スレイヤーズわんだほ〜


対応機種プレイステーション
発売日1998/10/22
価格6800円
発売元バンプレスト

(c)1998 BANPRESTO / 神坂一 / あらいずみるい / 角川書店 / テレビ東京 / SOFTX / 丸紅 / 「スレイヤーズ」製作委員会
戻る

「スレイヤーズ」はアニメ化は大成功を収めた作品だが、ゲームの方は原作者やイラストレーターが関わってるのにサッパリの出来栄えで、今作も例外ではない。
コンピュータロールプレイングを意識したファンタジー小説で、ゲームにしやすい題材かと思うのだが、どれもゲームとして上手く昇華出来ていない(手がける会社が悪いのだと思う)。

全体的な作りは、ファイナルファンタジーを模倣したオーソドックスなスタイルのRPG。

フィールドはポリゴンで、キャラがスプライト。ゲームアーツ「グランディア」のようにカメラ回転出来るタイプ。
このカメラワークが、角度も距離もひどすぎて、終わっている。コンパスの表示がなく、方角を見失う。
モデリングも最悪で、どの視点から見ても物陰に隠れてて見えない場所が多数。視点は45度ずつ回転出来るが、フィールドマップのモデリングがレゴブロックのように四角ばっているので、斜め上からの視点にしないと遠近感がわからなくなる困った代物だ。
ダンジョンではさらに、高いエンカウント率が組み合わさって、探索を放棄したくなるレベル(というか、した)。

町は複数のエリアにわかれているぐらい広い割に、どの町もこれといったものがなく、つまらない。
何も無い民家が多く、酒場や道具屋といった店も品揃えだけ変えて、他の町のものを使い回している始末。住民のテキストも中身が無く、レベルが限りなく低い。

戦闘画面はフルポリゴンで描かれているのだが、これがまたとんでもなくクオリティが低く、がっかり。
魔法のエフェクト効果もショボく、見れたものではない。

戦闘システムは、素早さの高い順番に行動していくセミリアルタイム方式を採用している。
機嫌ゲージといった独特のシステムもみられるのだが、ゲームバランスが雑で、そもそもゲームとして成り立ってないので、かなりつまらない。
結局、この手のフルポリゴンの戦闘シーンにみられがちな、エンカウント時の切り替わりのアクセスが長い、戦闘もテンポが悪い、ただただだるいだけの単調なゲームになりさがっている。

システムの解説がゲーム上ではいっさい無く、アイテムや魔法に対してヘルプメッセージ(説明文)すら付いてない。見た目だけは頑張って今風にしているものの、内容そのものは実に古臭いゲームである。
説明書の説明も今一つ不十分なのも困ったものだ。特に版権ゲーム特有の独特の固有名詞を使われて説明されても、知識のない人にとっては理解出来ないので意味をなさない。

いっぽう、シナリオは良くも悪くも「スレイヤーズ」といった感じで、ゲームとしてはどうかと思う節もあるが、かなり原作のノリに近い。
また、一枚絵がイベントシーンで頻繁に挿入される豪華さも見せる。演出の仕方が下手くそなので安っぽく見えてしまうのが残念ですらある。
イベント中はバストアップ表示でフルボイスとまではいかないものの、かなりの台詞に声を付けていて、喋ってくれる。が、主要キャラしか声を当ててなかったり、台詞の録音が終わった後に追加した台詞なのか、ずっとボイス付きだったのに、突然喋らなくなったりちぐはぐなところが目立つ。
いくつかセルアニメムービーの挿入もあるが、容量のせいなのか技術力に乏しいのか、圧縮をかけすぎていて、動きがガクガクで見れたものではない。
この辺は、PSが出て4年にもなり、こなれたゲームも増えてきているのだから、もう少し頑張れたはずだ。せめてキャラゲーなのだからフルボイス化ぐらいは出来てて当たり前だろう。

全体的に開発者のスキル不足が目立つ作りで、ゲームとしてはかなり荒っぽい出来でまともに遊べたものではない。イベント演出もイラスト絵に頼り切っており、これじゃあ、無理にポリゴンにする必要はなかったんじゃ?と思う。
というかそもそも、ゲームパートがこれだけひどい出来だと、これを原作としてアニメ化を目指したほうが良かったのではないだろうか、と感じた。そこで結論。

わざわざ「ゲーム化」する必要のない作品。





[2011/04/19]
戻る

inserted by FC2 system