スターオーシャン4 THE LAST HOPE


対応機種Xbox360
発売日2009/02/19
価格8500円
発売元スクウェアエニックス

(c)2009 SQUARE ENIX / tri-Ace
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前作から実に5年越しとなる、スターオーシャンシリーズの最新作が、Xbox360向けタイトルとしてリリースされた。
アクション要素の強い戦闘シーンや前衛的なゲームシステムはそのままに、さらなるパワーアップが期待される本作、開発は勿論トライエース。
DVD-ROM3枚組という巨大ボリュームで送る決定版。

まず、目を見張るのがグラフィックの綺麗さである。通常時のグラフィックもさることながら、イベントムービーの映像もトップクラスのクオリティを誇る。
むやみやたらにムービーにばかり頼るのではなく、ほとんどをリアルタイムで処理しているところも良い。
今回はビジュアル周りを、発売元のスクウェアビジュアルワークスに担当させたということもあって、かなり力の入ったものとなっている。
DVD-ROM3枚組にまでふくれあがるのも納得の作り込みである。

SFをベースにしたファンタジーの世界観であるこのシリーズだが、今回は宇宙船を使い、複数の惑星を舞台に宇宙を自由に行き来していく構成になり、よりSF色が強い。
話によると、「スターオーシャン」でずっと目指していた構想が今回初めて実現されたとのこと。
しかし、容量やストーリー展開の関係もあって、舞台となる惑星の数はそれほど多くなく、ストーリー上による自由度の制限も強くかかり、せっかく広い宇宙を舞台にしているというのに、スケールのでかさなどがあまり出せていない。
惑星間の移動もメニューから選ぶだけというのも寂しい。イマイチ、このシチュエーションを生かし切れてない感じがする。

ムービーシーンが非常に多く、見ているだけの時間がかなり多い。大作RPG=イベントムービーの長さや作り込みという価値観は、ちょっとどころかかなり勘違いしている。頑張りは伝わるんだけど。
また、登場キャラクターが全体的に濃く、なんだかおたくっぽい。ムービーで丹念に描くから、滑っているというか痛々しいというか、人を選ぶような内容になってしまっている。
ま、このシリーズのパーティーキャラクターはいつもこういう感じなので、これは今に始まったことではないけど。

グラフィックの過剰な描き込みもあって、でかいデータをやりとりしているはずだが、その割にディスクアクセスが早くて待たされ感が無く、好感が持てる。

戦闘システムは、おなじみのフルリアルタイム&アクション要素の強い戦闘システムを採用。
今回は敵の攻撃をかわすサイトイン&サイトアウトシステムや、ジャンプアクション、ラッシュモードなどが追加され、よりパワーアップした。
しかし、前作の強攻撃/弱攻撃のシステム同様に、無意味に敷居を高くしてしまっている印象を持つ。
同系統のゲームで、「テイルズオブ」シリーズのように、アクションの腕があれば、キャラクタが弱くてもカバー出来るシステムなのか、そういったコンセプトが4作目になってもなお、はっきりしていない印象がある。
もっとも、システムの複雑化によって、新作を出すごとに、楽しませどころがどこなのかブレるばかりという気もするが。

サイトアウトというのは、ようするに目押しである。敵から狙われるとカーソルが表示され、攻撃範囲に入るとそのカーソルが点滅を始める。
特定のボタンをため押しで、このカーソル表示中に離すと、サイトアウトアクションが発動し、敵の攻撃をかわし背後に回り込むことが出来るのだ。
だが、敵の攻撃範囲が広いと、たとえサイトアウトが成功したとしてもダメージを受けてしまうし、どう活用させたかったのかわからない感じだ。

ジャンプアクションは、ようするに緊急回避のようなもので、対空の敵に対応するためのものではない。なので、これを追加したからと行って戦闘の自由度がグッと広がったというのはちょっと違う気がする。

