シグマハーモニクス


対応機種ニンテンドーDS
発売日2008/08/21
価格5490円
発売元スクウェアエニックス

(c)2008 SQUARE ENIX / THINK GARAGE
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スクウェアエニックスがミステリーRPGという新しいジャンルに挑戦した意欲作。それがシグマハーモニクスである。

独特なゲームだが、簡単に言えば、バイオハザード風のマップを探索して事件の手がかりを集め、その合間に戦闘、推理し終わったら、犯人とボス戦闘という
推理アドベンチャーとロールプレイングを合体させたような内容である。

バトルシステムが明かされた時に嫌な予感がしたものだが、推理物とRPGはジャンル的に言って水と油のような関係である。
それを何の考えもなしに融合させたものだから、当然とんでもないゲームになってしまう。

証拠やヒントを集めるために探索していたら敵とエンカウントする。新しいマップに移動するわけでもなく、建物の中を何度も行ったり来たりする。
この際に、RPG要素の戦闘が邪魔になるし、RPGが楽しみたい人にとっては、固定された舞台がつまらない。

とまあ、素人考えでもこの2つのジャンルの相性の悪さはすぐに想定出来てしまうわけだ。

このゲームの不満点はそれだけではない。いくつかエピソードはあるが、設定上、同じ舞台、同じ登場人物で構成されている。
一つ事件を解決させたと思ったら、また次の事件では、同じ人物が登場し、同じ建物で事件が起こる。これが何回も繰り返される。まるでギャグのようだ。
事件の展開の仕方も似たり寄ったりだし、だんだん飽きてくる。困った物である。

ただそれぞれのパートに関しては、さすが大手企業のゲームだけあって、なかなか作り込まれている。

ADVパートは、最後に超推理というコマンドで真相を解き明かしていくのだが、それまで集めた手がかりを謎に対して当てはめていく。
このモードのインターフェイスの悪さは別にして、発想はかなり良いと思う。
また、コマンド総当たりで解けるといったものではなく、正解か不正解かの2パターンだけでなく、豊富に推理パターンを用意することで、当てずっぽうに当てられることを回避している。
ただ、全体的にヒントが少ない気がする。ゲームとして都合がいいバランスは、10人中7人が気づくぐらいの難易度でいいと思う。このバランスだと、5人気づけばいい方って感じだ。

ゆえに、謎解きが必須ではない。最後にどれだけクリア出来たか達成度が表示されるが、わからなくても先に進むことは出来る。
しかし正解も明かされないのですっきりしないまま終わることになる。

フィールドを歩き回って、事件を断片的に見られる「魂の影」というものを探すのだが、それだけでは完全なクリアは出来ない。
いわゆる「調べる」コマンドを使うことで、調べられる部分が青白く光って表示されるが、通常時では表示されない(「魂の影」は見える)。

これがまた突拍子もない場所にあったり、近づいてないと表示されなかったり難易度をグッと高めている。
カプコン「バイオハザード」のように、これみよがしに目立つ工夫もされてないので、少し歩いてはメニューを開いて「調べる」のぞうきんがけである。
この「調べる」ときの画面切り替えが遅いのも何とかして欲しい。

最初から見えているようにしたり、マップをよく見てると怪しいと思わせるような小細工があればまだ許せたのだが…。
多少はテキストでヒントをくれたりするのだが、そうじゃない場合もあり難しい。

バトルパートも、同社「ファイナルファンタジー」のアクティブタイムバトルを参考にした面白い物に仕上がっている。
3つのカードが表示され、このカード(コマンド)ごとに音楽にあわせてゲージが溜まっていき、溜まると選択することが出来る。
音楽を変えたりジョブチェンジをすることでコマンドやゲージのたまり方に変化が現れる。この辺のバリエーションの付け方はさすがスクウェアエニックスといったところだ。
ただ、今作はあくまでRPG主導ではないので、それなりの軽い部分でシンプルに作られているが、このアイディアをこのゲームだけで終わらせてはもったいなかろう。
しかし本作は音楽が無駄に良い(特に戦闘音楽)。

このゲームは、本体を縦持ちでプレイする。操作系はタッチペンを主としたもので、ボタン入力にも若干対応しているが、タッチ操作の方が快適だろう。

縦持ちでの画面の使い方が上手で、イベントシーンでは、キャラの立ち絵に縦書きの吹き出しで台詞が表示される。
横持ちのサイズだとせいぜいキャラの顔しか表示出来ないのだが、このゲームでは、縦に広く画面サイズをとれるので、立ち絵も大きく表示出来る。
戦闘画面での画面構成もこのサイズをうまく使ってデザインされていてとても縦持ちを有効活用されていると思う。

グラフィックスは、イベント時はセルアニメを取り込んでいるようだ。
フィールドはプリレンダCGの一枚絵に、キャラクタはポリゴンである。戦闘シーンではフルポリゴンで描かれている。

ゲームを進めるとストーリーが進行していくが、プレイヤーが関わる部分は、推理をする事件の部分だけなので、本筋シナリオの存在意義が薄いっちゃ薄い。
一応最後に締めくくるための物語が展開していくが、ちと強引な気がする。ぶっちゃけ、どうでもいいって感じだ。
ちなみにこのストーリー部では、台詞に声優の声を当てているちょっと豪華な作りだ。

インターフェイスや処理周りの出来が悪く、戦闘や画面の切り替わりに時間がかかったり、エピソードの途中経過を記録してくれないので、やり直す場合、最初からでまたフラグを立て直さなくちゃならなかったり、一度取った回想シーンはメニュー画面からみれるようにして欲しかったし、不満点もまだまだ尽きない。

やはり、考えなしになんでもかんでもRPGにしてしまうのはどうかと思うのだが?そこで結論。

純粋に推理物だけを遊ばせるべき。相性が悪いさが際だった駄作。





[2008/08/24]
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