さんまの名探偵


対応機種ファミリーコンピュータ
発売日1987/04/02
価格4900円
発売元ナムコ

(c)1987 NAMCO
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登場人物の全てが吉本興業の芸人で構成された当時流行していた所謂タレントゲーの一つ。
桂文珍を殺害した犯人を探し出す探偵もののコマンド選択型アドベンチャーゲームになっている。

エニックス「ポートピア連続殺人事件」のシステムに乗っかった内容になっており、ゲーム的に目新しいところは特に無い。
語り部(相棒)のポジションに明石家さんまを置いており、主人公=プレイヤーだが一切しゃべらない。そのため、実質的には有名人のさんまが主役になってしまっている。

移動や会話といった基本的なコマンドはアイコンで表示しているが、はっきりいって何を意味しているのか全くわからない。アイコンの下に一緒に文字も付けるべきだった。
人物について聞き込みをする場合のみ、顔のアイコンとその下に人物名を表示させているが、ページ送りのコマンドが右下に置いてあるのが不便。文字でコマンドを選択する箇所では十字キーの左右ですぐに項目を切り替えられるのに。統一性がない。

メッセージテキストが吹き出し風のウィンドウで表示していたり、場所移動でマップを実際にキャラクタを動かして移動させるのは、当時としては画期的と言える。

「調べる」コマンドの中には、「叩く」「押す」「回す」「開ける」「取る」「食べる」と数がやたら多い。通常連想されるものとは違う意味で使う場合があり、なかなかトンチがきいていて使い方が上手いと感じた。
突拍子も無いフラグ立てでゲームが進行する場合があり、理不尽さがある。これはこのゲームに限ったことではなく、当時の他のコマンドアドベンチャーもそういう傾向にあった。このゲームの難易度は寧ろ低いほうである(1987としては)。
ゲームセンターでギャラクシアンのパロディゲームをクリアすることでヒントがもらえるぶん、まだ他のゲームに比べ易しい方だ。ただし、ここでも手取り足取り教えてくれるわけではない。

顔グラフィックや性格の特徴を良く抑えており、少ないテキスト量でも実在する登場人物をしっかり描けている。ここは評価できるところだ。

ストーリーはまあ、捻りがないというかほとんどの人が、開始直後に真犯人とトリックがわかってしまうだろう。真相を引っくり返す意外性を与えるのが探偵物のゲームの醍醐味の一つなのだが、ファミコン黎明期のゲームにそこまで求めるのは酷だろう。

ゲーム中、突然ミニゲームが挿入されることがあるが、どれもつまらない。
結局は、本筋であるADVよりも、いろいろな要素を詰め込んでバラエティ色を出す方向性で売るつもりだったのだろう。実際吉本芸人が一同に介して殺人事件に巻き込まれるという企画はセンセーショナルで話題となった。そこで結論。

タレントゲーとしては豪華。ゲームとしてはおざなり。





[2010/12/16]
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