スーパーマリオ3Dワールド


対応機種Wii U
発売日2013/11/21
価格5700円
発売元任天堂

(c)2013 Nintendo
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3DSで発売された「スーパーマリオ3Dランド」のWii U版。移植ではなく、完全新作。
最大4人同時プレイが可能となるなど、様々な部分がグレードアップしている大作ソフトだ。

据え置きゲームマシンの普及を担った大型HDタイトルということだけあって、さすがに質・量ともに申し分ない完成度を誇っている。
3DS版では、発売を先急いだ作りで、そのせいで今作の出来上がりにも不安がよぎったのだが、そんな心配は無用であった。

操作感は相変わらず、重たいもっさり感が気になった3DS版のものを継承しているが、マップが狭くて窮屈で遊びづらいなど不便を感じることはなかった。
また、今回は、マリオ、ルイージ、キノピオ、ピーチの性能の異なる4人(+隠しキャラ1名)からプレイヤーキャラクターを選択できるようになり、自分に合ったキャラを探して遊べる。
「マリオが気に入らなければ、どうぞ他を使ってください」と言わんばかりの贅沢な対応だ。

相変わらず、マリオシリーズはMiiverseの使い方が上手い。フィールドに投稿されたコメントが投稿者のMiiとともに表示されていたり、コースクリア時に、クリア時に投稿されたコメントが背景に載る。
また、ゴーストMiiという機能がある。一度クリアしたステージでは、この機能が入り、他人のプレイデータ(動き)と一緒にゲームがプレイできる。もちろん、気に入らなければオフにすることも出来る。

Miiverseで使えるハンコを集める収集要素が入っているのだが、これもなかなか面白い。
Miiverseは、コメントだけでなく、決められたサイズ内に手書きで書いたものを投稿できるのだが、それを利用して綺麗なイラストを描かれたものが数多く投稿されていた。
ハンコは、絵がかけない人でもハンコを組み合わせることで、手軽に面白い絵を投稿することが出来る。
この仕掛け自体は実に面白いものなのだが、必死にハンコを集めても、使えるのはこのゲームの中でのみ。なんとかMiiverse本体でも使えるようにアップデートしてほしい。
ハンコの利用価値を上げないと、集めてやろうという気持ちが薄れる。

良く出来た作品なのは間違いないのだが、「マリオシリーズ」のアクションゲームとしては、細かい粗がどうしても気になる。

あまり気にしたことはなかったのだが、どうも「スーパーマリオギャラクシー」路線の3Dマリオは、期待通りの売り上げが出ない状態が続いていたようだ。
とは言っても、他社のソフトメーカーからしたら、「贅沢だ!!」と言われるほどの十分な売れ行きを記録しているのだが。

あくまで「Newスーパーマリオブラザーズ」の2Dマリオと比べてという話で、この差をどうするかということで、企画されたのが「スーパーマリオ3Dランド」という流れらしい。

同じマリオのアクションゲームで、2Dと3Dの違いだけなのに、3Dのほうが極端に売れてないのでは、嫌でも気になってしまうのだろう。

こういう事情があったことでようやく理解が出来たのだが、
3Dアクションに、2Dマリオのゲームシステムを無理矢理に、というか、半ば強引に放り込んでいる(ように見える)。

これは決して良いやり方ではない。

最初は、「スーパーマリオギャラクシー2」のレビューでもちょっと触れたのだが、ステージを沢山用意できるようになったら、パワースターを集めるというシステム自体いらないんじゃないか
という疑問の答えとしてこのゲームが作られたのかと思った。
何故かと言うことを補足すると、パワースターというのは、ステージをたくさん用意できないことをごまかすために作られたシステムであって、その必要がなくなったのなら、
同じステージを何度も遊ばせることを強要する、このようなシステムは不要だからである。
「スーパーマリオ64」はロムカートリッジ、「スーパーマリオサンシャイン」では8cm光ディスクのせいで、容量の問題が足を引っ張っていた。

その割には、ステージ上に隠されたグリーンスターを集めるシステムがあって、これを一定枚数集めていないと、進めないように作られている。つまり3Dマリオのルールがそのまま適応されている。

中途半端に3Dマリオ的な探索要素が入っているくせに、2Dマリオの時間制限のルールが入っている。

このように、この作品には、数多くの矛盾が見え隠れしている。
結局、最終的には、このゲーム自体がどこを目指しているのかが、はっきり見えないためだ。

ただ、3Dアクションの世界に、2Dマリオのルールを取り入れただけで、それ以上のことは何も考えてないようにどうしても見えてしまう(実際は相当考えた末、このようなゲームが出来たのだろうけど)。

