スーパーマリオ3Dランド


対応機種ニンテンドー3DS
発売日2011/11/03
価格4800円
発売元任天堂

(c)2011 Nintendo
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ニンテンドー3DSの機能を生かし、3Dをテーマに製作された「スーパーマリオ3Dランド」。
完成度も気になる所だ。

大まかなゲームシステムは、フルポリゴンで固定視点の3Dマップ。箱庭のような構造ではなくゴールまでほぼ一本道の足場で作られた非常にアスレチック要素の強いステージ構成。
携帯ゲーム機では初めての3Dタイプのマリオだが、決められたゴール地点にむかって一本道のマップを進むなど、探索要素を極力排除し2Dマリオのルールが数多く採用されているのが特徴的だ。

今作は、ニンテンドー3DSのキラータイトルとして一線級のスタッフを投入し、力を入れて作られた大作ソフトである。
そんなマリオシリーズの王道アクションゲームの最新作ということで、とうぜん高水準で出来上がっているのであるが、期待が高すぎた反動か、はたまた、舌が肥えてしまったのか、イマイチ素直に楽しめなかった。
以下に理由を述べる。

マリオの挙動に違和感があり、操作していて気持ちよさがあまりなかった。
今回のマリオは動かしていて一言で言えば重たい印象だ。ダッシュ状態に入るために助走が必要で、その割に足場が狭い箇所が多いので、気持ち良く動かせない。
例えば、穴を飛び越す時に十分なジャンプ力を確保するためいちいち助走しなければならず、それを意識してプレイしなければならない所が「らしくない」印象を受けた。
これまでの(少なくとも本流マリオシリーズでは)クセがなく感覚的に思い通りに動き、また、その前提が成立しているからこそ、気持ち良くプレイできて、自然と腕が上達している実感を得られた。
なんだか、マリオではない別のゲームのキャラを操作しているような感じを終始受けてしまった。入力デバイスの関係もあり、幅跳びや一部のアクションが出しづらいのも気になった。

勿論こういった操作性になってしまったのは、携帯ゲーム機の小さい画面で3Dマップを遊ばせるため最適なチューニングを施した結果だろう。据え置きゲーム機のように広い視野を表現できない以上、これはどうしようもない問題でもある。

3Dモニタを使った立体映像は思ったほどの効果を得られていない。真上からの視点で下に飛び降りるシーン、固定視点であることを使った遠近感を狂わせるだまし絵のようなブロック配置等限られたシーンでは立体視の恩恵を強く出せているが、それ以外では劇的な違いが感じられなかった。
3D映像を扱えるようになって空間や距離感を描けるようになる!とはいうものの、やはりわかりやすいのは具体的に視覚化された描写であり、今作でも結局プレイヤーの位置を把握するためには従来通りキャラクタの影やテクスチャーの模様で把握する方法が主流になってしまっている。後やっぱり今作でも敵の踏みつけ動作がやりづらかった。

このゲームは、ニンテンドー3DSの普及を狙った言わば看板タイトルである。その3DS最大のウリである3D映像を全面に押し出して作られているが、ここまで意識的にやっても、3D機能をゲームの直接的な面白さや快適性に絡めることが難しい。
このことから、今後3D機能の立ち位置は雰囲気作りや演出効果の一つに収まっていくのではないかと思う。

他にも不満点はある。
スターメダルというステージ上に隠されたメダルを集める(といってもほとんど隠れてないものばかりだが)収集要素があるが、これを一定枚数とっていないと先へ進めなくしていること。
隠しステージを出す条件とかなら許せるのだが、本編ステージで足止めに使うのは駄目だ。あくまでこういうのは自己満足の範疇にとどめておかないと。

ゲーム・ボリュームはクリア後の裏ステージも含めれば(ほとんどが表ステージをただ難しくしてるだけであるのを考慮に入れても)申し分ない分量だろう。クリアするだけなら恐ろしく簡単で短いが。
しかし、肝心の中身が物足りない。全体にわたって「これは…」というほど感心するようなギミックが無い。ゆえに退屈である。「マリオギャラクシー2」ですでに見た仕掛けも多い。このゲームならではの新しいものがあまり見られない。勿論携帯機だからあまり凝ったことが出来ないという条件を考えてもあまりに寂しい。
最初にも書いたが、これはただ自分が贅沢になってしまっただけだからそう感じてしまうのか、判断の難しい所だ。良くできたゲームなのだが、マリオシリーズとしてみると「なんかイマイチだな…」と言わざるを得ない水準だ。

おそらく、このゲームの製作時期を考えると直接的な出来とは関係ないと思うが、2011年8月、ニンテンドー3DSを異例の速さで値下げをした。そして同時に年末商戦にキラータイトルを発売すると公表した。
その後の任天堂の対応を見ていると、強気の態度から一変して弱腰の態度に豹変しているのが気になる。マリオらしくない詰めの甘さが目立つ辺り、このゲームも本来はもっと長く開発期間を取るつもりだったんじゃないかと勘ぐりたくなるほどだ。
今後の3DS用大作ソフト(特に直近のマリオカート7)の出来栄えを心配させるに十分な内容のゲームであった。そこで結論。

マリオシリーズとしては微妙。





[2011/11/05]
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