サルゲッチュ2


対応機種プレイステーション2
発売日2002/07/18
価格5800円
発売元ソニーコンピュータエンタテインメント

(c)2002 Sony Computer Entertainment
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1999年にプレイステーションで発売され、口コミでロングヒットを飛ばした
猿捕まえゲー、サルゲッチュの正統な続編がプレイステーション2で登場。

主人公ヒカルは、事故により各地に散らばったピポヘルをかぶっている猿を捕獲する事だ。

本作は「スーパーマリオ64」に似た路線の3Dアクションアドベンチャーである。
三次元で構成された箱庭ステージを探索し、そこに徘徊している猿をガチャメカといわれる
アイテムを駆使して捕まえていく。
まず、この目的設定が凄く上手く直感的で分かりやすい。
従来作のように、「〜〜を集めろ」というものは、そこでゲーム的なお約束に甘えてしまっている面があった。
なぜ、それを集めなくてはならないのか?集める必然性が今ひとつお約束にかまけてしまって
焚きつけられない面もあったように思う。
本作では、猿を捕まえるために頑張るという、ありそうでなかなか無かったシチュエーションを持ってきている。
目的がはっきりしているし、入念にイベントムービーの挿入もあって、意欲がわいてくる。
これは、アイデアの勝利といえる。
全般画面デザインや世界観のセンスも上手で、低年齢層向けに配慮した名称のわかりやすさなど
感心出来るところも多い。
ただ、字幕が大きかったりルビが振ってあったりと、作りがちょっと任天堂っぽすぎる気もする。

ゲームの流れは、指定された数の猿を捕まえるとステージクリアとなり、
次のステージへ移行するようになっている。
新しい面に入る際に、新たなガチャメカ(アクション)が追加されることもある。
また、幾つかステージをクリアするとボスと戦う面も出てくる。
指定される数は大体ステージ上に存在する猿の2/3程度で、全て捕まえなくても先に進める格好だ。
また、後半に手に入るガチャメカを使わないと捕獲出来ない猿もいて、最初から全て取ることは出来ない。
猿は道の真ん中にいたり、探さないと分からないところにいたり様々なところにいるが、
ひとまずエンディングまで進める分には引っ掛からないようになっている。

ゲーム序盤で「サルレーダー」という猿の居場所を探れるガチャメカが手にはいるので、
居場所が分からずに探し回るということはまず無い。
あと、捕まえ方が分からなくなるほど意地悪な解き方も無いために、突っかかることはなく
全体的に小気味よくテンポが良い。
猿を捕まえた時の演出も爽快感があり単純に気持ちいい。

アクションの難易度はそんなに高くなく、無理をすればワンミスになりますよという程度。
ライフが減ってきた時に敵を倒すと高確率で回復アイテムを落とすので、死ににくい。

ガチャメカの数が多く、それに対する形で覚えることが多い気がする。
気がするというのは、恐らくチュートリアルが雄弁すぎるからだろう。
新しいアイテムが追加された時に、トレーニングスペースという専用の練習場で
事前に練習まで出来る親切さである。
勿論、すっ飛ばしても良いが、そこのステージでも解説の台詞が入っているほど。
ここは思い切って多少突き放しても良かったように思う。
手取り足取り教えてくれるのはよいが、本番では万全過ぎてかえって物足りないのだ。
ムービーの挿入も頻繁でアクションゲームにしては見ている時間が多い気もする。

ゲーム全般、猿を捕まえるだけに終始するのだが、どこまでいってもそればかりなので
少し遊ぶとマンネリになってしまう。
ましてや、総数300匹である。ちょっと多すぎるように思う。
そこを沢山のガチャメカやDVD-ROMの大容量を生かした膨大なステージ数、
そして仕掛けなどで誤魔化せてはいるのだが、欲を言うともう一捻り欲しかった。

操作性がちょっと良く無い。
○、×、△、□ボタンにそれぞれガチャメカを好きに割り振ることが出来る。
「ゼルダの伝説 時のオカリナ」のCボタンユニットと同じ扱いだ。
しかし頻繁に使うジャンプボタンがR1/R2ボタンに追いやっているのは納得出来ない。
ガチャメカと一言に言っても、用途によって使用頻度の差が大きかったりするので、
メインウェポン/サブウェポン/キーアイテムのようなカテゴリを設けて
全部一緒くたにしないで、割り振りにもある程度の制限をかけて、
メインウェポンは□、サブウェポンは○のように分けておけば、もっと快適に遊べたと思う。
あまりにプレイヤーに操作形態の自由度を与えすぎている。
ボタンそれ自体に意味合いを付けなかったために、機敏な操作がしづらく、混乱することがある。

また、操作キャラの挙動にクセがあり、そのせいで操作が大味になってしまう。
特にジャンプの軌道が酷く、ジャンプアクションを要求される場面では
このクセのある軌道のせいで繊細な操作ができない。
他にも、ガチャメカの使用は右スティックで行うのだが、
倒した方向に画面上のキャラもかなり精密に動くので、ゲットアミやメカボーで
対象物に当てる動作一つ取ってみてもなかなか思い通りにいかない。
倒すだけでなくパチンガーではスティックをはじくとか、物によっては回すという
面白い使い方もしているのだが、まわす操作はちょっと使用頻度と考えて煩雑すぎるように思う。
これらの大雑把さが、アクションゲームとしての繊細な操作感覚を摘み取ってしまっており
適当なバランス調整、内容になってしまっている。
致命的な問題ではないが、せっかく右スティックを使わせているのだから
操作性関係はもっと慎重に煮詰めて欲しかった。

本作は、ライバル機ゲームキューブのキラータイトル「スーパーマリオサンシャイン」の
発売日に堂々とぶつけてきた。
「マリオ」と本気で張り合うつもりで作っているためか、かなりのボリューム、豪華さである。
ミニゲーム一つ取ってみても相当な作り込みで完成度も高く、
オマケ要素も隙がないところまできっちり入れ尽くされており、5800円らしからぬ満腹感が味わえる。

ただし、肝心のゲーム内容はというと意外に新鮮味は無く、
既存の仕掛けを上手に組み込んだという感じである。
とはいえ、この分量、全体的なセンス、作り込みは十分に評価に値する内容だろう。
恐らく一作目がヒットしたのは、右スティックを使う新感覚の操作と
あの時期に、プレイステーションで「マリオ64」タイプのアクションアドベンチャーを出せたことなのだろう。
しかし2は、ギミックにしろなんにしろそれらの使い古しといった感じで、これといった新しい物が無い。
何気なくエリア切り替えなどのローディングが早めなのは好感が持てた。

分量と勢いで誤魔化せた良作。ライトな方は是非。





[2004/05/10-2005/03/31]
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