サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY


対応機種ニンテンドーDS
発売日2009/09/17
価格5980円
発売元スクウェアエニックス

(c)1990 2009 SQUARE ENIX / RACJIN
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ゲームボーイ黎明期に発売された人気作品「サガ2 秘宝伝説」ニンテンドーDSでフルリメイクされた。

なぜ、「サガ2」か。と言われると、理由は色々あるだろう。
以前、ワンダースワンカラーで「魔界塔士サガ」が既にリメイクされていたからとか、「サガ2」の方が人気で売りやすいからなどである。
今回のリメイクが商業的に成功することで、1や3のリメイクも考えているらしい。

リメイクに際しては、流行に合わせてゲームバランスやゲーム内容そのものを作り替えてしまうこともあるが、本作は極力原作に忠実な作りだ。
特にバトルバランス、システムに関しては、忠実の極みとも言える作りで、当時の荒削りさが目に付いてしまうぐらい「ひどい」。が、そこは意図的なものだろう。

GB版では、この会社にしては珍しい対面式でテキストベースの、いわゆるドラクエ方式の戦闘シーンであったが、今回リメイク版では、3Dのフルポリゴンに作り直され、ファイナルファンタジー方式の視覚的演出を基調としたデザインとなっている。
このゲームは、一回の戦闘で、敵がグループ単位で出現し沢山の敵と戦う作りであった。そこは3Dになったからといってカットされることなく上手に表現されている(攻撃する相手とされる相手しか表示しないなど)。
同社「ファイナルファンタジー3」のDS版では、描写しきれないという理由で一度の戦闘で出現するモンスターの数に制限がかかり、本来のゲーム内容からかけ離れた狭い作りになってしまっていた。

戦闘シーンは、10体以上のモンスターと戦うこともあり、攻撃エフェクトをカット出来る「早送り」機能が付けられている点も配慮が行き届いており、好感触だ。

ゲームの作りとしては、以前発売された「ロマンシングサガ ミンストレルソング」にかなり近いデザイン、作りである。
簡素に書けば、「ミンストレルソング」風にリメイクした「サガ2」と書いた方が手っ取り早いほど。

原作では、敵との戦闘はランダムエンカウントであったが、今作ではシンボルエンカウントになっている。
インターフェイスの刷新により、アイテムに詳細な説明が与えられ、アイテムの預かり所や、連携システム、下画面にマップ表示するなど、便利機能の搭載で、相対的に難易度は下がっている。

ゲームシステムの説明をしてくれるキャラが各町に置くと言った、親切設計を売りにしているが、そういったキャラクターがプレイヤーを茶化した台詞を喋ったり、
そもそもクセの強いゲームシステムをフォローし切れておらず、また困惑するプレイヤーが出ることを作り手が狙ってやっているところが好きになれなかった。
「ロマンシングサガ ミンストレルソング」と違い、このゲームは、ゲームシステム自体はシンプルなので、それほど嫌みは感じなかったが。
しかしまだ、ごちゃごちゃしたメニュー周りのインターフェイスやヘルプ文章のくどさにセンスのなさがうかがえて、気になった。

サガシリーズは、特に「サガフロンティア2」「アンリミテッドサガ」辺りから、どうも世間一般のゲームからずれた、回りくどいごちゃっとした作りばかりになってしまって、余計なところで取っつきを悪くしている気がする。

それにしても良くこのハチャメチャなゲームをリメイクしようと思ったものである。
フィールドマップも勿論3Dのフルポリゴンで描かれているが、ドットのマップチップでは描ききれなかった世界観が作られ、純粋に感動した。
このダンジョンマップはこのようにリメイクしたか!?など、一枚岩でない破天荒な「サガ2」の世界をバリエーション豊かに表現されていて、素晴らしいと感じた。

個人的にこのシリーズはあまり好きではないが、「閃き」と「連携」システムだけは、かなり高く評価している。「閃き」は「サガ2」には無いが、「連携」だけは追加されている。
しかし「連携」をするには、「運命の糸」というアイテムが消費する。これは、ミューズポイント(MP)を使って手に入れることが出来る。
基本的に戦闘終了時にお金と同じように僅かながら手に入るので不自由はしないが、このシリーズの戦闘の面白さを支える重大な要素の一つだけに、アイテム消費を気にせず自由に使わせて欲しかった。

なお、「連携」もそうだが、リメイク版の追加要素はほぼ全て、使うか使わないかを自分で選択出来るようになっている。
「連携」も技発動時にボタンを押さなければつながらないし、それ以外にも、連携を使い続けることで変化するパーティ称号によって発生するサブイベントも、促されたボタンを押さなければスルーすることが出来る。

このパーティ称号にかかわるサブイベントは、メインシナリオのイベント中に発生するのだが、途中で見ているイベントをとぎれさせてしまうというのが好きになれなかった。
メインイベントを見終わってからでも良いんじゃないかと思う。この辺の付け足しがちょっと下手くそである。

操作性は、ボタン操作だけでなく、タッチ操作にも対応している。タッチ操作で出来ないことと言ったら、カメラの視点操作ぐらいだろうか。
フィールドは3Dで、カメラのタイプは、操作キャラクターの周りを中心にぐるぐる回すタイプだが、今時L,Rボタンで視点を回転させるのは正直しんどい。安易にこういう仕様にせず、DSに合ったインターフェイスを追求して欲しかった(「ミンストレルソング」ではカメラ固定だったのだから、その流れをそのまま受け継いでも良かったと思うが?)。
また、グラフィックのアレンジは中々良くできているが、キャラクタモデリングはイマイチダサイと感じた。イラストの方は悪くないのだが。
BGMのアレンジも残念な出来映えである。DSの性能の関係もあるのだろうが、もう少し頑張れなかっただろうか。「ロマンシングサガ ミンストレルソング」のような力の入った豪華なリメイクも見てみたかった物だ。

キャラクターメイキングの幅も広がっており、モデリング+色替えで個性を出すことが出来る。
ゲーム内容もさることながら、タイトルロゴやジャケット絵など、これは今出しても売れないだろう…と思っていたが、そこそこのセールスを記録しているようである。
ゲーム自体は、基本的に原作に習って作られているので、新規のユーザーよりも寧ろ、昔遊んだ人向けのゲームだろう。ストーリーも中身が無いというか適当なままである。
「サガ2」は割と「魔界塔士サガ」で見られた理不尽な点を反省して作っている面も見受けられるので、そこまでめちゃくちゃなゲームでは無いのだが、それでも割と厳しいゲームである。

しかし、サガシリーズは、相変わらずラストボスが異様に強い。この辺もっと簡単にしてくれてもいいと思うのだが。そこで結論。

リメイクとはなんぞや!?と考えさせられる作品。理想的なリメイク像ってなんだろう。





[2009/09/24]
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