ピポサル2001


対応機種プレイステーション2
発売日2001/07/05
価格5800円
発売元ソニーコンピュータエンタテインメント

(c)2001 Sony Computer Entertainment
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「サルゲッチュ」のキャラクターと世界観を使った新作アクションゲーム。
間違えてはいけないのはこのゲームはサルゲッチュの続編ではない。ゲームシステムは全く別物となっている。

今度はサルを捕まえるのではなく、サルがはいているパンツを集めること。
しかも西暦とかけており2001枚ものパンツを集めろというキャッチャーなものになっているが、実際はそんなに枚数はなかった気がする。
恐らく、2週目のハードモードと合わせるとちょうど2001枚になるのだろう。

「ヌゲッチャー」という掃除機を担いで、大量のサルが徘徊するフィールドを舞台に走りまわる。

今回も多くのギミックが用意されており、段階的にレクチャーもしてくれるのだが、結局はサルを一箇所に集めるラブラブMD(誘導弾)とバクハツMD(爆弾)、パンツが脱げて襲ってくるサルをロケットとして発射するといった特定のアイテムが強力すぎて、それ以外のギミックを使うことはまずない。
というか、ステージ開始前に言われるほど効果的でないので時間の無駄になる。せっかく練って作られたステージ構成もゲームバランスのさじかげん一つ悪いだけで、あって無いものになる。非常に残念なゲームだ。
ちなみにこの戦法も、ゲーム終盤でやや厳しくなってきたときにやむなく使うぐらいで、中盤ぐらいまでは、適当にプレイしていても苦労するところはないし、Sランクも簡単に取れてしまう大雑把な作りだ。

操作性が悪い。カメラが引いているせいなのか、移動速度が遅く感じられる(というか、実際遅いと言える)。また、「サルゲッチュ」といったら2本のスティックを使うゲームという特徴があるが、今作では使わない。ここを外しちゃ駄目だろう。これは、大減点と言える。
ガチャメカがないので、今回はアクションの数が少なく、基本的にプレイヤーは掃除機で吸い込む操作しか出来ないので物足りなさを感じる。直接攻撃すら置いてあるアイテムを使わないと出来ないため、序盤から終盤まで単調な展開になりやすい。
爆弾を投げたりサルを吸い込んで発射したり出来るが、これがとんでもなく意図したところに狙いづらく、非常にストレスが溜まる。
L1ボタンでカメラを背面に回りこませることが出来るが、視点の操作が出来るのはL1ボタンだけの割に、カメラワークがイマイチ良くない。

ゲームルールもどうも良くない。制限時間内にステージ上の全てのパンツを集め、転送機で転送すればステージクリアなのだが、この制限時間をつける理由がない。時間切れになってもワンミスにならないのも違和感を感じる。
ステージクリア時にプレイ内容を評価してくれるのだが、この要素を活かすために単なる後付けで付けたやり込み要素にしか思えなかった。

手を変え品を変え工夫しているのはわかるのだが、ひたすらステージ上のパンツを回収するだけというゲーム性もいかがなものか?
これは本家「サルゲッチュ」にも言えることなのだが、だんだんと作業的になってきて、つまらなくなってしまうのだ。特に今作では、その作業感を払拭させる努力が全く見られない。
ボス戦も結局パンツ集めで最終ボス以外は使い回しだし、ステージマップも平坦で狭く、制限時間のシステムを組み込んでいるので、長くても5分、大体が2,3分であっさりクリアしてしまう物足りなさも気になる所だ。
その1ステージのスカスカな中身に釣り合うほどステージ数があるわけでもなく、全体的にもボリューム不足でとにかくつまらない。

強いて言えば、最後の面のステージ構成が面白かったので、ステージ数がこれより減ってもいいから、全ステージを最終ステージのように作るべきだった。
まず最初にジャンプアクションでゴールへ向かうエリアが幾つかあって、その後パンツ集めのステージが入り、最後はド派手なボスが出てきてバトル。実にバリエーションに富んでいていいステージ構成であった。

グラフィックは、前作はPSで苦労しながら一生懸命やっていた3Dの箱庭フィールドだが、さすがにPS2ともなると、軽々と動かして見せる。
だが、PS2の割に映像はそれほど綺麗さがない。ジャギーも気になる。
唯一の見所といえば、沢山のピポサルが画面内で処理落ちすることなく動かしている点だが、恐らく、このゲーム自体、PS2のマシン性能をテストするために作られたベンチマーク的な位置づけにあったソフトなのではないだろうか?
まずモデリングがPS版のを流用してる感じで、後はテクスチャをそれなりに綺麗にしたぐらいで、造形はいたってチープだ。

他にもインターフェイスはあまり良くないし、ディスクアクセスは壊滅的に遅い。ゲーム的な作りがどうにも荒っぽく、作りかけのまま出したって感じで、とてもじゃないが出来上がりのゲームには見えなかった。

今一つ練り込み不足のゲームシステム&操作性、イベント中の台詞に声を当てていない点、全体的に漂うボリューム不足な内容など、ゲームとしては明らかにグレードダウンしている。
あの「スーパーマリオ64」を隅々まで研究してスペック不足もなんのそので生み出した前作のサルゲッチュのような情熱をまるで感じない。

せっかく愛らしいキャラクタデザインが受けてSCEのイメージキャラになるまでに出世したというのに、あっさり潰してどうする。そこで結論。

続編として発売しなくて良かった駄作。





[2011/04/21]
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