ラッシュモードというのは、ラッシュゲージを100まで溜めると発動出来るもので、のけぞりをキャンセルして行動出来る。
この状態に入った瞬間にL、Rボタンを同時押しすると、ラッシュコンボが発動する。
ラッシュコンボは、一体の敵に対して、パーティメンバーが技を怒濤のようにたたき込むもので、この間相手は無防備なので、大ダメージを期待出来る。
同社制作の「ヴァルキリープロファイル」決め技のようなシステムだ。
極端な話、ラッシュコンボさえ使い続けていれば、大抵の敵には勝てる。逆に、このシステムのせいで、敵モンスターのヒットポイントがインフレがちになってしまった印象もある。

アイテムクリエイションの作り込みや、サブクエスト、コレクションなどのやり込み要素の作り込みも凄く、丁寧に作られたRPGという印象ではあるが、一方で細かい面での不満点も多く見られた。

フィールドでのカメラワークが悪い。
悪いって言うほどでもないのだけど、大作RPGにしてはお粗末な挙動ではないか?という印象。
マップによって、キャラとカメラの距離が異なっていたり、上下方向の視点操作がしづらく、入り組んだ地形といった障害物が遮っているところでのカメラの動きが、旧世代的で融通が利かない、見づらいなど。

また、贅沢な話だが、グラフィックの描き込みが凄すぎて、造形が把握しづらいといった問題点も付随している。
これについては、レーダーマップの存在によって、だいぶ助けられているが、それでも全体的にマップが広く入り組んでいるので、迷いやすいのである。
宝箱なんかは、マップ上に宝箱の場所が載る特定スキルの存在(入手は序盤で容易に手に入る)が無ければ、まずもって意識的に探そうという気にはなれないだろう。

走り状態(スキルアクションでは無い、通常の移動操作)の操作キャラの挙動がなんとも大雑把。こちらの入力に対して、若干のラグがあるような感じで、気持ちよく動いてくれない。
フィールドマップのように移動するだけなら気にならないものの、町などの探索時は、かなりストレスを溜められる。
どうも意図的にやっている節もあり、移動速度を上げるかわり、突然立ち止まれないといったことを演出したかったのだと思う。しかしこれは余計モンである。
歩き操作にも変えることが出来るが、このマップの大きさで、歩きの移動速度の遅さは、はっきりいって誰が好きこのんで使うのだろうかという感じだ。
宝箱についても、ふたの正面からじゃないとあけれなかったり、大作ゲームにしては、どうにも基本的な面での作り込みが出来てない。

ただ、戦闘以外での経験値入手の手段が豊富で、クエストをクリアする、宝箱をあける、特定ギミックの解除etc…、これらのイベントを消化するだけで、ゲーム進行に決して無視出来ない数の経験値が入手出来るというのは、良い要素だと感じた。
というのも、このゲームはシンボルエンカウント制である。ランダムエンカウントと違って、シンボルエンカウントは、経験値の調節が難しい。
人によっては、戦いまくる人もいれば、よけてばかりで全然強くならない人もいる。そこを緩和するための策として、こういった解決法を用意してくるのは、なかなか利口である。

メニュー周りのインターフェイスがイマイチ良くなかったり、戦闘時の操作形態も融通が利かず、遊びづらい(コマンドの先行入力が出来なくなったのはでかい)など、気になる点は多く見られた。
だが、こういった細かい部分での作りが大雑把ではあるが、全体的な完成度は高く、大風呂敷を広げまくった割に、良くまとまったゲームといえる。
しかしシリーズを通して、システムは迷走気味で、相変わらずこの会社のゲームは人を選ぶタイトな作風となっている点は惜しいと言わざるを得ない。
シリーズ物なら、もう少し、シリーズのコンセプトを固めて、その上で冒険をしていって欲しい物だ。逆に「テイルズオブ」シリーズは、保守的すぎるという面もある。
なんにせよバランスが大切と言うことだ。そこで結論。

ムービーパートもゲームパートもてんこ盛りの作品。細部にわたる作り込みがもう少し丁寧なら良かったのだが。





[2009/03/19]
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