スターフォックスアサルト


対応機種ゲームキューブ
発売日2005/02/24
価格6800円
発売元任天堂

(c)2004 Nintendo / NAMCO
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1997年4月以来、8年という長い歳月を破り
ゲームキューブで「スターフォックス」最新作が堂々登場。
ナムコとのコラボレーション作品という部分も見所の一つだ。

2002年にも「スターフォックスアドベンチャー」がゲームキューブで発売されているため、
8年振りというのはちょっとおおげさなのだが、
前作はジャンルが全く違うため、意味合いとして間違いはないだろう。

ゲーム内容は順当な進化を遂げているが、新たな要素として白兵戦が加えられた。
いわゆるFPS系の一人称ステージで、従来の3Dシューティングステージとは
また違った趣で作られている。
(視点は完全な一人称ではなく、画面手前に主人公が表示されているタイプ)

地上で、大多数の敵を相手に武器を使い分け、決められたターゲットを破壊していく
という構成なのだが、
どうやら本作はこの白兵戦に相当力を入れているらしく、ステージ全体の比率としても
とりわけ多めに作られている。
シリーズでも新たな試みと言うこともあって新鮮味はあるが、
既存のジャンルと比べると十人力と言わざるを得ない。
いわゆる良くできたミニゲームの域を出ないという感じで、作りに気合いが入ってない。
敵を倒した時の軽薄な演出や、武器切り替えの融通のきかないところなど
作りが甘く、操作体系も3種類から選ぶのだが、デフォルト設定が簡略化されすぎてしまって
操作に制約が勝手に加えられてしまうといった中途半端さも残っている。
この中でも深刻なのが武器の切り替えで、使いたい武器に瞬時に切り替えられず
さらにポーズ画面などで選ぶことが出来ないため、安全地帯で予めセッティングすると言ったお粗末さ。
ゲーム的に、これで問題ないならまだ許せる。
ハイスコアを狙うためにはタイムボーナスも意識せねばならず、この仕様には呆れるばかり。
操作周りもまだまだ練り込まれたとは言えないし、残念な出来である。
マップ構成も、無駄に広く分かり辛かったりと、今ひとつ面白味が無い。

64版では、ゲームシーンとイベントシーンの境目が無い、あの一体感が
ゲームとしての魅力をグッと引き上げていたが、
今回は魅せたいという欲求バリバリで、デモシーンの際に画面が暗転してしまう。
また、過剰なカメラワークのせいで「ここはイベントシーンなんだ」と
プレイヤーに気付かれてしまい、途端に疎外感を与えられてしまう。
これはスターフォックスの一つのウリだっただけにガッカリせざるを得ない。
ブリーフィングシーンも、なんだかキャラモーションが無駄に多く余計すぎる気もする。

本作にも勿論音声が入っているが、一部声優が変わっている。
ファルコとペパー将軍の2人が変えられたのは痛い。
ファルコはまだ声質が似ているから我慢出来るが、ペパー将軍は全く別人である。
ゲームパートに殆ど出てこない人物とは言え、これは苦しい。
8年という歳月が、それを許さなかったのかもしれないが、なんとか頑張って同一人物でやって欲しかった。
また、64版だと、容量の関係で台詞の量を少なくしなければならなかったために、
一言一言に重みがあり、重みを出さねばならなかった。
出撃前やオープニングデモなど、喋らせる必要の無いところも敢えてフルボイスに拘った
努力の跡を感じる出来だったが、今回はその辺りの心配をする必要がない。
しかしこれが仇となったような気がする。
キャラクターが雄弁すぎて、頭に残らないのだ。
それに輪をかけて、ストーリーもなんだか無駄に込み入ってる気がする。
見ている時間も長めで、もう少しシンプルでも良かった。ゲームをやりたいんだから。

従来の3Dシューティングステージもあるのだが、こちらの出来は正統進化でなかなか良い。
特に60fpsになって、軽々と描画処理がされるところは技術の進歩の恩恵をモロに受けたことを
改めて実感する。
一度に表示される敵機も増え、かなり遠景まで誤魔化さずに描かれているのは素晴らしい。
この手のジャンルは、見た目も非常に重要なだけに気分が凄く盛り上がる。
ただ残念なのは、この手のステージが非常に少ないことだ。
オールレンジステージを含めても半分も行かないといったところ。
もうとことんこのステージを作り込んだ方が面白いゲームになったかもしれないぐらい
クオリティが高いだけに勿体ない。
操作形態もかなり洗練されて、より直感的に動かし安くなっているのも評価したい。
64版では、加速しようとした際にボムを誤射してしまうことが良くあったのだが、
今回はその面での操作性がかなり良くなっていて、取っつきやすい。
割とこのシリーズは操作が複雑で大変なので、単純に間口が広がっただけでなく
個人的にも嬉しい配慮だ。

