龍が如く


対応機種プレイステーション2
発売日2005/12/08
価格6800円
発売元セガ

(c)2005 SEGA
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ゲームの残虐描写の規制が叫ばれる中、敢えてその路線に足を踏み込んだゲームがあった。
ヤクザの世界をリアルに描いた、流血上等、喧嘩上等、夜の歓楽街をまるごと一つ作り上げた大人の世界。
セガが本気になって再び立ち上がった!!

街をまるごと一つ作り上げたという点にピンと来た方は、実に鋭い。DC「シェンムー」のノウハウがそこかしこに見られる。
パチスロやバッティングセンター、ゲーセンのUFOキャッチャーなど、本編クリアには訪れる必要のない施設がたくさん用意されており、そこで用意されたミニゲームやギミックを楽しむことが出来る。

リアルな街風景を演出するために、大手チェーン店や企業に、協力を依頼し、ドンキホーテがゲーム内に登場。そのほかにもサントリーの飲み物や週刊誌SPA!が実名で登場する。

合間に3D格闘バトルを挟んだ、アドベンチャーゲームとなっている。
ストーリーも本格派。馳星周に監修を依頼したシナリオは、いぶし銀の輝きを放ち、任侠映画のような渋さを見せつける。
また、声優も渡哲也を中心に役者色が強く、非常に雰囲気が出ている。俳優を起用したゲームで、ここまでうまく使いこなしたものはほかに無いのではないかと思う。
これを、本業の方々で固めてしまっていたら、独特のアニメ声と演技によって、ぶちこわしになっていたことだろう。

バトルシーンは、乱暴にたとえると、スパイクアウト+ダイナマイト刑事だ。
1対複数の形式で3Dのゲームは、もうさほど珍しくもないが、フィールドにある小物類を武器として使用出来るアイデアは面白い(この辺がダイナマイト刑事を連想させる)。
テンションゲージが一定以上溜まっている状態で起こせるヒートアクションも、いい加減に派手で、種類も豊富にあり、探す楽しさもある。

ただ、カメラの動きが少々落ち着きない。どーも、変な方向に動くので、敵を見失ってしまうことが多くあった。
もうちょっと、セガはアクションゲームの作り方を心得てる会社かと思っていたのだが、アクションの豊富さをのぞけば、シェンムーの格闘部分に毛が生えた程度でしかない。

格闘ゲームに自信がないプレイヤーでも、クリアまでの難易度はわりかし低く設定されている上に、何度もやられているとイージーモードに切り替えることが出来るので、そういう面での心配もない。
加えて、回復アイテムやキャラクターのレベルアップなどで補えるようになっている。

街を歩いていると、チンピラに絡まれるところは、なんだか「レンタヒーロー」を思い起こさせる。
もうちょっと、避けやすく設定してくれると良かったかと思う(対応策が用意されてはいるが)。

グラフィックが、特に屋外の風景が非常にリアルで、通行人の数も多く表示され、かなり頑張っている。
街のエリアが切り替わるごとに、読み込みに行っているようだが、データ量を考えると早いほうで、違和感はない。
しかし、全体的にハードウェアを酷使しているために、メニュー開閉や屋内への移動、ムービー間のローディングが頻繁かつ長いのが目立つ。
メニュー周りでは、アイテムをわざわざアイコン表示にするあたり、負担を大きくしている印象がある。

レーダーマップが優秀で、次に行く場所を、ほとんどの状況で指し示してくれる。描き込まれたマップで見づらくても、とりあえずレーダーを見れば何とかなる。
逆に、レーダーとカメラの位置方角がかみ合ってない場合もあり、慣れるまで混乱することがある。
この辺の作り込みがまだ甘かった気がする。もちろん、大作ゲームの割にという意味であって、このゲームが特別劣悪なわけではない。

本筋とそれ以外という分け方でなく、人助けのようなサブミッション、ドラクエで言うちいさなメダル探しのようなコインロッカーの鍵探しといった、ゲーム的な幅の広さを出そうとした努力も良い。
もちろん、無駄に道草を食って遊んでいるだけでも面白いのだから困った物だ。

ゲーム性で言えば、ムービーの合間にゲームというありきたりなものに見えるが、ほかがやらなかった設定やノリ、雰囲気によって“化けた”ゲームと言える。

見た目ややり方次第で目新しさを出せることを証明した良作。





[2006/10/31]
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