リグロードサーガ2


対応機種セガサターン
発売日1996/11/08
価格5800円
発売元セガ

(c)1995 1996 SEGA / MICRO CABIN
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3Dのフルポリゴンフィールド+プリレンダCGのスプライトキャラがウリのシミュレーションRPG「リグロードサーガ」の続編。
ゲーム内容は、前作を踏襲してブラッシュアップされたものとなっており、どのような進化を遂げたのかが見どころだ。

新しく追加された要素を中心に紹介する。

まず、武器の熟練度システムと技ひらめきの他に、技同士を融合させることで新たな技を生み出す「技融合」が追加された。
これは、ゲーム開始直後からいきなり使えるが、技を会得するには、技ごとに設定された武器レベルが条件になっている。
また、ゲーム上で技融合システムに関するレクチャーが何もない。説明書で解説されてはいるが、これはまずい。

技融合は戦闘中に1ターン消費して敵に攻撃する必要があり、非常に面倒。勿論、組み合わせが正しくなければ、技融合は成功しないが、その組み合わせはゲーム上で一切のヒントがない。これではどう楽しめば良いのかわからない。
積極的に活用しなくても、技ひらめきで覚える技だけでもかなりのバリエーションがあってゲーム的に困ることは無いので、自分はほとんど使わずにクリアした。
仕組み自体はかなり面白味があるだけに、後付けしたような作りになってしまっているのは、せっかくの新システムである、かなりもったいない。

次に、3Dポリゴンフィールドを活かすために、フィールドの高さの概念が本格的にゲーム上のルールとして追加され、より立体感が増している。
前作でも「登板力」という形で、坂を移動する際に必要な移動力といったシステムはあったが、これを発展させたものである。

例えば、急坂というマスがあり、この上にユニットがいると下に滑り落ちてダメージを受けてしまうとか、飛行ユニットじゃないと通れない川、溶岩、穴といった地形が用意されている。
飛行ユニットは他にもメリットがあって、地上のユニットをつかんで、放すといったことが出来る。
これは敵味方関係なく出来るので、味方ユニットを運搬したり、敵ユニットを穴に突き落としたりといった、面白いことが出来る。
しかし、「つかむ」ためには、「上昇」コマンドで高度を上げた状態でなければならず、少々面倒。

他にも、前作にあった「アースモール」で地形を盛り上げたり、逆に「ルースモーア」で地形を堀り下げるなど、地形を操作出来る自由度の高さがあり、中々面白い。
これを使うことで、敵を滑り落としたり、段差があって行けない高いところへ行けるように地形を動かしたり出来たりと、いろんなことが出来る。

ただ、実際には、「フライサー」で味方ユニットを宙に浮かせて足場のないところを渡っていく程度ぐらいにしか実用的な使い方をすることはなかったと思う。
(序盤に、ちょっと、使い方をレクチャーする場面があったりするんだけど、実際に使うことはなかなか無い)

この辺、かなり凝って作ったらしく、ちょっと移動周りのルールが複雑化してしまっていて、パッと見た感じ、どこまでが移動できて、どこからが急坂なのか?
また、これは飛行ユニットすら通れない壁扱いの坂なのか?という部分が曖昧で、納得感を持てないステージマップも目立っていた。
(一方で、どう考えても、ここ、飛行ユニット通れるだろ!という所が進入禁止になっていたり、どうにもマップ全体に統一感がなくチグハグ感のほうが強い)

坂を移動する力である「登板力」が小さいユニットは、ちょっとでこぼこした見た目は平坦な箇所でも坂の影響を受けて移動力が下がってしまうというのも、納得がいかなかった。
それ以外にも、「登板力」が小設定のユニットは、普通の階段の昇り降り、坂の昇り降りだけでも、かなり移動力のコストが取られて、足止めを食ってしまう。もっと良いルール付けのやり方はできなかったものか?