音楽はフルオーケストラで豪華なのだが、豪華だから良いとはならないのがゲームという
メディアの苦しいところで、
耳に残りづらい割に、音の主張がうるさく、正直うざったい。
このせいで、キャラの音声が聞き取りづらく、音楽と音声のバランスが非常によろしくない。
ナムコのゲームだと、オプションで調整出来たりするのだが、何故かこのゲームでは調整項目が入ってない。
今時のゲームとしてはちょっとこれは不親切。
音楽に関してはタイトル画面やアドバタイズデモの音楽はテクノ入っていて良かったのだが…。
やっぱりシューティングにはテクノサウンドが合うなぁとしみじみ感じたりも。

ストーリーを追う、従来型のシナリオモードは一周のプレイが肥大化した関係で
中断可能、ミッションモードでステージセレクト可という親切さである。
64版では、一度始めてしまうと中断が出来なかったので、配慮が行き届いているとも取れるが、
その代わり、ステージ分岐を無くしたのは失敗だった。
上手かろうが下手だろうが、同じステージなので、シナリオモードは一度クリアしたら
もう二度目を遊ぶ意味は無いといっていい。
また、ブロンズ、シルバー、ゴールドレベルと難易度セレクトが出来て、
難しい難易度ほど照準カーソルが狭まる(大味なプレイが出来なくなる)という調整で
実質ブロンズはイージー、シルバーがノーマル、ゴールドがハードである。

ゲームの大半は、ミッションモードで規定スコアを超えることで貰えるエンブレムを集めることに終始する。
集めることで、ナムコのレトロゲーム「バトルシティー」「ゼビウス」「スターラスター」が
遊べるようになるのだが、どーにもオマケの報酬がずれてるような気がする。
個人的には、過去作品のあんなステージやこんなステージがリメイクされて遊べるみたいな感じの方が
やり甲斐がでるのではないかと思うのだが。
苦行を乗り越えた先にあるのが昔のゲームというのも、なんだか肩すかしである。
(しかもナムコ製というのは…)
それに、大体手間がかかってないのが好きになれない。
そもそもファミコンのエミュレータプログラムは「どうぶつの森+」の時点で完成しており、
ただデータをぶち込むだけでいいので、そんなものをクリア後のオマケにされても面白くない。
こういう姿勢は評価出来るのではあるが、もう一つ工夫が欲しかった。

因みに収集物の一つにスペシャルフラッグ(ゼビウスのアレ)があり、
オリジナル同様、隠された箇所を撃ち続けることで出現、入手出来るのだが、
3Dのゲームでノーヒントに隠されても探すのが大変なだけで、もう少しヒントを与えるとか
して欲しかった。自力で探そうという気が起きない物である。
これに限らず、全体的に作りが良くも悪くもナムコ臭すぎるようにも思う。もっと任天堂がしっかり付いて欲しかった。
任天堂ブランドのシリーズなんだから。

また、64版とは違い、上達すると別のステージに行けたりということが無く、
延々と高得点を狙い続けるだけのプレイというのも、今時淡泊すぎると思う。
これでは、上手くなろうという気力が沸かないというものである。

細かなことだが、ステージ前のローディングもGCにしては長いのも気になったし、
1ステージが長く色々なことをやらされるので、スコアアタックもなかなか気軽にやる気がでないのも辛い。
ステージの見た目のバリエーションも乏しく、まだまだ豊富な構成にすることは出来たはず。
オブジェクトや全体的な演出が軽いのも気にはなる。
どうも、ナムコ側もシリーズの特許を取っているらしく、アーケード展開をにらんだ爽快感重視の作りなのだろう。

開発期間は決して短くなく、結構長く取られている方だと思ったのだが、
決定的に面白くなる見込みが立たないまま時間だけが過ぎ、
しょうがないので強引にまとめました、という感じの内容。

とはいえ、ファンをにやりとさせる演出にも事欠かないし、
致命的につまらない水準でも無い。
(全機報告せよ!と無線通信の効果音が無くなったのが寂しいのと、「アドベンチャー」の惑星と
登場キャラのクリスタルがなんの説明も無しに普通に出ているのが、どうにも説明不十分という気がするが)
そもそも、技術が成熟してきて、3Dシューティングでも
余程面白いことをやらないとプレイヤーも驚かないという事態に陥っているのではないかとも思う。

ただ、それでも技術的に最先端を行っていたSFC版、64版と比べると
その辺の作りがおとなしくなってしまって物足りない側面もある。

発売時期が遅すぎた故の凡作。





[2005/03/01]
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