ロックマンX4


対応機種プレイステーション
発売日1997/08/01
価格5800円
発売元カプコン

(c)1997 CAPCOM
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スーパーファミコンで発売され、手堅い人気作品へと成長した「ロックマンX」のシリーズ4作目が堂々登場である。
サイドビューのアクションゲームとして定評のあるゲームだが、プラットフォームをプレイステーション/セガサターンに移したことで、今作は色々とリニューアルがはかられている。

主人公の良き相棒的な位置にあったゼロが、今回主人公として正式に使えるようになった。つまり、主人公が2人になり、ゲーム開始時に選択するようになっている。

供給ハードが変わったことで、ゲームの節目にはアニメーションムービーが挿入され、そのほかストーリー展開や演出力が強化されている。選んだ主人公によってその後のストーリー(ムービー)も違っている。何度も飽きさせずに遊んでもらおうという工夫が見られる。

ゲームパートにおいても、恩恵が大きく、スーパーファミコンでは厳しかった巨大スクリプトを駆使した迫力あるステージ構成を実現している。
キャラクターのアニメパターンも非常に豊富だし、なにより全てドット絵で作られているのが良い。
また、敵キャラや操作キャラには声優の声があてがわれ、喋る!カプコンの看板タイトルだけあって、力が入っている。

プレイステーションやセガサターンになると、ポリゴンが使えるからと、大抵欲を出して無理矢理ポリゴンを使って、質を落としてしまっているケースが多いが、本作は、どのようなコンセプトのゲームなのかを作り手が理解しているので、高い完成度のまま、上手にクオリティアップ出来ている。
(逆にSFCのロックマンX2では背伸びをしてポリゴンを使っていたが)

マルチプラットフォームだが、2D処理に弱いプレイステーションが足を引っ張るということも無く、遜色ない出来映えで、ドット絵サイドビューアクションとしては高い水準を誇る。

ただ、キャラクタやオブジェクトが大きくなったことで、画面密度が下がってしまったのが難点。あまり凝った仕掛けを用意出来なくなってしまっているのだ。ちょっとジャンプしただけで、すぐ画面の上まで到達してしまう。
SEも、なんだかゲームゲームしてたものと異なり、テレビやアニメなどで良くある音を使うようになり、なんだか安っぽく、爽快感に欠けるものになってしまった。というか、ぶっちゃけくどい。
インターフェイスも、メモリの関係や低年齢層を狙ったのもあるのだろう、英語を基調としたものから、日本語(特にひらがな)を多用していて、締まりが無くなってしまった。また、メニュー周りも結構変化しているが、作りが甘くなってしまった印象を受けた。

CD-ROMになったことで、ロード時間などテンポが気になる所だが、1ステージを前半と後半に分けており、この切り替わりでロードが発生する。
基本的にこのロード時に一括してステージ、キャラクタのプログラムを読み込んでいるようで、ストレスを感じることは無いし、アクションゲームとしての作り込みの物足りなさなどを感じることもなかった。

しかし、時代柄、派手なムービーや演出が重要視されていた頃に作られたこともあって、ボス戦時の会話シーンや、戦闘前のとばせないボスのかけ声や演出などが、些細なことながら気になる。
スーパーファミコンで出していた頃は、容量の関係もあって、無駄な要素はとことん排除され、純粋にアクションの面白さで勝負してきていたが、本作では、そのようなことを気にしなくて良いこともあり、良くも悪くもゲームとしてはなんだか余計なモンが混ざってしまったように思う。

当然ながらメモリーカードを使ったセーブ機能にも対応しており、せっせとパスワードをメモする必要が無くなったのも好感触だ。

このように、少々マンネリ感があった「ロックマンX」だが、ハードが変わったことで、様々な部分が新しくなり、良いスパイスになっている。

ゲーム制作の方向性としては、褒められる出来ではあるが、本作とそれ以前とは、横スクロールのアクションゲームという根幹をなす要素以外に関しては、ガラリと方向転換をおこなっているように感じた。