声優を起用して、キャラクターにボイスを当てている。
容量の関係なのか、オープニングとエンディング以外ではイベントシーンで喋ることはないが、起用声優がかなり豪華なので、できればディスク2枚組にしてでもいいから、もっと声優を有効活用して欲しかったぐらい(価格を上げたくなかったのだろうか)。
声優のボイスは主に、バトルの掛け声で使われており、攻撃する時に喋る。技名を喋ってくれることもあるが、技の数が膨大なこともあって、全部の技名を収録できなかったっぽいのはかなり残念だった。

前作での細かい不満点を解消してくれていて、例えば、戦闘参加人数が8人に増えて、ほぼ全員を戦闘に参加させられるようになったり、
序盤でいきなり仲間が増えるのではなく、仲間に感情移入できるように最初は2人から始まり、仲間がパーティに加入するエピソードを手厚く描いて、徐々に人数が増えていくように配慮していること、
キャラ自体にも濃い味付けが施されており、個性をしっかり出せているのも良い。

それ以外にも、戦闘開始前にフィールドを見せて、どのように戦えばよいかのアドバイスを“必ず”やってくれる。

ただ逆に、何をするべきか常に教えてくれていた「相談」コマンドがなくなってしまったのが不便になった印象(ゲームのボリューム的にフォローしきれなくなったか?)。
それと、インターフェイスをすっきりさせる目的だったのか、ゲーム上でゲームシステムを解説してくれていた機能もバッサリ切ってしまっていたのも残念(説明書を見てほしいということなのだろう)。

ゲームバランスもだいぶ良くなり、敵の攻撃数発食らっていきなり倒されるみたいなことも減り、かといって簡単になりすぎないように敵配置やマップ造形が非常に考えられている。
特に、宝箱の配置が絶妙で、取らなくてもステージはクリアできるけど、取ろうと思うとちょっと頭を使う、あるいは手間がかかるといった位置にあり、中々に唸らせてくれる。

しかし、基本的にはゲームの構造、構成は前作と一緒で、近寄らないと敵が動かないので、「待ち」戦法が有利で、そればっかりやっていれば良いので、全体的にかなりぬるいのは相変わらずだ。
嫌らしい位置に敵増援のポイントというパターンが極端に増えていて、多少考えさせられる場面はあるのだが、基本的には近づいて「待ち」を繰り返すだけで良い。
思考ルーチンも賢くなったとは言い難く、まだ全然弱くて、前作ほどひどくはないが地形に引っかかったり、急坂から穴に落ちて自滅するなど、粗が多い。

また、前作ではあまり気にならなかったのだが、バトルフィールドが全体的に広くなったせいなのか、全体的にテンポがかなり悪く、1ステージ攻略するだけでも結構な時間がかかる。
そのうえ、ゲーム攻略途中に中断したりセーブしたり出来ない。そんなステージの連戦が続くことも多くあり、長時間セーブできないことは、かなりのストレスになった。

前作は実験作のような様相を呈していたが、さすがにグラフィックは一段クオリティが上がっており、特にプリレンダCGの質が上がっている。前作はまだSLGのユニットのコマのような感じだったが、
CGのクオリティが上がり、だいぶ人間味っぽくなった。ただ、まだやっぱりプリレンダCGは実用的じゃないというか、これで人間を描くというのは早すぎると思う。

攻撃する際のズームアップするカメラワークなど、前作に比べると格段に良くなっていて、全体的にこなれてきているんだけど、
まだまだクオリティとしては全然荒くてカクついているシーンが目立つ。そこまで無理してフルポリゴン+プリレンダCGのスプライトにこだわる必要あるの?という感じでまだまだ厳しい。

リグロードサーガということで、フルポリゴン、プリレンダCGは外せないってことだったのだろうけど、思い切ってイラストレーターを起用してイラスト絵にして、キャラクタをドット絵で表現するぐらい冒険できなかったものか?
今ひとつ、ファンがつかない、客がつかないというのは、プリレンダCGのキャラクターにも問題があるような気がする。

前作はあっさりと終わってしまったゲーム・ボリュームも、今作はS.RPGとして申し分ないボリュームとなっている。
ビジュアル、音楽、システムと、どれも安定してクオリティが上がっているのだが、どうにも総合的には「続編にしてはちょっと...」という立ち位置が惜しい。
満を持した新システム「技融合」の掘り下げが甘かったり、だいぶ改善されているのだが、1とあまり変わらないシミュレーションゲームとしての面白味の乏しさ等。なんとも煮え切らない。
どうやらイマイチなのは、3DCGなど最先端の技術を取り入れた“見た目だけ”が原因ではないようだ。そこで結論。

悪くはないが、もっと続編としての風格がほしい。





[2017/11/17]
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