ソニックアドベンチャー


何故かSSでは全然発売されなかったソニックシリーズだけども、
まさかDCで3Dになって戻ってくるとは思わなかった。
SSでも、密かに3Dのソニックが出てはいたけど。

ソニックに期待していることは、巨大なステージを
音速で駆け抜けていく疾走感に他ならない。
それを果たして3Dで満足にやれるものかと心配していた。

確かに今回もそういった疾走感はあるのだけれども、
やはり毛色が変わってしまった。
自分で操作していないデモ形式の疾走エリアと、
引っ掛かりながらも2Dソニックのようなただ走るだけの部分など
それなりのスピード感を得られる構成にはなっている物の
全体的にカメラがそれに追いつけず、見辛かったり、
元々が早すぎて理不尽に穴に落ちて死ぬことも多かったのだが
3Dになってその問題点が露骨に現れてきたりと、何かと欠点も多い。

ただ、軒並み3D化していったアクションゲームで
どれもが探索させることに重点を置き、アクション部分が地味になりがちだったのを
ソニックでは、相変わらず派手なままである。
例えば、ジャンプの挙動も通常あり得ないほどジャンプする2D時代を踏襲していたり、
前述のスピード感も健在であるし、
どちらかというと巨大なステージを駆け抜けていく、あの感じを大事に作っているように感じた。

しかし今回は、流石にそれだけではボリュームを保てないと判断したのか
他にもテイルス、エミーといった脇役キャラを操作するステージも用意されている(ソニックステージの使い回しだが)
これらは一つ一つコンセプトが異なっており、
テイルスはソニックより早くゴールする追いかけっこだったり、
エミーは敵の魔の手から逃れるようにゴールまで逃げ切るのが目的だったり
ナックルズはステージ内に隠されたクリスタルを探し出すのが目的だったりと
バリエーションに富んだ構成になっている。

が、正直言ってこういう内容に肩すかしを食らったのは俺だけではあるまい。
今までが、ひたすらソニックでテクノ系サウンドをバックに走りまくるのがウリだっただけに
敵をロックオンして粉砕するガンマとか、
なにもスピード感とは関係ない
ひたすら釣りばかりのキャラ(名前失念)とか
どうにもいらない要素までゴテゴテと付けすぎた感が漂う。

3D化にあたってマリオ64を参考に作ったようだ。
例えば、1キャラの1ステージ内でのクリア目的が難易度に応じて3つ用意されていて
クリアするごとにエムブレムが手に入るようになっている。
これは、マリオ64のパワースターに相当するのであるが、
こちらは別に集めることによる利点はなく、ゲーム上なにか重要な意味を持つことはない。
ただ集めることを楽しむようになっている。
もう一つ参考にしたのは、フィールドマップとストーリーを付けた点。
今までソニックシリーズにストーリーは全くなかった。
そのため、このストーリーは蛇足感が漂う。
ストーリーの見せ方なども全然ダメで、クオリティはかなり低い。
フィールドマップで目的の場所へ右往左往するのも、ただテンポを悪くしているだけである。

そもそもが、ソニックのゲームシステムは2Dだからこそ成立しえるものであって、
わざわざ2Dの利点であった五感に訴える演出を捨て去ってまで3Dにする意味はないように思う。
用意されたステージは、ただただ走り抜けるだけのための物であり
それゆえ、どのエリアも箱庭的な造形の深さは一切感じられず、薄っぺらなのだ。

しかも、スピード感をウリにしたのならば絶対に60フレームは確保すべきであった。
薄っぺらな操作感と合わせて、30フレームの描画はさらにそれを促進する物になっている。

音楽もどこか方向性を間違えている。
これではハードロックだ。否、ソニックはテクノ系サウンドだった。
それをメガドライブの刺激的な音源に乗せて聴かせる点が最高だったのに。

ナイツのA-LIFE(要するにAI)を進化させたらしいチャオの育成は、
はっきりいって不親切すぎて全くやる気が起きない。
ビジュアルメモリと連動しているが、遊ぶ側の負担が大きい。
GC版ではかなり改善されているので、開発側もチャオパートのダメっぷりに気付いたんだろう。
チャオのステータスが視覚的に分からないので、やり甲斐が全く感じられないのだ。
(GC版ではこの点きちんと明示されている)

今までのソニックは、洋ゲー的なクールな感じが良かったのだが、
今回はかなり日本的なセンスになってしまっている。
どうやら、ソニックの初期のクールさを意識して作ったらしいのだが
ストーリーパートで喋らせている時点で、完全に崩壊している。
そもそも、メガドラ時代のソニックはもともとクールなままだった。
色々と意識しすぎて墓穴を掘った感じ。
最近出ている2D路線のGBA版も、MD版の頃を忘れてしまっているようだ。
見た目からまず日本的な雰囲気が漂う。

新鮮に感じられたのは、ゲームのメニューからインターネットに接続できるモードがついていて
そこで公式サイトにアクセスし、ゲームのヒントが見れたり、
掲示板で質問したりすることが出来るところだ。
これに連動して、クリスマスツリーのデータをダウンロードして
ゲーム内の町でクリスマスの雰囲気を味わうことが出来たり、
VMの容量を圧迫するほどデータ量が大きかったが、こういう前衛的な試みは非常に好感が持てた。

GC版では、60フレーム固定になり、チャオの育成関係も大幅に改善され、遊びやすくなっている。
GG版のソニックが入っていたり、アドベンチャーパートで使った町の中で
指定されたものを探し出すモードがついたり、大幅に内容が追加&改良されて移植された。
インターネット関連はこぞって無くなったものの、ロード時間の短縮は大きい。





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