スーパーマリオギャラクシー2


対応機種Wii
発売日2010/05/27
価格5800円
発売元任天堂

(c)2010 Nintendo
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高い完成度だった「スーパーマリオギャラクシー」の正統な続編。
宮本茂自ら、良くできたゲームだからシステムをそのまま使った続編を作りたいという意図から、本作が生まれた。

要するに、システムエンジンを流用してステージだけ変えた続編ということになるが、使い回しをしても罰が当たらないほど出来が良い。任天堂の作品は全体的にクオリティが高いので、こんな風にもっと欲を出してもいい(これ以上欲を出して儲けられてもそれはそれで嫌だが)。
まったく新しい要素が無いわけが無く、地面を掘り進め反対側に移動するドリルアクションといった新ギミックが多数追加され、今回もっとも大きな売りがヨッシーに乗れる!ヨッシーと一緒に冒険が出来る!!ちなみに3Dマリオでは初である。

ヨッシーは、「スーパーマリオサンシャイン」でもお助けキャラみたいな形で操作することが出来たが、ヨッシーに乗って操作するのではなく、キャラを変わってもらう感じでなんか寂しかったし、水中に入ると消えてしまうのも残念だった。
そしてなにより感心したいのが、ただヨッシーに乗れるだけではなく、操作形態が全く違ってくる点だ。
ヨッシーといえば、長い舌を出してどんな敵をも飲み込む豪快なドラゴンだが、Wiiリモコンのポインターで敵をロックオンして、Bボタンで飲み込む。ジャンプボタンを長く押すことで出る「ふんばりジャンプ」は、かなり今回はふんばってくれて高い飛距離を出す。
ここまで一人の時と色々違うと、一緒に冒険しているという感じが出ていていい。

最初は、ヨッシーが出る!動かせる!!と紹介されても、何とも思えなかったが、触ってみるとこれが意外とでかい要素だったということが実感出来る。
残念だったのは、ヨッシーを操作出来る場面が少なかったこと。限られたステージでしか使えないだが、ゲームバランスを取る関係もあってか、ヨッシーの出番がかなり少ない。

基本的に前作からの不満点を解消したり、改善がメインなので、これといって指摘することが少ない。

細かな改善点として挙げられるのが、フィールドマップの廃止。ステージ選択は「Newスーパーマリオブラザーズ」のようなエリアマップからの選択式になっている。一応従来作品のようなメインフロアは存在するが、無視してゲームを遊べる。
前作だと、このマップが広すぎてテンポが削がれてしまっていたが、このような措置をとることで、アクションゲームとしてより気持ちよく遊べるよう配慮されている。

特に感心したいのが、ストーリーを最低限にまで短く仕上げたこと。昔のアクションゲームは、ハード上の制約で凝ったイベントシーンが作れなかったため、結果的に演出面が弱くすぐにゲームが始まったが、本作では敢えてそこを目指したのである。個人的にはオープニングは良いが、エンディングはそれでも長すぎる気がするが。
一時期は、グラフィックやムービーが重視された時代があり、マリオシリーズも影響されていた頃もあったが、ゲームを遊ぶ上で最も重要なことは何か?という部分を配慮してくれていることに好感が持てる。
カプコン「ロックマン10」などのように、最近は寧ろ一周回って、ゲームの原点に帰ってきている感じがして方向性としては良い方向に向かっていると思う(時代は巡るとは良く言ったモンだ)。

他にもアクションゲームとして必要ない部分を全てバッサリ切り捨てており、スリムアップしたゲーム内容は高い評価を与えられる。

2になって作風にも変化が見られる。
前作は宇宙が舞台ということで、球体を使ったステージが目立ったが、今作では不必要に球体は使わず、星一つがステージマップというのは設定のみにとどまり、その設定に縛られない自由なコース設計をしている。

具体的には、トップビュー(見下ろし)視点の場面と、サイドビューの横スクロールアクションの2つのステージ構成で出来上がっている。
前者が3Dステージ、後者が昔ながらの2Dアクションステージとなるのだが、後者の比率が高まっているように感じた。

