龍が如く 維新!


対応機種プレイステーション3/プレイステーション4
発売日2014/02/22
価格8600円
発売元セガ

(c)2014 SEGA
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幕末の日本の動乱、坂本龍馬の生き様を「龍が如く」の文法で描いたスピンオフ作品。
既にこの手法は「龍が如く 見参!」で行われているため、この路線はシリーズとしては二度目となる。

史実を元にしているが、「龍が如く」のキャラクターたちが、歴史上の人物に扮して活躍するとしたらどうなるのか?がテーマになっているため、フィクションがかなり盛り込まれた独自展開をする。
これには、好き嫌い分かれるところだろうが、この手の歴史物を題材にしたゲームは既にいくつも存在している。
そのため、あまりに史実に忠実に作られても面白く無い。町中に「どんきほーて」や「和民」があったり、大胆なケレン味を見せる絶妙さには拍手を送りたいところだ。

「見参!」でも使われていた、いわゆるスターシステムを採用している。
主人公の坂本龍馬(桐生一馬)だけではなく、登場人物の大半が、過去シリーズで登場したキャラクターで構成されている。
主要キャラクターだけでなく、シナリオに絡むほぼほとんどのキャラが、過去「龍が如く」で出演したキャラクターばかりで、シリーズをずっと追い続けていたプレイヤーにとっては、思わずニヤリと出来る中々上手い作りだ。

ゲームとしては、「龍が如く」シリーズお得意の、過去作り上げてきた資産を出来る限り流用した“積み上げ”方式で作られており、ゲーム自体に劇的な変化はなく、安定した完成度を見せるが、意外性はない。
「龍が如く5」の作りに準じており、ゲームとしての特徴についても既に「龍が如く5」の項目で語っており、こちらで敢えてまた語れることは少ない。

それでも一口に特徴を語ると。
とてもじゃないが遊びきれないほどの膨大で多種多様なコンテンツが用意されていながら、それでいて、メインストーリーはフルボイス、イベントムービー盛りだくさんで、がっつり作りこまれた見応えあるシナリオパート、といったところだ。

バトルシステムは、「見参!」に近いものになっている。
格闘、一刀、短銃、乱舞(刀と銃を同時に装備して戦う)の4つの攻撃スタイルを、切り替えて戦うことが出来る。

ひと通りのスタイルを使ってみたが、一番扱いやすく強力なのが一刀で、それ以外は一長一短あり、イマイチ使いづらい印象を受けた。
短銃は中々斬新なものを持ってきたように思うが、ただペチペチ撃つだけでコンボの爽快感がない。強化弾といった要素や敵が遠距離攻撃を仕掛けてくるシーンを入れるなどで、戦略性や必然性を出そうと言う工夫は見られるが、イマイチ成功しているとは言いがたい。

今回もサブイベントが盛り沢山で、ちょっとやそっとじゃ遊びきれないボリュームなのだが、「龍が如く5」と比べると質的にはやや落ちたように思う。
これに関しては、今作は久しぶりの時代劇で、舞台、戦闘パート等、1から作らなければならない部分が多くあったからだと思われる。

町の人達と絆を深める、精進目録を達成する、「アナザーライフ」全般(ペットの世話、料理、野菜の栽培)、徳を稼ぐシステム。
全体的に、用意されたコンテンツを反復する(させる)ものが露骨に多いせいで、なんだか水増ししているような印象を受けてしまった。
ただ、個人的には「龍が如く5」は巨大すぎるゲームだと感じていたので、ゲーム1本の規模的には、今作ぐらいが丁度良い。
ボリュームを出そうと、無理をしている節が感じ取れたので、そこのくどさが気になっただけだ。

最後になるが、気になった点を指摘して終わる。

イベントムービーが、アクションゲームとしては長すぎる。
それだけ気合いが入っているというのは伝わってくるのだが、やはりこれだけ台詞が饒舌で、イベント展開が冗長なのは、長所というよりはむしろ欠点と言ってもいいぐらいだ。
下手なストーリー重視で売り込んでるRPGよりも長いというのは、はっきり言って異常と言ってもいい。

過去作で、テキストだけで進行するイベントシーンが入ってくる不満点を気にして、このようなイベントフルボイスの作りにこだわっているのだろうが、かえってその配慮がアダになっているように感じる。

装備品の合成・強化といったシステムは以前からあったが、今作では、武器・防具ともに、そこそこ強化してないと、ゲーム後半の難易度がかなり変わってしまう。
これまでの「龍が如く」シリーズでは、装備品はあまりこだわらなくても、とりあえずゲームクリアまでに関しては、そんなに問題なくプレイ出来ていたが、今作では全くやってないとはっきり差の出る作りで、後半はかなりシビアになる。

戦闘時以外なら、メニューを開いて、いつでもセーブできるようになった。セーブポイントを探してウロウロする必要がなくなった。
それでも、今作では、敢えてセーブポイントが残されている。無意味かと思われるかもしれないが、これはプレイヤーにセーブさせるタイミングを知らせている、教えていると捉えることが出来ないだろうか。

不満点は多くありながらも、今回もそれなりに楽しめた。
しかし、「龍が如く5」で指摘した、シリーズの悪しき習慣も一方でかなり多く受け継がれている点が非常に気になった。

イベントの処理の仕方の古臭さ(モーションが終わらないと台詞送り出来ない等微妙なテンポの悪さ)、ムービーに頼りきったストーリーの見せ方。こういった基礎的な部分(仕組み)をさすがにそろそろ刷新して欲しい。
ゲームの中身自体は、着実に洗練されているように感じるだけに、この旧世代的な作りを、いい加減リニューアルすべきだと思う。これは、このシリーズで、最も足を引っ張っている部分だと言えないだろうか。そこで結論。

思ったほど目新しさはないが、安定したクオリティを持った作品。





[2014/03/06]
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