ルドラの秘宝


発表から発売までなんと一ヶ月あるかないか異例の速さで発売されたSFC末期のRPG。
当時のファミ通だったか、「発表から発売までが早すぎて編集者泣かせで困ります」なんて
欄外に書いてあって、笑わせてもらった物だ。

最近の任天堂もそういう傾向があるが、ゲームは安い買い物ではないのだから
もう少しタイミングを考えて早めに発表して欲しいもんである。

スクウェアにしては珍しくオーソドックスなスタイルのRPG。
属性の相関関係がちょっと機械的すぎる印象を受けたが、サイドビューの戦闘シーンに
ツボを押さえたストーリー性重視な展開など、驚くほど普通のRPG。

ただ唯一異質なシステムが言霊システムだ。
このゲームでは、自分で魔法を作ることが出来る。
それも既存の「何かの素材を組み合わせて作る」などと言った物では無く
作るというとちょっと語弊があるのだが、魔法の名前をなんでもいいので何か入力すると
それに対応した効果が発揮する言霊が生まれるという感じである。
これはメニュー画面でいつでも好きな時に作ったり変えたり出来る。

例えば、ケアルと入力すれば回復の効果を持った言霊になるし、
ドラクエシリーズのイオやホイミなんかも、オリジナルのそれと同じ効果を発揮するようになっている。
ここら辺、なかなか芸が細かい。
仕込みがかなり凝っており、「クリティカル」と入力すると
一定時間、物理攻撃が必ずクリティカルヒットになるという効果を得られたり、
ゲームのタイトルにもなっている「ルドラ」と入れると、異常に強い光属性の攻撃魔法の効果を発揮する
言霊が生まれてくる。
勿論、ゲーム内で独特の名前の言霊がきちんと用意されているのだが、ヒントがイマイチわかりにくく
自分で使える言霊を探し回っている方が楽しい。
どんな単語でも必ず何かしらの効果が秘められていて、延々それだけをさがしているだけでも面白いのは
ちょっと困った物である。

フィールド時のグラフィックはイマイチ綺麗じゃないのだが、戦闘時では
敵が止め絵ではなく、一体一体活き活きと動いて表示されているし、結構綺麗である。
ただ、何故か回復アイテムが一種類に付き9個しか持てないことが難易度を劇的に押し上げている。
何故かというと、終盤のボス戦ではかなりの持久戦に嫌でもなってしまうために、
どうしてもアイテム不足になってしまうのである。
特にラスボスのHPが尋常じゃない高さを誇ってる上に、攻撃も強力で
クリアするのは困難を極める。

ストーリーの構成がちょっと独特で、
あと16日で崩壊してしまう世界を4人の主人公を動かし、救うといった感じの内容。
このうちの4人目は3人のストーリーを終えることで選ぶことが出来て、
それまでの3人の主人公が合流するエピローグ的な物になっている。
同じ世界で、同じ時間軸で物語が展開するため、お互いのキャラがストーリーに絡んでくることもあるが、
ただ出てくるだけであまり影響は無い。
また、ストーリーに関しては、キャラや台詞がツボを押さえてくるところはしっかり抑えているのだが、
ひたすら文字ばかりで物語を語ろうとして、どうも理解し辛いし、印象に残らない。
いつものスクウェアなら、豪華なエフェクトで茶化したりするのだが、ちょっとスクウェアらしく無い(外注でもないようだし)
もうちょっと、視覚的な演出が欲しい。くどくどと長い台詞も多く、イマイチ盛り上がらない。

終盤のゲームバランスが狂っており、それさえ無ければもうちょっと良い印象を持てたのだが、
ちょっとアイテム関係の仕様と戦闘部分での摺り合わせをしないまま発売をしてしまった印象を受ける。
この頃のSFC対応のゲームに顕著に見られた、急ぎ足で出した練り込み不足なゲームの一つである。




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