戦国無双


対応機種プレイステーション2(HDD対応)
発売日2004/02/11
価格6800円
発売元コーエー

(c)2004 KOEI
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「戦国無双」は、すっかりコーエーの看板シリーズとなった「真・三國無双」の流れをくむ作品である。
中国の三国志から、日本の戦国時代へと舞台を移し、どのような革命が起こったのか。

コーエーとしては、三國無双で中国の三国志を舞台とした路線だとやることやりきったし、ってことで今度は日本の戦国時代へと目をつけたのだろう。
なんてことはない、こっちも歴史SLGをお家芸とするコーエーの得意分野であり、この作品が出ることはある種“必然”だったのだと言える。

ゲームとしては、「真・三國無双」の流れをくんでいるだけあって、大まかなシステム面は同様となっている。
群がる敵軍勢を一振りでなぎ倒し、各地に散らばる武将を撃退して、最後には総大将を撃ち倒していく、「一騎当千」がテーマの3Dアクションゲームだ。

ゲームシステムで大きく変わった点としては、ステージ上でのイベント演出がかなり強化されていて、プレイヤーにミッションと言われる目的を提示される点である。
例えば計略を起こす際に、与えられたミッションをきちんとこなしていかなければ計略が成功しなかったりする。

ミッションはやってもやらなくても良く、同時多発的にミッションが提示されることもあり、一度にすべてのミッションを達成することが出来ず、どちらかを選択する必要があったりと、
飽くまでも、主導権はプレイヤーにもたせている。

が。
ミッションを達成しないと、大抵の場面ではプレイヤーの軍勢に不利を被るようになっているので、基本的には与えられたミッションをこなしていくという作りになっている。
また、イベントを経由しないと、敵総大将へと到達できない(扉が閉まっていて通行出来ないようになっている)といったステージも多い。
このおかげで、やらされ感が大幅にアップした。

何も考えずに言われたことをやっていれば良いという楽さも一方である。
だが、ゲーム開始前にマップを見ながら、どの武将から倒して戦力を削っていくか、といった思考を張り巡らせる余地がなくなってしまった。
自由度はこれまでの無双シリーズと比べると相対的にダウンしたと言わざるを得ないだろう。
かといって、イベント重視のこの作りが一概に悪いとも言えず、結局の所、どっちが好みなのかは、人による。

次に、城内ステージが追加された。
その名の通り、城の中を舞台にしたステージである。

これに関しては「期待してたんだけど、思ってたのと全然違うな...」という感じで、失敗している印象が強い。

まず、味方はプレイヤー1人だけで、敵は変わらず多勢で襲いかかってくる。
また、マップが歩いた部分だけしか見えず、単調な作りなのに妙に入り組んでいて広く、迷いやすい構造になっている。
そして、複数階層あるので、攻略するのに時間がかかる割に、制限時間が全体的に短いものばかり。

無双演舞(無双モード)でも、この城内ステージがあるのだが、どうにも「無限城」モードのついでに作ったと言うか、差し込んだような印象が強い。

野外ステージと城内ステージを2つセットで1ステージにしているところもあるのだが、野外で一度撃ち倒しているのに、城内ステージでも倒さなきゃならないとか、違和感バリバリである。

一方で、服部半蔵や石川五右衛門などのように、城内ステージというシチュエーションを上手に活用している一面もあるので、一概に否定できない面があるのは確か。
しかし、全体としては失敗している。

グラフィックはモノトーンを基調とした和のテイストを意識した色合いになっていて独特の綺麗さがある。...なんだけど、全体的に画面が暗すぎるきらいがある。
「無双3」と比べると、かなり遠景まで背景が描画されてて、造形も力入ってるし、敵兵の表示も軽い。さすがに密集すると遠くのキャラは透明になってしまうが。このへんがPS2の性能的に限界だろう。
ちなみに、(よほど重くならない限り)スローモーションもほとんど起きない。

キャラクタは全部で15名(最初は5名のみ)収録されている。
1キャラごとに1つのストーリーがあり(基本5ステージクリアでエンディングになる)、さらに1キャラごとに分岐が発生するようになっているので、かなりのボリュームがある。
この方式は、好評だから採用しているのだと思うが、個人的には遊びきれないので、別の方式を考えて欲しかった。

例えば、実際の史実をなぞるような形でステージを選んで、そこからその戦いに登場するキャラを選択する。一度クリアすると、敵側サイドを選択できるようにする。
ステージをクリアしていくと、新たなステージが発生して、史実にない(あまり重要でない)ステージも隠しステージとして登場する形にすると、かなりスマートになると思うのだが。
これだと、歴史の正しい勉強ができるし、その上で史実ではありえないステージを登場させて区別すれば、ゲーム的にも楽しめる。
現状だと、キャラごとにストーリーを完結させているので、並列的なストーリーのどれが正しい史実なのかわかりにくいし、似たようなこと何回もやらされて、ちょっとつらい。

1キャラごとにストーリーが作られている形式も悪くはないのだが、いかんせん重複するステージも多いし、全部遊ぼうとすると時間がかかりすぎる。

キャラクタは、「無双」シリーズを遊んでいる層を明らかに意識しており、かつ、商業的に「当たる」事がわかっているので、「真・三國無双」のときとは異なり、かなり力が入った作りになっている。
人気声優を集めており、キャラクタの性格付けもかなり濃い口で、全体的にアニメ調でケレン味溢れる作風が、狙い過ぎな感は否めないが、クオリティは高い。
全体的に濃すぎて、受け付けないって人も出るかと思うが、キャラ付けを濃くするのは当然の流れと言えるだろう。

このシリーズは、「真・三國無双2」で一度、完成型を迎えた。
そこで、アクションゲームとして更に面白くなるよう、手を変え品を変え頑張っているのは伝わってくるのだが、コレ!!と言えるほどのものが出てこないのも事実。
難しい問題である。そこで結論。

無双シリーズとして、進化を狙った一作。





[2018/04/05]
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