っており、非常に頑張っている。
ちなみにアーケード版ではおよそ10万問入っているとのことで、ほぼほとんどの問題をカバーしていると言える。

DS版だけの出題形式に「書き取り」が追加されている。タッチペンで手書きで入力して、そこから出た候補の文字をさらにタッチして入力していくというものだが、
従来のタイピングと根本的にやってることは一緒なうえに、やることが増えた分面倒だし、無理矢理DSの機能を使おうとした感が否めない。なにしろ、なぞるという操作が書き取り以外無いだけに、違和感が気になる。

クイックマッチとアカデミーモードの2種類のゲームモードがある。
クイックマッチは、主にWi-Fiコネクションを使った、オンライン対戦のモードである。
このモードは限りなくアーケード版の4に近い作りで、従来のアーケードからの移植作品で言えば、アーケードモードと言えるだろう。
フレンドを登録出来て、友達対戦トーナメントというモードもあるが、正直フレンド周りは不便で遊びづらい。

アカデミーモードは、いわゆるストーリーモードで、学校内を歩き回って、クエストを受けて仲間を増やしたり、魔法石という経験値のようなものを授業(CPUとのトーナメント対戦)で集めて、階級を上げることでストーリーを進めていくモード。
世界観を掘り下げるという点では成功していると思うが、永遠とコンピュータと対戦だけしていてもつまらない。はっきりいって魔法石稼ぎはだるいだけ。やはり対人戦あってこそだろう。
まずアーケード版の4の移植をして、それに無理矢理ストーリーモードをかぶせたんだろうから、しょうがないんだろうが。
ただ、討伐クエストという、クイズを使った戦闘はスリルがあって面白かったので、このモードをもっと活用してロールプレイング色を強めた作りにすれば、面白くなったのだと思う。
タッチペンを重視した操作性だが、アカデミーモードでは、移動やメッセージ送りなどボタンでの操作も対応しており好感触。タッチパネルでも操作出来るが、それを強要される作りだとストレスが溜まってしまう。

あ、アミューズメントリンクという項目もあり、アーケード版と連動出来るのだが、そもそもリンクに対応している機械が少なすぎて、まるで機能していない。詐欺といってもいいレベル。
ま、無くても全く支障のないものですが。

あと不満点といえば、DSの解像度の問題が大きいが、複雑な文字が判別しづらかったり、「ア」や「ァ」の判別も難しい点。これは惜しい。
小さい画面の中で良く頑張ったと思うのではあるが。

ごたくをいっぱい並べたが、想像以上に再現度が高く、とにかく感心してしまった。
ちなみに、アーケードの乳揺れを入れるためだけにCERO査定をB(12歳以上対象)にしたとのもっぱらの噂。コナミの執念恐るべし!!そこで結論。

アーケードの臨場感そのままです。アーケードの傑作をこの機会に是非。





[2008/09/21]
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