スターオーシャン


対応機種スーパーファミコン
発売日1996/07/19
価格8500円
発売元エニックス

(c)1996 ENIX / tri-Ace / MEIMU
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「テイルズオブファンタジア」を作り上げたスタッフがウルフチームから独立し、新ブランド、トライエースを興す。
そのトライエースブランドの記念すべき一作目となったのが、この「スターオーシャン」だ。
48メガの大容量ROM、リアルタイムに展開するバトル、加えて戦闘中はCD-ROM並みに喋るクリアな音質の声優のボイスと、「テイルズオブファンタジア」と共通する要素も多い。
そんなこともあって、SFC末期の作品の割には、一部の界隈では話題となった作品である。
さて、ゲームとしてはどのような内容に着地したのか。

とにもかくにも、グラフィックが凄まじい。
フィールドマップはすべて同じスケールで描かれているのだが、多少の使い回しはあれど、ほとんど新規の一枚絵で構成されていると言っても過言ではない出来。
これだけ当たり前のようにマップが豪華だと、それがどれだけ凄いことなのか、ということに逆に気づけないかもしれない。
スーパーファミコンというハードで、良くこれだけのマップ密度、マップバリエーションを描けたなということに本当に驚く。

技術的に凄いのはそれだけではない。

戦闘シーンは、一画面トップビューによるリアルタイムの疑似アクションバトル。
「テイルズオブファンタジア」でも、サイドビューのリアルタイムのバトルシステムに度肝を抜かされたものだった。
今回も当たり前のようにリアルタイムのバトルで、その上パーティメンバーが喋る!!喋る!!

しかも、パーティメンバーは最大で8人まで仲間になるが、実際はそれ以上のキャラが仲間として登場するのだ。

これらの仕様を見て、これがプレイステーション、セガサターンで開発されたゲームと言われれば納得が行く。しかし、これらをスーパーファミコンで実現させているということが本当に凄い。
特にグラフィックに関しては、下手なPS、SSのドット絵RPGなんかよりよっぽど描き込まれている。

重そうな処理が重なっても、軽々と処理していたり、戦闘シーンの処理も軽快で申し分なく動く。この辺の技術力のレベルの高さは、SFCというハードスペックを知っていると、尋常ではないといってもいい。
技術レベルの視点から見れば、それだけで間違いなく最高峰レベルと断言していい。これを見るだけでも買って遊ぶだけの価値はあると言っても言い過ぎでもない。それぐらい凄いのである。

具体的なゲーム内容についてだが、自由度の高さを追求しており、一本筋の通ったストーリーはあるものの、一回クリアまでプレイしただけでは全容が見られないほどのマルチシナリオが構成されている。
また、ゲームシステムも一捻り加えてある。スキルシステムというものがあり、レベルアップ時に手に入るスキルポイントを消費してスキルを習得させていくと、様々な特技を覚えることが出来る。
バトル中に効果を発揮し戦闘を有利に導くもの、フィールド上で使えて冒険を有利にするものなど、様々な特技があるのだが、中でもアイテムクリエーションという、アイテムを作り出す事ができる要素がものすごく作り込まれている。
本編そっちのけで作っているんじゃないか?って言うぐらい力が入っている。
ただクリアするだけならば、触れる必要がない程度のバランスに収まっているのはグッド。しかし、実は本当はこれらのシステムを使わせたかったんじゃないか?とも思う。

というのも、ゲームのボリュームが、クリアするだけならば15時間程度で終わってしまうのである。
何周もプレイすることを想定した作りならば、このボリュームはちょうどよいが、どうも、開発期間が足りなかったようで、ゲーム後半のストーリーが大幅に端折られている節があるのだ(というか実際、開発室とかで愚痴を漏らしているのだが...)。
実際は短くても20時間ぐらいプレイ時間を考えていて、大作RPGの名に恥じないたっぷりと尺をとったボリュームで、それを前提とした上で何回でも楽しめるマルチシナリオ制度というものを活かしたかったんじゃないだろうか。
ボリューム不足感はあるが、エンディング後に、隠しダンジョンが用意されていて、それの攻略を楽しめるようになっているのだけが幸い。

不満点と言うか、全体的に勿体無いなあと感じさせたのが、せっかく作り込まれた凝ったゲームシステム、サブイベント自体が、プレイヤーの目に触れにくいわかりにくい箇所に置かれており、深く入り込んでいかないと、このゲームの面白さに気づけない点だ。
それと、何度も書いてしまうが、このゲームの開発時期がどうも悪かったみたいで、開発期間をあまり長く持てなかったことからくる、練り込み不足さというか、そうならざるを得なかった不幸さにも同情せざるを得ない。

最後の方は、難点も書いてしまったが、それでも、SFC末期のRPGということを考慮にいれれば、綺麗にまとまったRPGである。
「テイルズオブファンタジア」は、口コミでその面白さが広がって人気になったが、「スターオーシャン」はエニックス肝いりで発売された大作RPGだったのだが、マニアックな作り込みと風呂敷を畳みきれなかったような部分が災いしたのか、口コミで広がらなかったのが惜しい。
やはりSFC製で96年発売はさすがにおそすぎたのか。「テイルズ」は知っているが「スタオー」は知らなかったという人がいたとすればそれは結構な不幸である。
そこで結論。

SFCらしからぬ技術レベルの高さが光る作品。





[2018/07/12]
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