サガ3時空の覇者 Shadow or Light


対応機種ニンテンドーDS
発売日2011/01/06
価格5980円
発売元スクウェアエニックス

(c)1991 2011 SQUARE ENIX / RACJIN
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DSでリメイク移植した「サガ2秘宝伝説」のシステムエンジンを流用して同様の手法で3を移植したものである。

この会社のことだろう、また移植作品を出すだろうとは思っていたが、まさか1ではなく3を選ぶとは思わなかった。
なぜなら、1はワンダースワンでリメイクされたことはあるが、マイナー機種だったし、発売されてからかなり年月が経過しているから商品価値は十分ある。
ゲームシステムが2と近い上、ボリューム面でも規模が小さく作り易いから、など理由は様々だ。少なくともデメリットの多い3を敢えて選ぶ意味は無い。

有名な話だが「サガ3」は、「アンリミテッドサガ」の公式サイトにおいて、シリーズ作品から公式に抹殺されるという手ひどい扱いを受けた(当然だがこのゲームの発売に合わせてオープンしたサガシリーズ公式サイトでは同格に扱われている)。
というのも、サガシリーズの象徴でもある熟練度システムが無くレベル制だし、制作スタッフも1、2のそれと全く違ういわば補欠チーム(スクウェア大阪支社制作なのは有名である)が作っていたため社内的にもなかった事にしたいゲームだったのだろう。実際ゲームとしても面白くなく、あまり話題にならず消えていった。
つまり、元々駄作だったゲームをリメイクするというのだから、それは相当な大改革が必要なわけで、よくこんな大博打に出たものだと感じたわけだ。

ここまで読んで分かる人もいるだろうが、「サガ2」のフルリメイク版という実績がある以上、知名度も面白さも十倍は違うだろう1を普通にリメイクしていれば普通に売れただろうし、普通に楽しめるゲームが普通に作れたと思う(よほど馬鹿な調整さえしなければ)。つーか個人的に3よりも1のDS版が見てみたかっただけだったり。

GB版ではレベル制だったが、歴代サガシリーズに習って、熟練度制を導入しシンボルエンカウントで武器は回数制、技を閃いたり連携攻撃の要素が付けられている(正確には最後の2つはいつものサガシリーズとは意味合いが違うのだが)。
しかし、上っ面はサガっぽくしているものの、プレイ感覚はオーソドックスなロールプレイングに近づいており、このシリーズ独特の爽快感や歯ごたえがない。特に難易度がどっぷりぬるま湯で、開始時に難易度選択でイージーを選べるほどの親切さである。
ノーマルでも、武器に耐久値が付くぐらいで、特に苦労するところがない。一度ノーマルでクリアーするとハードモードが選択できるようになるが、この簡単さなら最初からハードモードは選べるようにすべきだったろう。

ゲーム全体のコンセプトと個々の仕様が噛み合ってないことが目立つ。

技を繋げて連携攻撃で気持ち良く敵を倒していくところがこのシリーズの醍醐味だが、武器が回数制で強い技を出そうとすると一度の消費量が大きく気軽に使えない。
シンボルエンカウントだが、序盤こそダンジョンも短く、敵の配置や追跡も甘いが、後半になればなるほど長大化し、狭い通路に嫌がらせとしか思えないほど密集した配置でむりやり戦わせようとする。ご丁寧に追跡速度まで上昇している始末だ。
親切に回復ポイントやコテージといったダンジョンでも回復できる手段はあるが、肝心の武器の耐久値は回復できない。町に戻るとリチャージ屋といって修復してくれる施設が存在する。
結局、めんどうだからとか、敵が強すぎるからとか、そういった甘い理由で逃げるのではなく、装備品を温存させるために逃げなければならない。戦闘が面白いゲームなのに、これではつまらない。

ターンごとにパラメータ上昇判定があり戦闘中にどんどんステータスが上がっていく。ちょっとやりすぎかもしれないが、ステータスが上がりやすくなりテンポが良くなった。
ちゃんとパーティの強さに見合ったモンスターと戦わないとパラメーターが上がらない(上がりづらい)が、今作だとかなり格下のモンスターでも楽に能力値が上がってしまう。
強い敵と戦えばより上がりやすくなるとはいえ、武器のチャージ代を考えるとあまり強力すぎる敵と戦ってもお金が貯まらず損をすることになる。

バトルはボス戦も含め、単調な展開で作業的で退屈になりやすい。連携はつながりやすいというか条件が揃えば確実につながるからつながったときの快感に乏しい。
ドライブシステムでオリジナリティを出そうと頑張っているが、ルールがわかりづらいし、後付けで強引に付けた感じで全く戦略性などの面白味が感じられなかった。

メニューカーソルのレスポンスが悪くストレスが溜まる。こういう基礎的な部分を何とかして欲しい物だ。

GB版から取ってつけたような要素だった、魔物が落とす肉を食べたりネジを付けたりしてモンスターやメカに変身できるシステムは、1や2のモンスター職の博打の面白さに全く繋がっておらず、不要。
というか、能力が上がりやすいので、人間とエスパーの使い勝手が良く、わざわざリスクのある方へ流れる必要はない。特にエスパーの強さや使いやすさは異常過ぎるとも言える。

ゲームスタート時にパーティメンバーのテクスチャカラーを選択できるが、今回は固有キャラだし、特に通信対戦などするわけでもないので、なぜ色を選ばせるのか(2からの名残だろうが)。パッケージイラストが割といい絵なので、デフォルト色でじゅうぶんだろう。

サブイベントが機械的でつまらない。強敵を倒せ、埋まっている財宝を手に入れろなど。2周目にならないと出現しない手法ももう飽き飽きだ。また、パスワードを入力することで解禁される要素もあるが、ただワイヤレス通信を絡めたいのと(パスワードが掲載される)公式サイトのアクセスアップを狙っているのが見え見えで好きになれなかった。良くある延命措置のWi-Fi追加配信並みに蛇足。

レーダー機能が相変わらず優秀だが、発掘ポイントだけ最初の一回しか場所を表示しないのはどういう意図なのか。

ストーリー構成も元がつまらなかったので面白くなるはずもない(出来がよかったらもっと注目されている)。

こう言った感じで、不満点ばかりでてきてしまったが、良かった点を強いて言えば、前作のリメイク版ではややこしかった連携の要素などが簡略化されてシンプルにまとまってわかりやすくなったこと、システムを説明してくれるチュートリアル役のキャラが意地悪を言わなくなったこと、などゲーム初心者に配慮した部分が目立ったことが良い傾向と言える。
しかし、既にこのシリーズはRPGマニア向けの難しいゲームというイメージが定着してしまっているので、その対策を今更とっても効果が薄いと思うが。

元々作品の出来が悪く、当時無名の中小メーカーがドラクエのヒットで勢いで参入して良く出していたような3流クラスのRPGでしかないので、そこはどう頑張っても挽回出来るはずがない。
原作はエンカウントが多く、一回の戦闘で敵も多く出現し戦闘が長引きやすくテンポが悪いなどの辛いゲームであったが、本作はそこも“忠実に移植”してしまったようで、かなりつまらない。

色々手を変え品を変え作り直したようなのだが、結局一周まわって、同じようなかったるいゲームになってしまっている。これじゃあリメイクの意味が無いだろう。技術的にも光る部分がなく見れるところがない(DSのゲームでも2,3年前のレベル)。こういう部分は大手メーカースクウェアエニックスである、頑張って欲しいところだった。そこで結論。

意味のないリメイク。





[2011/01/10]
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