スーパードンキーコング3 謎のクレミス島


対応機種スーパーファミコン
発売日1996/11/23
価格6800円
発売元任天堂

(c)1996 Nintendo / Rare
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すっかり人気シリーズとして定着してしまった「スーパードンキーコング」の第三弾。
パワフルベイビーディンキーと、紅一点のディクシーのデコボココンビが、クレミス島の秘密を暴く!

2のように正統進化の直球勝負というよりは、マンネリ打開のための変化球気味なゲーム内容になっている。
が、2の出来が良すぎたせいもあって、並の完成度では見劣りしてしまい、満足できないという不遇の立ち位置にある作品と言える。
単体で見ると、決して悪い出来ではないのだが、シリーズものとして見ると、イマイチ作り込みが甘いな…と思わせてしまうパターンだ。

冒険的な要素の代表例として、探検要素やアドベンチャー要素の強化が挙げられる。
(全てではないがある程度)ワールドマップを自由に歩けて、隠されたほら穴を探してバナナバードを集めたり、各マップで小屋を立てて暮らしているキャラたちに欲しがってるアイテムを渡して手助けしてもらったりだ。
アクションステージのギミック構成も挑戦的で、ただ先に進めるだけでなく目の前の仕掛けを乗り越えるのに、タルを運んで敵を排除したり、スイッチを切り替える必要があったり、右往左往することがある。
特に新しいと思ったのは、奥行きを持たせたギミックが多く見られたことだ。画面奥にいる敵がこちらに向けて弾を撃ってきたり、逆にボス戦では画面奥の敵に向かって玉を投げたりできる。

2では、使いまわしていた敵キャラだが、3ではほぼ全部新規に作り替えられている。
でも、ただ見栄えがちょっと変わっただけで、行動ルーチンや性質が同じだったりして、それならわざわざ新しく描き起こさなくても良かったんじゃ…?と感じた敵も多数。
それに、今回のデザインは、どれもなんだかダサい。

プレイヤーキャラクターも入れ替えられている。2で初登場のポニーテールのディクシーはそのままに、新キャラはパワータイプのディンキーが加わった。
「スーパードンキーコング」なのに、1で華々しくデビューしたドンキーはまたしても主役から外れ、1、2と出続けてきたシリーズの顔とも言えるディディーコングまでも外されるのは、さすがにどうかと思った。
比較的扱いやすかったディディーが外れてしまったことで、シリーズ独特のスピード感や爽快感が薄れてしまって、1からやっていた人にとっては、今回の使いづらい2人組にまずショックを受けるに違いない。

新アクションなんかも積極的に導入しているんだが、ディンキーの水切りジャンプは、ゲーム中で一切説明がないし、新しいアニマルフレンドのエリー(ゾウ)のキャラ付けのゴテゴテっぷり(ネズミが苦手、Yで近くのタルを引き寄せる、Lで水を吸込みRで発射)が気になった所だ。
どの新しいアクションも、後付けで付けた感じで、地味で存在感がない。逆に、エンガード(カジキのアニマルフレンド)のスーパーアタックが残されているが、使用用途が一切無くなっているなど、詰めが甘い印象。

このように、同じことばっかりやってちゃ飽きるから。という開発者の声が聞こえてきそうなゲームなのだが、今一つリニューアルしきれてない感があり、とりあえずアイディアは出し尽くしたんだけど、上手にまとめられないまま完成させてしまったってところだ。

グラフィックはCMでは「SFCでは最高画質」と自称するほどの自信を持っていて確かにきれいなのだが、2の時点で一定水準のクオリティを吐き出していたので、驚くほどのものはない。
記号的な観点からみると、逆に描き込みすぎて、地形が(どこが歩ける場所か等)はっきりわからないぐらいだ。
また、これがCD-ROM媒体なら、力押しで沢山のマップチップを入れれたのだろうが、SFCの32メガビットのカセットの制限では限界があり、ステージの種類が少なく使い回しが目立つ、マップの地形も(やむなくだろうが)似た構成が多い。
さすがにちょっと頑張りすぎだ。確かに、今回はワールドマップの川が流れる表現なんかは、ラスタースクロールをうまく使ってそれっぽく見せたり、そういう小技は目立つのだが、2ほどのインパクトはない。
寧ろ、ゲーム内容や環境との折り合いの付け方については2のほうが断然優れているとさえ言える。

小屋の住民との会話時のインターフェイスが悪くなっていたり、新システムがどれもことごとく荒削りで滑っているのが、基礎となるアクション部分は安定感のある出来栄えなだけに、余計そのギャップが目に付く。

かっちりした完成度を見せた2と比べると、どーにも迷走してしまった感じ。任天堂の人気作品ということもあり、それなりの面白さはあるのだが、なんか全体的にスカスカしていて物足りないという非常に惜しいゲームだ。そこで結論。

頑張りは伝わるが空回り。単体としてみればそれなり。





[2011/03/14]
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