3Dアクションと2Dアクションは似て非なるジャンルである。
N64「スーパーマリオ64」で初めてマリオが3Dアクションになった時、制限時間の概念が無くなり、従来のハテナブロックを叩くギミックや変身システムも撤廃された。代わりにライフ制が導入された。
好き嫌い出るだろうが、あのマリオの挙動も3Dアクションに最適化された形で作られたものなのは疑いようもない事実だ。
パンチ(近接攻撃)したり、ハイハイしたり、マリオのキャラとしてちょっとどうかと思われるアクションも、3Dアクションに合わせるために付けられた。

そういう設計思想を全て無視して、2Dマリオを強引に3Dアクションっぽく仕上げてきているところが、どうにも、素直に楽しめない理由となっている。

しっぽマリオ、ネコマリオが強すぎるという声があるが、それは逆で、通常時のマリオが、3Dアクションとしては弱すぎると言える。
パンチは出来なくて、踏みつけるだけ、つまり、近接攻撃が何もない。上から踏みつけるにしても3Dになったら軸を合わせるだけでも難易度が跳ね上がる。ぶっちゃけ、避けて進んだほうが楽なほどだ。

ちなみに、新アイテムのウリとなっているネコマリオは壁を登ったり、ジャンプ中斜めに急降下して攻撃するなど面白いものとなっているが、
ダブルマリオは、全く面白さを見いだせなかった。人数集めないと起動しないエレベータのためだけに存在しているアイテムにしか思えなかった。

グリーンスター集め(探索要素)をやっている時に、ネコマリオ持ってないと無理みたいな作りにはしてほしくなかった。
そういう配置にするのなら、そのステージ内で、必要なパワーアップアイテムが揃うようにしてくれないと、理不尽に感じてしまう。
わざわざ序盤の楽なステージに戻って、パワーアップアイテムを調達してくるのが面倒くさい。アイテムストックのシステムが無いため、貯めておくこともできない。

後、3D空間で遊ばせることにむやみやたらとこだわらなくても良かったように思う。
サイドビューの視点になっても、若干の奥行きがあるところが多く、しかしわざわざ3D的な余地を残す面白さがあるわけでもない。
そこまでするならもう素直に2Dアクションとして遊ばせてくれよ!って思うところがいくつかあった。

3DSの前作でも指摘したのだが、距離感が掴みづらく、落下死したり、敵にやられてしまったり、やろうと思ってることを失敗したりする。そうならないようにプレイするという意図を含んでいるのはわかる。
だが、ちょっと、ゲームとしての思想が一昔前というか、古臭い印象がある。

「マリオギャラクシーシリーズ」では、2Dと3Dの切り替えの仕方がうまかったし、距離感をつかみにくいと感じることがなかっただけに、余計こういう部分での詰めの甘さが気になる。

ここから先は個人的なわがままの範疇に入るのだが。
そろそろ「マリオギャラクシー」の次とも言える、真新しいマリオを期待してもバチの当たらない時期だと思う。
「マリオギャラクシー」1作目が発売されたのが、Wii発売から約1年で、2007年11月のことになる。アイディアを出すのが大変なのはわかるが、完全新作のマリオが出てもいい頃と思う。
この作品を完全新作として見るにはちょっとつらい。

Wii UのGamePadが、Wiiリモコンの時と違って、面白い使い方が中々出せないというのもわかる。
今作でも、なんとかGamePadを駆使した面白さを出そうと、GamePad専用ステージというものを用意していたりするが、無理矢理感が強くて、面白さに繋がっていなかった。
キノピオ隊長のステージで、カメラがジャイロに対応しているが、右スティックでもカメラ操作できるので、はっきりいって邪魔だった。
GamePadステージといっても、特定のオブジェクトをタッチする、息を吹きかける、の2種類だけで、GamePadを使わずプレイしている人にとっては煩わしいだけだった。

手厳しいことを沢山書いてしまった。それなのに、マリオは面白いのだから困ったものである。
しかし、個人的な満足度は「マリオギャラクシーシリーズ」より、ちょっと下がる。大満足させてくれる傑作がそろそろ欲しい。そこで結論。

素直には楽しめなかったが面白い。困ったゲーム。





[2013/11/23]
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