ロックマン7 宿命の対決!


対応機種スーパーファミコン
発売日1995/03/24
価格9800円
発売元カプコン

(c)1995 CAPCOM
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ファミコンでナンバー作品が6作まで発売され、ゲームボーイやメガドライブにも外伝が出ているロックマンがとうとうスーパーファミコンにも進出!!
スーパーファミコンの性能をまとってどのような進化を遂げたのか興味深いところだ。

ロックマンはファミコン世代の作品で、既にスーパーファミコン向けにシステムを改良した「ロックマンX」という新シリーズが展開しているので、初代のロックマンはあれで終了したと思っていたのだが、
カプコンとしては飽くまであれとは別ブランドの認識であり、人気シリーズをそう簡単に捨てたくないようだ。個人的には紛らわしいから終わってもいいと思うんだが…。未練がましいというかなんというか。

供給ハードが変わったことで、必然的にグラフィックスのディティールは大幅に進化し、ゲーム・システムもリニューアルされている。
これまでファミコンで一生懸命やっていたことが簡単に再現できるので、多重スクロールや巨大メカの中ボス戦などは、スーファミのアクションではそれらは当たり前の要素なので、それだけではありがたみがなくなってしまった。

オープニングでデモステージが挿入されたり、キャラクタ、ストーリーのビジュアル演出が強化されるなど、やっていることが「ロックマンX」に似ている。これでは、リリースするにあたり差別化を図らねばならない。
ゲーム内容がダブってしまうことを当然危惧したのだろう、「ロックマンX」では中高生向けのサイバーパンクな渋い路線にし、「ロックマン7」では小学生向けのコミカルなテイストを強調して、デザインから明らかな方向性の違いを示してみせた。
ファミコンよりも細かい部分まで描き込む必要性が出たことで、その細かな描写に目を付けて、オリジナリティを出したわけだ。

しかしそれだけで終わらせないのがアクションゲームを十八番とするカプコンである、サイドビューアクションとしての味付けも「ロックマンX」のそれとは異なるものに仕上げることで、さらに差別化が出来ている。

「ロックマンX」では、ダッシュ移動などステージ構成がスピード感や爽快感を重視しているが、「ロックマン7」では、スライディングでサクサク移動できるものの、どちらかというとじっくり攻略していくタイプで、
ボス戦においても、敵の動きをしっかり見極めて立ち回っていくパターンゲーの色合いがより強い(まぁロックマンXも似たモンっちゃ似たモンなんだが…)。

さて、ごたくはこのへんにして、実際のプレイした感覚について述べる。

自キャラも敵も大きすぎ。ジャンプしたら簡単に画面の上側にまで到達する。つまりは、画面密度が薄くなり一画面上に作れる仕掛けがそれだけ減ったと言える。この辺は、ファミコン版が絶妙だっただけに残念と言える。
せっかく性能が向上して扱えるオブジェクトが増えてもこれでは意味が無い。
しかし、そういった仕様変更があったとしても、これまでのロックマンと同じステージ構成をストレス無く実現しているのは素晴らしいと言える。

ロックマンといえば、8つのステージから自由に選択して攻略順を自分で切り開いていくのが醍醐味の一つだった。今作では、いきなり8つも選べたら逆に辛いでしょうってことなのか最初に選べるのは4つだけ、
4ステージクリアしたら、新たに4つ追加されるという、GB「ロックマンワールド」のスタイルを取り入れた。
これは、大減点せざるを得ない。GB版はハードの仕様上4つから選ばせるように減らした感じだったが、SFC版のこれは、後半戦のステージが前半部より明確に難しいっていうわけでもないのに、敢えて自由度を奪ってしまった。
ステージセレクトの画面で、敵の名前が選択するまで見れなくなったのもわかってない。顔のドアップだけでは、ボスとステージの特徴を全く想像できない。ロックマンXでは、ステージの風景を見せることでどんな面か把握できた。

効果音がスカスカした感じで重みがないのも気が抜ける。いくらコミカル路線といってもこれじゃあ雰囲気が出ない。
その他の不満点としては、ステージクリア後の武器取得デモで会話シーンが追加されてテンポを悪くしたこと、回復アイテムの形がどれも似たり寄ったりで違いが分かりづらいことが挙げられる。

全体的にもっさりとしていて、キャラをでかくしたせいで処理落ち(スローモーション)しやすい。ハードの使い方は「ロックマンX」シリーズの方が遥かに上手と言える。

ゲーム・バランスは、なかなか歯ごたえがあっていい。ファミコン末期に出ていた5や6は易しくなりすぎて拍子抜けしたものだったが、今回は主にボス戦が、動きをしっかり覚えて対応する覚えゲーの要素が強くなっている。
素早い反射神経を求められる部分が多く、タイミングがシビアである。
アクションゲームとしては、少々厳しめだが、今回は敵が落としたりステージに配置されているネジをお金がわりに使い1UPやE缶(体力を全快させる)を購入できるショップモードがあったり、ステージ内を探索しスペシャルアイテムを取得することである程度楽に進めるようになる。
このように、頑張れば何とか突破できる余地を用意してくれているので、多少難しくてもやる気が出るようになっている。

ただし、その絶妙なバランスも最終ステージであるワイリーステージまで。終盤のボス戦が異様に難しい。そこはACTゲームのカプコンだけあって、どうにもならない!!レベルではないのだが、正直結構な修練を積まないと勝算が見えない難しさだ(慣れてしまうとなんてことなくなるってのがまた憎たらしいと言える)。
この辺は、もう少しうまい調整が出来なかったものかと思う。せっかく、万人向けのチューニングを目指していたのに、また一般人を突き放す難しさにしてどーするって話だ。それもスーファミ一発目でこれはまずいだろう。
特に、最終ボスは、ロックマンシリーズでも屈指の難関ポイントだと思う。E缶などを使ってもパターンを見極められないと厳しい。

いやらしい敵の動きや、ガチガチの覚えゲーであること、プログラムの挙動を見るに、SFC「超魔界村」のチームが作ってる感じがした(裏技で魔界村のBGM聴けるしナァー)。

「ロックマン」を使ったアクションゲームではあるが、色々な面で「ロックマン」とは違うゲームに感じる。やはりSFCのロックマンは「ロックマンX」が正しい形(進化系)であって、進化を止めたままむりやりSFC化したのがこのゲームなのだろう。
全体的にB級な雰囲気がするのも否めない。開発スタッフも恐らく二軍チームで構成されているんだろう。

話が逸れるが、苦労の末にたどり着いたエンディングのワンシーンは、(開発者の意図したものではないだろうが)グッとくるものがあった。
シナリオがどうでもいいゲームであるが(ACTゲームではしょせん世界観と目的を示すだけのものだ)、映画や漫画じゃ割と使いまわされたベタなシーンだろうが、使い方が上手いので思わずノせられてしまった。このシーンだけでもストーリー性を強化した成果が出ていると言えないだろうか。そこで結論。

ロックマンの時代は終わった。エックスにバトンを渡す時が来たようだ(ACTゲームの中では良質な部類ではあるのだが)。





[2011/01/17]
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