レーシングラグーン


対応機種プレイステーション
発売日1999/06/10
価格5800円
発売元スクウェア

(c)1999 SQUARE
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ジャンルがレーシングRPGという、聞いただけで癖の強そうなゲームであるが、蓋を開けてみるとやっぱり中身はとんでもなく凄かった。
スクウェアが送る、一発ネタの企画モノには、奇作良作怪作入り乱れていたが、このゲームは、「奇」の方に入る稀なモノ。

ゲームの概要としては、名も無き走り屋である主人公が、横浜最速伝説の夢を追って、他の走り屋たちと公道レースを繰り広げていくというもの。
ゲーム上のテキストが独特の世界観を生み出していて、作っている方は至って真面目にやっているつもりなのだろうが、吹き出してしまうようなセンスに溢れてる。
ストーリーの魅せ方は凝っていて、レンダリングCGのキャラクターがセリフに合わせて演技をするのだが、動きも不自然でぎこちないしモデリングがスクウェアにしては垢抜けない。ムービーの質もスクウェアにしてはもうちょっとなーという感じ。なんだかこれは、バカゲーの香りがする。
そして最後まで遊んでみて感じた。これは、まごうことなきバカゲーだ!(褒め言葉)

ゲームの基本的な流れは公道レースを繰り返して勝つことで相手の車からパーツをGETし、自分の車に集めたパーツをチューンナップさせ性能アップを繰り返して、より速いマシンを作り出していくという流れになっている。
負けると逆に自分の車からパーツを取られてしまう(取られないこともある)。パーツが揃っていない序盤は特に勝ちづらく、難易度が高い原因となっている。
逆に、パーツが揃ってきた中盤以降、良いエンジンやターボ系パーツが装備できるようになってからは、雑な走りでも勝てるようになり、難易度はグンと下がる。

このゲームの肝の一つである、車のチューンナップなのだが、車の知識に疎い私でもすぐに気づいた、現実では出来ないハチャメチャな改造が可能であると。
良く言えば、この辺がRPGっぽくてわかりやすい、悪く言えばリアリティがない。車好きが手を出したら、「なんじゃこりゃあ」の嵐になること必至。
そんなわけで、車好きに向けて作っているはずのゲームであるにも関わらず、むしろあまりこだわらない人のほうが抵抗感なく楽しめるのではないだろうか?

ただ、色々チューンナップしても特に車の操作感が、あまり変わったように感じられないのはいかがなものか?
全体的にハンドリングが重くて、そのくせキーを入れるとワンテンポ遅れてクイッと曲がる。独特な車の挙動になれないと、ゲーム攻略がかなり難しい。

先程も書いたが、ゲーム中盤辺りまでは、車の性能をアップさせた力押しでクリアが可能だ。しかし、流石にゲーム終盤ともなるとそうはいかない。
強力なパーツを装備させた上で、ドライビングテクニックも必要になる。腕に自信のない人はやめておいたほうが無難かもしれない。
このあたり、一応RPGを謳っているのだから、救済措置なんかがあると良かったのだが。

(レースのコースを読み込む必要があるために)ディスクアクセスが多くて、それも一回のローディングが長いためにゲームとしてのテンポが良くなく、少々ストレスのもととなっている。
また、さっき書いたように、パーツが整わない序盤が最もゲームとして難しい傾向にあり、下手をするとそこで投げ出しかねない状態を作っている、など問題点は数多い。
しかし、独特のスカしたテキストで展開される(特にゲーム後半に訪れる)衝撃的なシナリオは、ぶっ飛んでいて面白い。
敵からパーツを追い剥ぎしてそれをもとに車をカスタマイズするのが単純に楽しい。パーツをコレクションしていくのもまた面白い。

ストーリーパートで見られるレンダリングCGは変なセンスで正気を疑うが、レースパートのポリゴンで作られたグラフィックは、スクウェアだけあってか質が非常に高い。車に映り込むテカリといった環境マッピングも当たり前のように使われている。
また、カスタマイズされた自分の車がかなり細かい部分までしっかり反映されるほどの凝りよう。バカゲーの振りしてクオリティが高くあるべきところはしっかり高い。
問題点が多く残っていると書いたが、それらを吹き飛ばすほどの魅力を持っているのもまた確か。

バカゲーであることは間違いないが、ゲームとしての足腰も意外としっかりしていて、コレでもう少し肝心のレースパートの操作感が良ければレースゲームとしても太鼓判を押せる代物になったのであるが、そこだけが実にもったいない。
このあたり一発ネタでノウハウもない状態での製作を強いられた弱みか。惜しいモンである。

バカゲーだけど、いやコレ普通に面白いよ。





[2020/03/31]
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