対応機種 | セガサターン |
発売日 | 1997/12/11 |
価格 | 4800円 |
発売元 | セガ |
メガドライブで大好評を博した、シミュレーションRPG「シャイニングフォース」。3作目が満を持してセガサターンで発売。
果たして、セガサターンの衣を纏って、ビジュアル、システムがどのように進化したのか。興味深いところだ。
本作は、シリーズ初の試みとなる三部作となっており、1本でゲーム内容が完結しない。
また、ゲーム上で選んだ選択肢や行動が、続編で反映され、それによって異なる結果(イベント)を与えるという、「シンクロニシティシステム」を採用している。
三部作のゲーム内容としては、同じ時系列を別の人物の視点から見ていくという形式となっているようだ。
フィールドはフルポリゴン化(フィールドがポリゴン+人物がスプライト)され、戦闘シーンもフルポリゴンで表現されている。
カメラ視点も360度ぐるぐる回転させて見渡すことが出来て、このような仕様のため、きちんと建物の裏側まできっちり作り込まれており(作り込む必要があり)、クオリティが総じて高い。
しかし、このような立体感のあるフィールドは、民家など建物によって、物陰が出来てしまって見通しが悪かったり、記号的な観点から構造が把握しづらい見にくさが目立っている。
だが、この前衛的な挑戦は、それだけで評価に値すると言えないだろうか。
また一方で、戦闘シーンの方は、文句なしに素晴らしく出来が良い。
ややテクスチャとモデリングがイマイチかと感じるが、それ以上にエフェクトやカメラ演出、モーションの出来がとても良く、思わず見とれてしまうほど。
何より、バトルシーンへの場面転換が早くて、CD-ROMのゲームであることを忘れてしまうほど、待たされない。全くもって素晴らしい!!
ゲームとしては、シミュレーションとしての色合いが強めになっており、シリーズ一作目に感覚的には近くなった。
ゲームバランスが絶妙で、経験値の与え方も良い。序盤から終盤に至るまでの、難易度の上がり方が凄く良く、これはS.RPGを好んで遊んでいるユーザーであればあるほど、そのバランスの良さを実感できるだろう。
しかし、最終面に限っては、(普通にやっていれば)レベル上げに加え、こまめなセーブ&ロードが必要なほどの難しさで、ここだけは難易度を下げてほしかった。
フィールドの高低差や、武器の熟練度、ユニット同士に発生する支援効果を友情効果に置き換えたもの、装備品固有の必殺技、二元中継の戦闘マップ等、色々新しいことをやっているんだけど、
それを新しいことと気づかせないように精一杯の配慮を行っている。
ともすれば、これは、見た目だけ変わっただけで、ゲームシステムは旧来と変化がないと評される危険性が伴う。
その危険を冒してまで、遊びやすさや間口の広さ、敷居の低さを重視した作り方は素直に好感が持てる。
実際、新システムを新システムと思わせない自然な作りが地味に効いてて、シリーズ経験者は違和感なく入っていけるが、気づいたら、新システムを使いこなしているといったプレイ感覚が凄くいい。
続いて、いくつかの不満点を述べる。
それは、シリーズ恒例になりつつあるが、テキストがどーにも良くない。
本作は、前2作のドラクエ風ファンタジーをベースとしたものとは異なり、それより一回り大人びた路線の国同士の戦争を描いたものとなっている。
キャラクターデザインや作風も大人向けのものとなり、グッと引き締まった雰囲気となっている。
それなのに、テキストがどーにも締まらない。せっかく熱い展開がてんこ盛りの本作なのに、台無しになってしまっているのだ。
このゲームの名誉のために弁解しておくと、日本語としてちゃんと理解できる文章だし、気になるのは台詞の説明口調なところだけだ。
ただ、台詞がそんな調子の文章なものだから、さっぱり雰囲気が出ない。
例えるならば、洋画の字幕版を出来の悪い翻訳で見ているような、そんな感じだ。
本当に、ここがしっかりしていれば、素晴らしく盛り上がる作品になっただけに、本当に惜しい限り。
次の不満点としては、戦闘パート時の操作性やインターフェイスについて。
ベースとなる操作性は良いんだけど、3Dのフィールドマップを進軍させる戦闘パートの操作性がイマイチ良くない。
まず、視点をS,M,Lの3種類から切り替えられるんだけど、どれも一長一短でカメラを引けば、ユニットが見づらくなるし、近づければマップが見づらくなる。丁度良い視点というのがなかなか無いのだ。
キャラを掴んだり、ステータスを調べる操作も、メガドライブ時代からベースが全く変わっていないのも古臭くて、敵の移動範囲やステータスを見るときにまどろっこしい1ストロークが入るため、誤操作してしまったり、不便である。
操作に斜め移動が入るようなったために、キャラをつかむ操作もやりづらくなってしまった。
途中、苦言も呈してしまったが、「シャイニングフォース」の名に恥じない、とてもクオリティの高い作品に仕上がっている。そこで結論。
新しい次元を、さも当たり前のように実現している作品。