XI[sai]


対応機種プレイステーション
発売日1998/06/18
価格4800円
発売元ソニーコンピュータエンタテインメント

(c)1998 Sony Computer Entertainment / SHIFT
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サイコロの目をパズルゲームに採用した、シンプルかつ奥深いアクションパズルゲームが、このXI(サイ)である。

かわいらしいキャラクターがサイコロをコロコロ転がしながら動き回り、沢山のダイスを連鎖して消していくコマーシャルが、OL層をターゲットにしたテレビドラマの枠内で放送されていたことが印象深い。
十字キーだけの簡単な操作で、手軽に大連鎖を発生出来る間口の広さ、愛くるしい操作キャラクタなどが目に付き、かなり売れた作品である。
SCEの広報戦略力の高さには驚かされた物だ。いわゆる、ライトユーザーを思うがままうまい具合に取り込んでいる。

ただ単純で可愛いだけのゲームでは無い。
サイコロを転がして盤上の上にある他のサイコロと同じ目を上下左右に揃えて消していくのだが、ゲームルールが非常に洗練されているのだ。
2の目であれば、2つ揃えれば消え、3であれば3、4であれば4…といったように、サイコロの目によって消える数が異なる。
そして、消すのが大変な大きい数を消した方が勿論高得点が得られる。チェインの要素もあり、消えている最中に同じ目を隣接させると連動して消え、チェインボーナスが得られる。
チェインを狙う方が難しいので、実質このチェインボーナスを得ることが大きな得点源となっている。
ちなみに、サイコロの目が1の場合は、1の目でチェイン(チェイン元となるサイコロの目はどれでも良い)しなければ消すことが出来ないが、チェイン発生時にフィールドの全ての1が消えるようになっている。

これまでには中々無かった、立体的なパズルゲームである。サイコロの目は、表側の3つは見えているが、裏側の3つが見えないのがポイント。想像力を働かせ、スピーディに動かなければ、あっという間にゲーム・フィールドはダイスで溢れ、ゲームオーバーとなってしまう。

操作は、十字キーでキャラクタを動かすだけ。難しいテクニックなどは一切必要ない。頭の回転の速さだけが全てである。女性が得意そうなゲームだ。

ゲーム内でのマニュアルモードも完備され、説明書いらずである。素晴らしい。

サイコロを消すたびにサイコロが発生する速度が上がっていくエンドレスモードや、時間内にハイスコアを取るタイムアタックモード、対戦モードやパズルモードも搭載している。
パズルモードは難しすぎず簡単すぎずで中々良いバランスだと思う。対戦モードはともかく、ウォーズモードは不要に感じた。対人戦が出来るわけでも無し、4人のCPUと体力を削り合うモードなのだが、このモードのみ処理落ちしてるし、視点が引いて見づらいわで違和感バリバリであった。
ちなみに、1vs1の対戦モードも、今ひとつ面白味に欠ける。仕方なし入れたのだと思うが。このゲームは、対戦に向いていない。

周りに飛び移るサイコロが無い場合、盤上の上に取り残され、新たなサイコロが発生した時にしか戻れないのが、テンポを乱しているように感じた。

条件を満たすことで、ギャラリーモードに絵が追加されたり、選べるモード項目が増えていくのも、中々良い。
メニュー画面などグラフィックデザインも洒落ていてセンスがある。この辺はセガ辺りにも見習わせたい。

ディスクアクセスも非常に早く待たされることは全くない。素晴らしい。グラフィックも鮮やかでなめらかに動く。良くできている。
これで30フレームだったら気持ち良さがかなり削がれていたことだろうと思う。

とまあ、褒めてばかりいるが、その実飽きやすいゲームでもある。突き詰めていくと奥の深いゲームではあるのだが、底が浅いと感じられる点も事実。うーん、ゲーム制作は難しい。
また、クォータービューでありながら、アナログスティックに対応していないので、長時間プレイしていると指が痛くなるのも難点。距離感が微妙につかみづらいのも気になる。
本編とも言えるエンドレスモードは、ワンプレイに結構時間がかかる。

日常的にあるものを題材とした上、一目見て内容がすぐわかる立体的なアクションパズルという、企画コンセプトなどはかなり良く、ゲーム全体の完成度も高い。が、何か今ひとつ物足りない(ライトユーザにはこれぐらいが丁度良いか?)。ただ自分が贅沢なだけか?そこで結論。

アイディアの勝利。これは売れるわけだ。





[2009/12/02]
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