具体的には、アクションとしての面白さだけでは限界に来てしまっているのか、どちらかというと、ストーリーやキャラクターに重点を置いている印象がある。
勿論アクションゲームとしての完成度もそれなりに良く出来ているのだが、ロックマンではおなじみの、ボスキャラの特殊武器を手に入れて、それを弱点とするボスを倒してゆく奥深いゲーム性が評価されていた。
この特殊武器は、様々な局面で、積極的に活用することで、弱点ボス以外でも使用用途があり、幅広い戦略、攻略を生み出していた。
本作では、その辺の作りが大味で、前述の弱点ボスに使って楽に倒す部分も、やっつけで入れたような感じがしてならなかった。
また、今作の特殊武器は実用性に乏しいものばかりで、せっかく手に入れても、あまり嬉しくない。使う局面がなさ過ぎて、面白味が無い。

前作のレビューでも書いたのだが、個人的にゼロは永遠の相棒のままでいい。
ゼロは、(これまでの主人公の)エックスと異なり、セイバーを使った近接攻撃をメインとしたキャラで、通常のショットに加えチャージショットの使えるエックスに対して、不利な性能で、つまりは、ハードモード的な位置づけのキャラである。
ボスを倒しても、他のボスの弱点武器を取得出来るわけでもなく、独自の攻撃法が代わりに増えていくだけで、極端に楽になるわけではない。
個人的には、「ロックマン」で近接攻撃をわざわざさせる意味は全く無いと思う。
おそらく、従来のエックスの性能だと、キャラクタが強すぎて、ギミックのアイディアが枯渇してしまったことや、弱点武器であっさりはめることが出来てしまう歯がゆさから、こういう性能のキャラを追加したのだと思う。
しかしそれは、ロックマンシリーズの良さを同時に潰してしまっているようにしか思えない。
キャラが代わって、ストーリーが変わっても、攻略するステージは全く同じなのもあって、全く異なる立ち回りを求められるとはいえ、わざわざ不利なキャラを使うメリットも楽しさも無く、ゼロ編は最後までやる気になれなかった。
(ちなみにエックス編は、エリア切り替えやワンミスごとに特殊武器のパワーが回復するようになっており、かなりヌルい)

また、前作までと比べると、挙動や操縦性、バランス調整が大味になった感があり、何度も遊びたいと思えなかった。
特に気に障ったのが、これまでヒットポイントがメモリで表示されていたのが、ゲージで表示されるようになったことと、足場が完全に横から描かれているのではなく、斜め上から見下ろしたように表示されていることだ。
これにより、一目ではっきりと、どの高さに足場が設定されているのかがわかりづらくなってしまった。このゲームは特に、壁に張り付いたりするのだから、こういった描写は致命的である。見栄えは良く、臨場感や立体感を与えることは出来るかもしれないが、実用的でない。

アクションステージはとにかく派手で、見た目は凄くいい。しかし、肝心のステージギミックなどは見た目重視で、これまでと比べるとやや単調になってしまっている気がする。逆にただ進むだけではクリア出来ない面倒くさい仕掛けもあったりする。
エックスとゼロという二人の性能の異なるキャラを選べることで、無難なステージ構成にせざるをえなくなってしまったことも原因だと思う。

これらは結局、今後世界観やストーリー、キャラクタでシリーズとしては末永く売ることに方針転換した賢い販売戦略も原因だと思う。
おそらくは、この作品で、シリーズファンがふるいにかけられることだろう。エンディングでは露骨に続くような終わり方もしているし。

全体的な作りとしては、ちょっと前に出た「ロックマン8 メタルヒーローズ」にほとんど制作手法が近い。アニメムービーに主題歌が入っていたりなども全く同じだ。

最後は、悪いように書いてしまったが、やはりカプコンのアクションゲームはクオリティは高い。決して遊べないレベルまで落ちぶれているわけではない。
ただ、違和感を覚える人も多いだろうから、敢えて厳しめに書いた。リニューアル一発目だし、一応は長い目で見ていきたいと思う。素直に今後出るだろう続編には期待したい。そこで結論。

アクションゲームからキャラクターゲームに。ロックマンXは新たな次元へと突入した。





[2010/04/21]
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