クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編


対応機種プレイステーションポータブル
発売日2012/03/22
価格5980円(UMD)/5600円(PlayStation Store)
発売元セガ

(c)2012 SEGA
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含みのある終わり方をした「クロヒョウ 龍が如く新章」の続編がやっぱり登場だ。
新たに大阪・道頓堀が舞台に追加され、スケールも大きくなっている。勿論ストーリーもきちんと決着をつけている。

改良された点もあるものの、前作のシステムエンジンを流用して安く仕上げたいという意図があるためか、大枠の仕様はそのままとなっている。
そのため前作で指摘した不満点(1枚絵のフィールドマップがわかりにくい、歩きにくいなど)のほとんどが直されていない。

この「クロヒョウ2」は、龍が如くシリーズの保守的な部分が最も悪い形で表れてしまった作品だと思う。
シリーズ初期の頃は、勢いがあって斬新な実験がみられたが、売れてきてからは守りに入っていき、ここ最近はかつての勢いも落ち、迷走し始めている印象だ。

まず、シナリオが一作目の時点で未完結だったから、とうぜん2を出すつもりだったのだろう。しかも、予定ではきっちり1年で仕上げるつもりだったと思う。
しかし、この間、龍が如くスタジオの立ち上げで、開発スタッフの再編を行い、シリーズを長く売っていくスタイルを表明した。
その際に、PSP版のこのシリーズにもシステムの調整などテコ入れをすることになり、発売が半年ずれたんじゃないだろうか。

ついでに言うと、「龍が如くオブジエンド」のエンディングを見るかぎりでは、少なくとも作ってる段階では、あれで本当にシリーズを終わらせるつもりだったんじゃないかと思う。
この辺の業界話は、すべて想像でしか無いので、なんとも意味のない話なので、この辺にしておく。

で、何が言いたいのかというと、シリーズの長寿化を狙っているのなら、今作のように保守的なままでは駄目だということだ。

とにかく、発売時期がまずかった。
なんといっても、PSVitaが出た後での発売。PSVitaは、恐ろしいほどにサードパーティとの連携がうまく行っておらず、上位機種が出た後でも、まだまだPSPでもゲームが出続けており、現役ハードである。
だが、「龍が如く 見参!」をPS3で出した時のように、発売したての最新機種に対応させていち早く出すということは、それだけで注目度がグッと上がるので、ぜひ挑戦して欲しかった所だ。
というか、数年前のセガだったら、やってくれたはずだ。

肝心のゲーム内容について書く。

前作とゲームの中身がほとんど変わっていなくて、やることは全く一緒で新鮮味が全くない。
サブストーリーは、また猫探しがあって、サブイベントも、前作いたキャラが出てきて今回も似たような掛け合いになったり、そもそも拉致った拉致られた、取った取られたのワンパターンでさっぱり面白くない。
大阪に行ける!という売り文句も、しょせんマップは1枚絵だから凄さが伝わってこないし、すでにナンバリングの2でまったく同じ事をやっているので驚きもない。
ストーリーも、今作でやっと核心を見ることができるが、なんというかまさにいつもの「龍が如く」ってな感じで、わざわざそれ目当てにやるほどのものでもない。

つまり、1やった人がわざわざ2をやる価値がないということだ。

よっぽどこのシリーズが好きな人でも、自分はオススメしない。というか、時間の無駄だから止めてしまうぐらい、辛辣な感想を持っている。

ストーリーの構成も、相変わらず地下格闘場で強敵と戦って連勝しろという作りで、マンネリである。
しかも、1作目では、対戦相手の人間描写が丁寧だったが、今回はそこらへんの描写が適当で、突然出てきた敵といきなり戦って、倒したら話が進むという感じで、1話完結型ならではの独自の面白さがない。
加えて、メインシナリオを進めていくと無駄と感じられる横道に突然それるフラグ立てが非常に多くて、テンポがかなり悪い。何とかして欲しい。

バトル周りが、基本的に前作と一緒だが、かなり改良されて遊びやすくなっている。
例えば、レベルアップした時点で、成長ポイントが与えられて、それを好きなパラメータに割り振ることが出来る。これによって、キャラクタの強化がしやすくなっている。
キックは使わないからそのぶんパンチに割り振って強くするなど、自分のプレイスタイルに合わせてキャラクタを強化することが出来る。

バトルフィールドのギミックもかなり増えて、壁に敵を叩きつけた状態で出すことができるウォールヒート、壁や窓ガラスに穴を開けて、そこに敵を投げて場外KOを狙うことが出来るなど、やれることが増えている。

他にも、仲間を1人連れて、戦闘に参加させる事ができるようになったので、ザコ戦がだいぶ楽に戦えるようになった。

このように、かなり戦闘システムは改善されて気持ちよく遊べるようになっているのだが、かといってどの要素もほめられるほどのことじゃないし、厳しいようだがここまでやっと及第点といった感じである。

というか、自分はこのクロヒョウの戦闘システムがあまり好きではない。
いろいろ部位ダメージなど凝っているのはわかるのだが、溜め遠距離攻撃が極端に強かったりして、決まった戦闘になりやすいからである。
しかも、爽快感にも乏しく、戦っていても単調で面白さがない。だからできれば、もうちょっと頑張って改革をして欲しかったのだが、これぐらいが限界のようで残念に思っている(PS2の1から2になったときのような劇的な進化をどうしても期待してしまうのだ)。

ミレニアムタワーの屋上で最終決戦というシリーズ恒例の展開も、これだけ続けられるともはやギャグにしか見えない。
他にも、硬派なムードの中で、敢えてユーモアなネタを取り入れる手法も、そろそろ滑りがちで、ただただ雰囲気を台無しになっている。

そもそも、粗暴な少年右京龍也の成長物語は前作で終わっていて、2は残された謎を暴くための伏線処理みたいな内容になっていて、蛇足にしか感じなかった。

新機能として、オートセーブ、どこでもセーブが出来るようになっているが、アイテムの入れ替えを出来る箇所が極端に少なく、体感的な不便さは相変わらずだった。
オートセーブも結局、ボス戦の直前にセーブしてくれないので、そういう場所では自分でセーブするなど、あまり便利さを感じなかった。

また、主人公役の配役が変更されているのだが、個人的にはあまり気にならなかった(確かに声質とか聞き比べると違っているけど、やっていくうちに慣れる)

個人的には、極道・任侠路線はネタ切れ感が強いから、一度また「見参!」みたいに、時代劇とか桐生一馬が中世ファンタジーの世界で活躍するとか、突拍子も無いスピンオフ作品なんかを見たいものだ。
そこで結論。

代わり映えのしない続編。やる価値なし。





[2012/03/26]
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