龍が如く4 伝説を継ぐもの


対応機種プレイステーション3
発売日2010/03/18
価格7980円
発売元セガ

(c)2010 SEGA
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年一本ペースという速さでリリースされる「龍が如く」シリーズのナンバリング4作目。
外伝も含めると5作目となる。本作はキャバクラ嬢を一般公募したり、企業とのタイアップなど、これまで以上に派手なプロモーション活動が話題となった。

前作のプログラミングソースが非常に優秀だったので、システム面での変更点は無し。だから、あまり書くことが無い。
但し、マンネリを防ぐ意味合いもかねて、シリーズでは初めて、主人公が4人用意され、それぞれシナリオ進行に応じて切り替わって進んでいく。
当然4人とも、戦闘面での性能が異なるため、硬直化していた戦闘シーンでバリエーションに富んだバトルを堪能出来る。

大振りだがリーチが大きく攻撃力の高い冴島。直接的な攻撃性能に乏しいが投げ技や回避能力に優れた谷村。蹴りに重点を置いた素早い足さばきが特徴の秋山。そして桐生一馬の4人。
万能型で使いやすい桐生一馬が勿論扱いやすい印象があるが、新キャラの中では派手に敵を吹き飛ばす冴島が面白い印象を受けた。通常コンボに溜めを求められるクセがあるキャラだが、使いこなせるとかなり豪快な戦いを楽しめる。

ストーリーは4人の視点から描かれるため、これまでと比べ構造が複雑になっていて、わかりづらくなっている。また、一人のエピソードが短く(4等分しているため)、一応全部のエピソードがつながってはいるのだが、壮大さに欠けている。
また、語りも従来作品より多いせいか、テンポを優先したためか、イベントムービーから突然テキストタイプのイベントシーンに切り替わるなど、違和感を与えるところが多い。見所が増えていく終盤につれてこのようなシーンは無くなっていく。
「龍が如く 見参!」でも似たような見せ方で批判をした。どこまでをムービーで見せるべきか、切り分けることは非常に大変な作業だ。

舞台は今回は龍が如くではおなじみの神室町のみだが(沖縄は入っていない)、地下街やビルの屋上など、行けるフロアーが大幅に増えている。
これまでは行き止まりだった部分が入れるようになっているなど舞台は一緒でもエリアが拡張されているので、シリーズをやり込んだプレイヤーでも新鮮さを持って遊ぶことが出来る。

1作目や2作目では、リアルな町並みを描くために、ドンキホーテなど、実在の企業や商品名を入れるために各社にお願いに行っていた。
それが今や、セガの看板タイトルとなった。募集するだけで、協賛企業が集まるほどの作品となった。
そこでこのゲームでは、ダイナミック広告というプログラムを取り入れている(設定でこのオプションを切ることも出来る)。
これは、いわゆるインターネットサイトなどのバナー広告のようなものをネットワークに読み込みに行き、神室町の広告スペースに貼り付けるという技術だ。
これにより、タイムリーな看板広告がゲーム上でも反映され、よりリアルな世界観を生み出すのだ。

また、本作では通行人までもが、口コミという形で、商品の宣伝をおこなう。これは非常に面白い仕組みだ。
神室町という空間を使って、スポンサーをつのり広告収益を上げることが出来る。それもゲーム上で、違和感なく、プレイヤーに負担を強いることなく、である。

しかし、実はセガは、こういったゲーム内広告に対して、一切広告料を取っていないことが判明した。そこはセガ!金取る所でしょーよ!!もったいない。あーもったいないもったいない。
続編はまだまだ作っていくつもりのようだから、次回作以降ではビジネスモデルとして確立していくことと思う。

ゲームボリュームは、相変わらず、過去作品で作った物全部入りという作りで、サブイベントやミニゲームに至るまでの質・量はそうそうたるクオリティを誇る。
毎年ハイペースで制作し積み重ねてきたノウハウが遺憾なく発揮されており、素晴らしいの一言に尽きる。これを全部一から作ることは不可能に近い。

「龍が如く3」にあった、前作までのストーリーダイジェストも入っていたり、ゲームの基本的なシステム解説もより丹念におこなわれ、新規のプレイヤーに対する配慮も怠っていない。
レベルアップのシステムもこれまでと比べ、わかりやすくリニューアルされた。

声優に関しても、毎回積極的に俳優を起用している点も評価したい。スタッフロールを見て、この人実は俳優だったのか!と驚くことが多い。
本業の声優と混じっても、違和感のない演技力を出せている。

ゲームバランスは、連戦を強いられるところなどで、かなり沢山回復アイテムを置いていたり、非常に気を遣った調整をしている印象を受けた。
シビアな駆け引きは楽しめないかもしれないが、誰でもちょっと頑張ればエンディングが見られる理不尽さの一切無い優しい作りは、間口が広く、この作品の売り方に合った内容だと感じた。
昔の硬派なセガとは思えない良い意味で毒っ気の抜けた感じで、懐が広く良いゲームだと思う。そこで結論。

シリーズファンも、未経験の人も、楽しい。良作。





[2010/03/21]
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