前作は目新しさもあってあまり感じなかったのだが、今作をプレイして3Dアクションゲームの扱いの難しさが浮き彫りになった印象を受けた。
3Dのアクションなのに、2Dタイプのステージも入り乱れている。しかも、比率的には2Dタイプのサイドビューシーンが増えているのである。
他の3Dアクションでも、わざわざサイドビューのジャンプアクションをさせるゲームがあり、3Dにする必要があったのか?と思わせるものが3Dゲーム黎明期から存在している。
つまり、アクションゲームの王者、マリオをもってすら、この命題に未だ明確な答えを出せなかったと言えないだろうか。

しかも困ったことに、本作も2Dアクションステージの方が面白いのである。しかし、遊び手としてはそれだけでは物足りない。結局、2Dと3Dのステージを組み合わせることで、面白さを演出している。
近年、完全横スクロールアクションの「NewスーパーマリオブラザーズWii」も非常に売れてしまい、3Dアクションの存在意義が問われる状況になりつつある。

3Dアクションは、作り手も遊び手も制御が難しい。このゲームでも、3Dステージがつまらないわけではなく、面白く出来上がっているのだが、イマイチ2Dステージに負けてしまっている原因として一言で言えば「不便」なのである。
360度好きな方向に動けて色々出来る3Dの方が不便というのはおかしいじゃないかと思うかもしれないが、自由度があるということはそのまま不便さにもつながっている。ゲームルールがそのぶん曖昧になるからだ。

たとえば、このゲームには、連続で敵を踏みつけて高いスコアを取れというステージがある。これは3Dスタイルでプレイさせられるが、敵との位置関係がわかりづらく連続で踏みつけるのが非常に難しい。
これを横スクロールタイプでやらせていれば、このような不快感は味わわなかっただろう(本作はそれをも狙ってやっているのだと思うが)。このような3Dならではの難しさが存在する。

思えば1の時、2Dアクションが入ってきた時から、こういった指摘をすれば良かったのだが、当時はそれほど気にならなかった。今作は前作以上に露骨になっていたから感じたのかもしれない。
このゲームに関して言えば、マリオだけに、高い開発力もあって、2Dと3Dのうまいギミックの融合がおこなわれており、感心しきりなのだが、3Dアクションゲームも当たり前の時代になり、今後目新しさを求めて、敢えて2Dアクションを組み合わせていくのか、気になるところではある。

個人的に不必要だと感じたのが、隠されたメダルを集めて隠しステージを出す仕掛けと、ヒントなしで分岐ルートを探し出して隠しスターを見つける2つの探索要素だ。
前者はゲーム進行に応じて出現するようにすれば良いし、後者はわざわざノーヒントで隠す必然性に乏しい(といってもマリオだから、隠れてるようで隠れてないんだけど)。

アクションギミックが非常に良く出来ているから、ただ先へ進めるだけでも面白いのに、メダルを集めたり分岐ルートを探すといった探索要素が入ってくると、一気にテンポが削がれる。
ゲームとして幅を持たせるために必要とは思う。しかし他に何かやり方はなかったかとも思う。マリオというでかい看板だけに、細かい部分まで気になってしまう。

というかもう、パワースターを集めるというシステムに固執することすら、そろそろ見直すべきではないか?と個人的には感じている。
このようなシステムにしたのは、従来の横スクロールアクションのように、ステージ数を沢山用意出来ないから、同じステージを遊ばせるためにやむなく生まれたものである。
しかしこのゲームでは、隠しステージを含めると実に50近いステージが用意されている。一本道のアクションゲームとしてももう十分な量だ。
「パワースターを集める」行為は達成感も得られて面白い。だが、やんごとなき事情で入れていたこのシステムも、入れる必要性が薄れたのなら、敢えてこだわる必要はない。
ちなみに、ウチのサイトで大絶賛している「スーパーマリオ64」も、当時はパワースターを集めるシステムが一部のゲームおたくからは非常に不評で、作業的だと指摘されていたのである。今でこそ受け入れられてはいるが。

ゲーム内容は前作を踏襲しているし、ほとんど書くことは無いだろうと思っていたが、結構熱く語ってしまった。
色々書いてしまったが、はっきりいって8割以上はゲーム本体の話とは関係無い。マリオは相変わらず高いクオリティで出来上がっている。勿論前作を遊び倒した人間でも満足出来る内容になっている。
ゲーム自体は非常に濃い作り込みで、少し前に出た「NewスーパーマリオブラザーズWii」が物足りなかったゲームおたくでも納得ゆく完成度だろう。そこで結論。

焼き直しだろうがしっかり面白い。1をやった人間も迷うことなく遊べ!!





[2010/05/29]
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